すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【森保ジャパン】喪失感しか残らなかった凡戦 〜日本4-0キルギス

2018-11-21 08:03:54 | サッカー日本代表
バックアッパー不在が深刻だ

 ベネズエラ戦から11人を総替えし、控え組が先発したキルギス戦で露呈したのは深刻なバックアッパー不在だった。敵の陣形を崩すトライがない。「レギュラーを奪うぞ」という緊迫感もない。観る者をワクワクさせるような躍動感などまるでない。ないないづくしの前半だった。

 立ち上がり、左SB山中亮輔が放ったすばらしいシュートによる先制点でオッと思わせたが、それ以降はキルギスが構える5-4-1ブロックの外側をただひたすら安全にUの字を描くようにパスを回すだけ。鋭い縦パスを突き刺す試みもなければ、ドリブルで仕掛ける選手もいない。複数の選手が連動するダイナミズムやパススピードもない。パスの出し手と受け手の1対1の関係だけで、3人目の動きがない。

 最前線にいるワントップの杉本はボールがまるで足についておらず、トラップを弾きまくる。ボールが収まらない。かと思えばオフ・ザ・ボールになったらとたんに「気持ち」を切り、足を止めてラクをしたがる。激しい競争のないJリーグで「そこそこの給料もらってそこそこの人生送ってます」みたいな典型的なぬるま湯サッカーである。

 ビッグクラブへの移籍を狙い、人生をかけてヨーロッパの底辺にいる中級クラブで「這い上がり」を狙う南野のような切迫したハングリー感がまるで欠落している。もはや生き方のちがいといえる。逆に何点奪われても、ファイティングポーズを取って食らいついてきたキルギスのひたむきさばかりが相対的に目立った。これでは日本代表はスタメン組がケガをすればそこで終わりだ。深刻な問題である。

守田と北川、山中は光ったが…………

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが権田修一。最終ラインは右から室屋、三浦、槙野、山中。セントラルMFは三竿と守田。2列目は右から伊東、北川、原口。ワントップは杉本だ。

 まるでインパクトがなかった先発組のなかで気を吐いたのは、左サイドからドリブルでカットインしてチャンスを作った左SB山中亮輔のほか、ボールの引き出しと鋭い縦パスが光ったセントラルMFの守田英正、安定感とボールスピードのあった槙野智章。それから打点の高いCB三浦弦太のヘディングシュートも目を引いた。

 また3点目にからんだ北川航也もよかった。守田が中盤からダイレクトですばらしい縦パスを入れ、それを北川がダイレクトで落とす。途中出場の大迫が受け、正確にダイレクトシュートを放った。3つのスピーデイーなダイレクトプレイが光っていた。北川と守田は、力のある選手たちと組めばやるかもしれない。

 個人的に非常に残念だったのが、2本の決定的なシュートを外した右MFの伊東純也だ。あれをどちらか1本でも決めていればインパクトはまるでちがった。彼のケタちがいのスピードとドリブルは捨てるには惜しい。この日は絞り気味でハーフスペースをうまく使っていただけに、あの2回の逸機は痛い。また2点目は取ったが原口もこの日は持ち前のアグレッシブさが見えなかった。

 後半14分以降に途中出場し、3点目と4点目を奪った大迫や堂安、中島らのプレイには触れるまでもないだろう。彼らレギュラー組が出てくるととたんにプレースピードと展開の速さが変わり、試合に爆発的なダイナミズムが生まれた。先発組とレギュラー組とのあまりに大きすぎる落差は埋めようがない。

 一部報道によれば、日本サッカー協会の関塚隆技術委員長と森保監督は今週末からヨーロッパ視察に出るようだ。FWの武藤嘉紀や久保裕也、セントラルMFの小林祐希、場合によっては香川や乾の招集もあるかもしれない。いずれにしろ、来年1月に迫ったアジアカップで堂々優勝できるだけの陣容を整えてほしいものだ。

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