すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【代表メンバー発表】サウジ戦で新人を起用するかがポイントだ

2016-11-06 07:29:15 | サッカー日本代表
大迫、井手口、小林祐希は出場するか?

 オマーン&サウジ戦に向けてのメンバーに、期待の新顔が何人か選ばれて話題になった。なかでもFWの大迫、MFの井手口、小林祐希が目を引く。彼らを呼んだセレクションが「画期的だ」と持て囃されている。

 ただし問題は彼らが実戦に起用されるかどうかだ。なぜならハリルはこれまで、新人は呼ぶだけ呼んで試合でまったく使わないか、使っても後半の30分〜40分台の出場という顔見せみたいな起用しかしてこなかったからだ。テストであるオマーン戦で彼ら3人に加え清武、齋藤学あたりを使わないのはありえないと思うが、問題はサウジ戦だ。

 サウジ戦のスタメン予想としては、トップ下は清武でなくやはり香川。ボランチは井手口や永木でなく、長谷部と山口の組み合わせ。ワントップは大迫でなく岡崎がスタメン起用されるのではないか? で、あとの新人は後半30分〜40分台に申し訳程度に交代出場させるーー。もしこの通りだとすれば、ハリルの選手起用は相変わらず超・保守的だということになる。さていったいハリルの選手起用は変わったのか、それとも変わりないのか? この点にぜひ注目したい。

 なお柏木が選ばれなかったことでいろんな深読みがされているが、私はもっと単純な理由だと思う。彼は敵から厳しくプレスをかけられると何もできなくなる傾向があり、よって相手が引いてくる対アジアの格下専用の駒にしかならない。そのことにハリルがそろそろ気づいたのだろう。

 いずれにしろ今回の選出を機にハリルの選手起用が革新的に変わるのか? それとも相変わらず保守的なままなのか? 今後を占う潮目になりそうだ。

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​【代表メンバー発表会見】「太陽は青い」と言い換えるハリルの論争術

2016-11-05 11:04:47 | サッカー日本代表
流れの中では失点していない

 4日に、オマーン戦とサウジ戦に臨むサッカー日本代表メンバーの発表会見が行われた。席上、「最終予選では全ての試合で先制点を取っていながら苦しい展開になるのはなぜか?」という主旨の質問に対し、ハリルの巧みな弁舌が炸裂した。「失点はすべてFK、PKから。流れの中では失点していない」と話をすり替えたのだ。過去の記事で「ハリルは劇場型の策士だ」とプロファイリングしたが、あらためてハリルの高度な論争術に感心しきりである。

 アジア最終予選でハリルジャパンは、すべての試合で先制点を取りながら現状3位に甘んじている。そんな中での先制点と苦戦を関連付ける質問とあって、ハリルは「自分への批判だ」と感じたのだろう。それまでの語り口から豹変し、語気に力を込めながらこう答えた。

「(最終予選では)流れの中で点を取られていない。失点はあるがFKやPKからだ。つまり90分を通してしっかりオーガナイズされている」

 先制点を取りながら苦しむのはなぜか? との質問に対し、「セットプレイから失点しているからだ」と答えるだけなら理路整然としている。だが「流れの中では失点していない」「しっかりオーガナイズされている」と結論づけるのは、論争で相手に勝とうとするときに使う論法だ。​あたかもチームが今までピンチに陥ったことがないかのような印象操作をしている。

 だがFKやPKのモトになったファウルをなぜ日本は犯したのか? を分析すれば、「その局面はピンチだった」もしくは「ファウルを犯したのは自分たちのミスだった」という証明になりハリルの論旨は崩壊する。にもかかわらず彼は「流れの中で失点してないから崩されていない」と言い切る。すなわち「太陽は青い」と議論をすり替え、敵を論破する巧みな論争術だ。​

 さすが劇場型の策士である。このあたり人間としての面白みがすごく豊かで、歴代監督の中でいちばん大好きな人物だと確信した。

 ただし個人的な好き嫌い(主観)と、客観的な評価は別物だ。もし今後も清武でなく香川をスタメン起用するようなら解任すべしである。

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【サッカー日本代表】相手の良さを消すハリル流は日本に合うか?

2016-11-02 08:08:55 | サッカー日本代表
カギは選手の柔軟性だ

 先日のオーストラリア戦で見られたように、ハリルのサッカーは徹底して相手の良さを消すスタイルだ。まず自分たちのスタイルが先にあるのではない。相手をスカウティングし、「彼らの武器を殺すにはどうするか?」を考えるやり方をする。

 そういえば2015年8月に開かれた東アジアカップでも、大会最強と目された韓国戦ではオーストラリア戦同様、ハリルは相手を警戒し用心深くゾーンを低めに設定していた。とすればこうしたスカウティング後のトレーニングこそが試合の成否を決める。

 この相手の特徴に応じてカメレオンのようにスタイルを変えるやり方が、ともすれば「目指す形が見えない」「行き当たりばったりだ」のような批判を呼んでいるのかもしれない。やり方が試合ごとに変わるため、選手がそれを消化しきれず「未完成感」が漂うのではないか? とすればこうした批判は木を見て森を見ずなのかもしれない。

 ただしハリルの方法論でひとつ気になるのは、選手がそれを完遂できるかどうかだ。例えば自分たちが目指すサッカーのスタイルをひとつ設定し、その実現に向けトレーニングを積んだとしても完成までには一定期間かかる。だがハリルのやり方では、対戦相手によってその都度異なるスタイルをこなして行かなければならない。

 日本の選手たちにその臨機応変さがあるかどうか? どこまで自分たちの柔軟性が通用するか? 案外、敵は対戦相手ではなく自分なのかもしれない。

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【サッカー日本代表】短所を直すか? 長所を伸ばすか?

2016-11-01 08:51:03 | サッカー日本代表
ハリルの「デュエル」をめぐる二項対立

 ハリルはデュエルを重視する。それに対し「競り合いの強さなんてプロなら当然だ。今さら何を言うか」とマジメな顔をして憤慨する人がいる。だがそういう人は海外のサッカーを見たことがないのだろう。競り合いを嫌がり、ちょっとカラダが相手と触れると、すぐ大げさに倒れてファウルをもらおうとする日本人選手のなんと多いことか。

 明らかにデュエルは、日本人が劣る要素だ。

 するとたちまちここで、サッカーでよくある二項対立が立ち現れる。短所を直すか? 長所を伸ばすか? である。すなわち欠けているデュエルを身につけるのか? それとも逆に日本人が優れた部分、例えばアジリティで勝負するのか? こう思考する誘惑に駆られる。

 だが過去にももっともらしい論争があったように、サッカーにおける二項対立には注意が必要だ。例えば「個か? 組織か?」とか、「アクション・サッカーか? リアクション・サッカーか?」という議論である。

 一見、これらは二項対立のように見えてそうではない。前者は結局どちらもサッカーに不可欠な要素だし、後者は「どちらが正しいか?」の問題でなく単なる価値観の違いである。こんなふうにサッカーでは二項対立のように見えて、まちがった方向へ議論を誘導してしまうことがよくある。

 結論としてデュエルを捨て、アジリティを伸ばして勝負する、というのはサッカーではありえない。「長所を伸ばす」といえば聞こえはいいが、ゆとり教育と同じだ。サッカーでは短所を克服することも同時に必要なのである。

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