植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

64(ムシ)には負けない

2021年09月14日 | 植物
昨日53の話でしたから、今日は64(虫)のお話です。生前の殺生が死後の行き先を決めるとしたら、ワタシは間違いなく地獄行であります。

 このところ、ぶどう棚に集まるコガネムシがようやく減ってきました。最盛期には毎朝20匹ほど駆除(踏み潰す)していましたが、今朝は1匹だけ。ここ数日も2,3匹いるかどうかです。コガネムシは寿命が1年ほどで、5月頃から成虫が現れ、あたりかまわず様々な葉っぱを食い散らかします。8月までに土中に産卵したら、そのまま命が尽きるのだそうです。オスはどうか知りませんが。

 9月になって奴らが来なくなったから安心してはなりません。すでに、産卵を終えて20匹以上が間もなく孵化してきます。ワタシは基本無農薬で園芸生活を楽しんでおりますが、コガネムシの幼虫による植物の根の被害は看過できないので、この時期にダイアジノン散布を行います。ブドウや柑橘は収穫がこれからなので、そうした果樹の根元だけは避けて、バラや畠、果樹コーナー全般に万遍なく薬を撒くのです。

 一方夏は一日中日陰でのんびりしていた蚊は、今の時期は狂暴になります。人間で言えば、南国の暑い地方の人たちが昼寝をし、あくせく働かないのと一緒であります。寒さを感じると、冬を生き残るために必死に血を吸いに来るのか、あるいは最後の繁殖と感じているのかは知りませんが、追い払っても逃げずに体に止まってすぐに口吻を刺します。

 この夏最も不思議だったのがアゲハの幼虫でした。初夏から飛び始めるアゲハ蝶は柑橘類を好み、せっせと産卵いたします。アゲハは逃がしてやるのですが、その卵と幼虫は容赦なく駆除することにしています。それが今年ほとんどいないのです。とりわけレモンやフィンガーライム、デコポンには毎年多くの幼虫を見つけるのに、今年はほとんどいません。殺虫剤は春以降撒いておりません。その証拠に、柑橘類の葉っぱに絵を描くミカンハモグリガは発生しています。
 ご近所の園芸好きおばさんによると、アシナガバチが大量発生してアゲハの幼虫を食べつくしているのだそうです。「ほんまかいな?」なんにせよ、大事な柑橘類の葉っぱが無傷なのは歓迎です。果実の生育は木が大きく育て、健康な葉っぱの数で決まります。柑橘一個当たりの葉っぱの数(およそ100枚以上)で大きく甘いものが出来るか否かが決まります。それで、生産農家さんは早いうちから適正な摘果を行うのです。

 逆にここでよく見つけるのが「イラガ」の幼虫です。柿の葉っぱ、プラム、バラ、ナツメなどあまり木を選ばないのです。黄緑色でグロテスクなとげとげだらけの幼虫は、葉を食害するだけでなく、非常に強い毒性があり、触っただけで電気に触れたような強い痛みが続きます。もし草取りなどしていて背中にでも入れば、エライことになるでしょう。仲良く横並びになって葉を丸坊主にしますので、よく観察すればすぐ見つけることが出来ます。発見次第「キンチョール」で駆除します。

 こうして、ひと夏64(ムシ)捕りをいたしました。今は、冬野菜の植え付けを致しております。ジャガイモ、玉ねぎ、にんにくを植えました。あとはブロッコリーの苗を植え、人参、大根あたりの種をまけばひと段落です。

 本当は危険なんです。特にブロッコリーや大根などの大きな葉っぱは「ヨトウガ」が産卵するのです。春と秋に大発生するヨトウガから孵ったヨトウムシは、葉も茎も根も食い荒らす、園芸家にとって最大の難敵です。昼間には土に潜っているので気づかないので、とにかく産卵したものを見つけて駆除するというのが大事なのです。これを64(無視)したら畑の土中がヨトウムシだらけになります。64との戦いは初冬まで続くのです。
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