日本企業の競争力が落ちて、世界から取り残されております。ワタシ達が小学校の頃から習った日本は「加工貿易」で成長しているというものでした。資源が乏しいので他国から輸入した原材料を加工して輸出するのだと。復興期から高度成長期に入ると人口増や企業成長から、マイホームブーム、ベビーブームが生まれ内需中心の消費が大幅に増えました。これに影を落としたのが昭和４０年後半のオイルショックでしたね。中東の国が原油価格を引き上げ、日本の産業も原料価格の高騰で様々なショックを受け、国民生活も一時的に混乱しました。
以降立ち直った日本経済は間もなく好景気・高収入に支えられたインフレが起き、株高・高金利といった現象がバブルに向かうことになりました。NTT株公開を機に株を売り買いする人が急増し、NTT長者が生まれました。預金利息も５％を超えて、企業が借入してまでも高利回りの金融資産に資金を投入する「財テク」全盛期になりました。銀行はじゃぶじゃぶ貸し出し競争を続け、不動産に向かいましたから地価も高騰しました。
そこで、政府が取ったのが不動産融資の上限「総量規制」を設ける政策でした。これで一挙にバブルがはじけました。銀行の融資は焦げ付き、企業は財テク頼みで本業投資を怠ったため業績も急降下したのです。ハードランディングと言われた手法は、企業を傷つけ大量の失業者を生みました。その後は公的資金を投入しながら消費税を上げて景気の回復を遅らせて「失われた３０年」に突入いたしました。
先日「半導体競争に負けた日本」のことを報道番組で取り上げていました。ピークで日本は世界生産量の50％以上占めていたのが今や6％に落ち込んでいます。台湾に抜かれて世界５位、おそらく現時点ではその下の中国にも抜かれているでしょう。
その原因は、バブルがはじけて日本企業の国際競争力が落ちたこと、経営者がかつてのシェアにあぐらをかいて、投資や研究開発を怠ったことが挙げられますが、もう一つは政府の円高容認であります。円高が進行すると海外からの輸入は安くなりますが、輸出品は当然割高になります。海外旅行は安上がりになる一方、外国人旅行者にとっては元から物価が高い日本、さらに割高の買い物となるので敬遠します。
半導体が売れなくなって、電機メーカーは軒並み業績が悪化しサンヨーやシャープは海外に身売りする羽目になりました。シャープを買収した台湾が５位に浮上した理由はそこにあるのです。現在は中国企業がアメリカや韓国・日本から半導体の専門家・技術者を引き抜いて急成長をします。中国のお家芸、研究開発あは他国任せ、完成したら産業スパイ・ハッキングと技術者お買い上げでまるごと盗んでいきます。
かつて世界一だった液晶技術も似たり寄ったり、サムスンにシェアを奪われ、トップブランドを誇った東芝は、公開買い付けかなんかで海外へ身売り、風前の灯火であります。こうした傾向に対して日本政府は自国の産業を守り、人材・企業情報の流出を防ぐどころか、中国などにはどんどん企業進出・技術協力を奨励したのです。
最近ではコロナワクチンが熱望されていますが、結局ここに至るまで国産ワクチンの生産はめども立たず、菅さんがアメリカに「ワクチン頂戴」とばかり乞食外交に言っております。日本の製薬会社はどこも試薬を作り治験に乗り出したという話になりません。厚労省の承認基準が厳しく認可手続きが時間がかかる、コロナ感染者が少ないのでサンプルデータが取れない理由だそうですが、やれない理由を並べるのは誰でもできます。
政府がその気になれば出来たはずなのです。1年以上時間があったんですよ。大手製薬メーカーに号令をかけ、官民一体で開発し、国内外の有料での治験を実施すれば。そもそも以前サーズとかが流行し始めた時も手をこまねいていて、ワクチン製造のノウハウや製造ラインの設置などが出来ていなかったのです。「パンデミック」発生時の危機対応能力が全くない政府は「未知のウィルス」だから仕方ないと、戦う前から白旗をあげ、下らぬGotoで感染者を増やしたのです。
ワタシの記憶では去年の暮れの時点で国民全員のワクチンは予約済みで確保したと胸をはっていたんです。米英では昨年１２月に接種を始め、数十％の国民が接種しました。しかし、日本では自前の国産ワクチンはおろか他国のワクチンも入ってきません。政府は「いまやるすぐやるしっかりやる」とやるやる詐欺で、国民がみんな２回打ち終わるまで何年かかるか見当もつかないのです。２月から開始したはずの接種は国民の１％未満、ワクチン接種する側の医者すら打っていないそうであります。２か月で１％なら、その100倍、200か月かかる計算になりますね。
「無策」むさく・MUSAKUなんですよ
