進退窮まったのですね。菅さん。
あのGotoはじめ、コロナ対策がやることなすこと頓珍漢、後手後手で穴だらけ、有効な手立ても無いまま感染者と死者が増えました。人気浮揚を狙ったオリンピックを強行しましたが、これも裏目で実際にはデルタ株の猛烈な蔓延とぶつかって感染者の急増に繋がりました。
生気の無い表情や虚ろな目で話す言葉には力も説得力も無く、活舌の悪さ語彙不足と相まって国民の耳に届きません。何より、自分の言葉で国民（報道）の疑問や期待に真っ向から答えようとせず、原稿棒読み、質問打ち切り、はぐらかしと無視を繰り返したのです。
とっくに国民は菅さんを見放していました。ドリフのコントでは無いですが「駄目だこりゃ」と思っていました。内閣支持率以上に有権者はNoをつきつけていたのです。圧倒的な議員数のおかげで自民党はやりたい放題、好き勝手にやって世論を無視し、安倍・麻生で国政を恣にしてきました。嘘と隠ぺいで誤魔化すという安倍方式を菅さんは踏襲し、妖怪漫画に出て来るような二階さんが操る、といった構図でした。
何度も選挙で自民党が敗北し、支持率が徐々に下がり、逆風が吹き始めたのを総選挙間近になってようやく気付いて、自民の国会議員が慌てだしたのです。菅さんでは選挙は勝てない、これはここ半年で言われてきたことですが、この期に及んで、続投を言い出した菅さんを下ろすことになったんですよ。
二階さんが唐突に「菅さんはよくやっている。支持する人も多い。二階派として支持するのは当然」と言った時に「あれ」と違和感を覚えました。選挙の読みや分析が最大の武器である二階さんが、菅さんの顔で選挙を戦うはずがないと思いました。あの時にもう始まっていたんですね。コロナ対策など一連の失政をおっかぶせて菅さんを辞めさせる、そして二階さんは支持するフリをし、党内最強のキングメーカーであることを見せまいとしたのです。わざと、はしごに登らせたのです。
豚もおだてると木に登るそうです。菅さんは、二階さんに支援されたと勘違いしたのです。対抗馬の下村さんや河野さんを脅かしてひっこめさせ、くみしやすい高市さんと岸田さんなら十分勝てると踏んだのです。石破さんは、前回の時に菅・安倍でひどい目にあわされましたから早々と白旗をあげました。
それで、自分が総裁に残るために、総裁選を行う、いや選挙が先だ「解散」する、からそんな場合では無い、党役員人事や内閣改造を行う、と一人で「菅菅(カンカン)踊り」を踊り出しました。あせって迷走し暴走する菅さんは、とっくに自民党に見限られ、どんどん追い込まれていたのです。
岸田さんの選挙方針「党三役の刷新」のアイデアつぶしで、二階さんに、幹事長を降りてもらう、と言いに行ったのが致命的でした。二階さんの思うつぼでした。自民党の悪政の元凶でもある二階さんを外せば選挙で勝てるから、と談判したに相違ありません。二階さんは、ハイじゃ辞めるよ、と答えた瞬間、「菅さんが二階さんを切ったのだから、二階派は菅さんを担がない」という流れになりました。
それからは、周到に党内人事の候補者に根回しし、誰も「沈みゆく泥舟」に乗るなと念押ししたのでしょう。人気浮揚の切り札の若造の小泉さんに幹事長を頼みに行って断られ、辞めたらどうか、と言われた時の菅さんの心情は察して余りあります。ここではっきりとはしごを外されたのでありますな。
菅さんには同情の余地もあります。コロナで敵前逃亡して、政権を投げ出した安倍さんの尻拭いをさせられたのです。この時は「つなぎ」とも言われ、空前絶後の難題、国難といわれるコロナと戦う総大将の立場となり、オリンピックという鬼っ子まで抱えていたのですから。
しかし、やはりやるべきではなかった、その資質や度量器量、どれをとっても総理の器ではなく準備も出来ていなかったのです。人望が無く、人事と脅かしで運営すればなんとでもなるという政治手法はいずれ破綻するのです。人数の派閥で党内ではなんの勢力も無い中、安倍シンパと自分の配下で組閣した内閣は貧弱で、経験も能力も無い人が多かったのです。
さて、急に潮目が変わったので、おらが大臣,タロサン（河野）と石破さんの目の色が変わりました。一度は断念した下村さんさえも再考しているみたいです。以前安倍前総理は、これに加え「加藤（官房長官）、茂木大臣」の名前をあげました。河野さんだって麻生派、安倍時代となんら変わりない顔ぶれで「安倍院政」つまり旧態依然とした隠蔽・欺罔政治のままになると考えてさしつかえないのです。
これはまるで、ロシアの民芸品マトリョーシカです。木彫り人形の蓋を開けると一回り小さな同じような姿の人形が入っていて、またその中に小さな人形が入ってるやつです。誰がやっても同じ顔ぶれ、だんだん小粒になるだけのことです。
有権者の皆さんに、お願いしたい。自民党政治のおかげで戦後日本が劣化しているのです。このままではワタシ達は更に泥沼に沈んでいくのです。どうすればいい世の中に変わるのか、一緒に考えませんか？
