すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【森保批判を整理する2】選手の「テスト」だったメキシコ戦

2020-12-26 08:21:51 | サッカー戦術論
勝ちに行く試合ではなかった

 今回は、前回の【森保批判を整理する】で触れた論点をさらに深めてみる。2020年11月に行われた国際親善試合のメキシコ戦は、果たして森保監督にとって勝ちに行く試合だったのか? それとも選手の「テスト」だったのか? である。

 前回の記事でも書いたが、結論からいえば「選手のテスト」だったのだと思う。

 だからスペースがあってこそ生きる浅野は、後半になってスペースがないにもかかわらず(テストだから)途中起用されたのだ。

 ネットには「ゴールを決められなかった鈴木武蔵をもっと早く引っ込め、まだスペースがあるうちに浅野を出していれば」という意見も見られた。だがおそらく森保監督の中で武蔵は浅野よりだいぶんプライオリティが高い選手であり、武蔵はギリギリまで引っ張って使って「見たかった」のだと思う。

特に橋本拳人はもう一度チェックしておく必要があった

 とすれば前回の記事でも書いたが、武蔵と南野拓実の交代は同じFW同士を替えて「南野の力を再確認する」ための交代だ。

 一方、柴崎岳と橋本拳人の交代は、同じセントラルMF同士を替えて「橋本をテストする」ための交代である。

 特に橋本拳人に関しては、柴崎が何試合か不安定だったのでぜひ橋本を試してみたかった(行う価値のある)起用だった。なぜなら柴崎が不調のとき、橋本にやれるメドが立てばメンバー構成上、駒が豊富になり非常に意味があるからだ。

 つまりメキシコ戦はほぼすべての交代が実戦で選手を見てテストするための交代であり、「試合に勝ちに行くため」の交代ではなかったと考えられる。実は森保監督が行う選手交代は、このケースが非常に多い。

やはり清水英斗氏「メキシコのシステム変更に対抗した」は読み違い?

 となるとサッカージャーナリスト、清水英斗氏が記事『森保一監督は、いつ「無能の仮面」を外すのか。巷に渦巻く“監督解任論“の是非を問う』のなかで、「57分に武蔵と柴崎に代え南野と橋本を投入したのは、メキシコのシステム変更に対抗した交代策だ」と分析されていたが、それは読み違いではないか? ということになる。

 つまりあの交代策はメキシコのシステム変更に対応したものではなく、単なる「選手のテストだった」のではないか? ということだ。しかもあれらの交代策は森保監督が、「今日の試合では南野と橋本、浅野を途中投入して彼らをチェックしよう」と事前に考えてあった可能性が高い。

 なぜなら繰り返しになるが、リードしたメキシコが後半に引いて試合を終わらせようとしていたためスペースがない中、にもかかわらずスペースがあってこそ生きる浅野を投入しているからだ。試合の「内容」に応じた起用としては甚だ疑問が残る。

 ということは、一連の交代策はあらかじめ試合前に考えてあったものを機械的に実行したものだと推測できるのだ。

 こんなふうに交代策ひとつとっても、疑いの目を持ち深く思考すると見えてくる事実があっておもしろい。これだからサッカー観戦はやめられないのだ。

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