マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

原子力ムラの灰色学者たち(その2)

2012年06月14日 | カ行
 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の安全性を調べるために設置された専門家委員会の委員7人のうち3人が、原子力関連の企業・団体から寄付を受けていたことが、朝日新聞の調べでわかった。寄付は、もんじゅのストレステスト(耐性評価)の業務を受注した原発メーカーなどからで、5年間で計1610万円になる。

 委員会は、昨年11月に文部科学相の指示で機構が設置した「もんじゅ安全性総合評価検討委員会」(委員長=片岡勲・大阪大教授)。

 朝日新聞が委員の所属大学に情報公開請求し、対象となる過去5年分(2006~10年度)が開示され、委員に直接取材した。寄付を受けていたのは宇根崎博信・京都大教授(計180万円)、片岡勲・大阪大教授(計450万円)、竹田敏一・福井大付属国際原子力工学研究所長(計980万円)で、3人は取材に対し受領を認めたうえで、審議への影響を否定している。

 寄付をしていたのは、もんじゅの原子炉を建設し、ストレステストを1億6000万円で機構から受注した三菱重工業、ストレステスト関連業務を受注した関西電力グループ会社の原子力エンジニアリング、関電関連団体の関西原子力懇談会(関原懇)、核燃料会社のグローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、11年度に機構の業務を計15億円分受注した三菱電機──の五つの企業・団体。

 寄付は研究助成が名目で奨学寄付とも呼ばれ、研究者を指定して大学を通じて寄せられる。寄付者側に使途を報告する義務はない。

 委員会は、これまで会合を2回開き、原発事故を受けて機構が進めるシビアアクシデント(過酷事故)対策やストレステストの途中経過について報告を受け、意見を述べた。機構はストレステスト終了後に、最終的な意見を得る予定だ。機構によると、委員は原子炉工学や危機管理など専門分野ごとに就任を依頼。業界からの金銭支援については調べていなかったという。

 もんじゅはトラブルが続き停止中で、機構は早期の運転再開を目指している。

   宇根崎博信・京都大教授──計180万円
   片岡勲・大阪大教授──計450万円
   竹田敏一・福井大付属国際原子力工学研究所長──計980万円

(朝日、2012年06月03日。大谷聡)

     関連項目

原子力ムラの灰色学者たち

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。