すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【天皇杯・準決勝】冴え渡るカウンター、受け流す技術 〜鹿島2-0横浜FM

2016-12-30 11:36:10 | Jリーグ
相手の攻めを「いなす」鹿島の独壇場

 SBを高く上げサイドから攻める鹿島アントラーズと、ドリブルからフィニッシュに行く横浜F・マリノスという対照的な対戦になった。鹿島はいずれも得意なカウンターから2ゴールを上げ、守っては横浜FMの波状攻撃を堅い守備で柳のようにサラリと受け流す。終わってみれば2-0と鹿島の「大人の試合運び」が光った試合だった。

 鹿島のシステムはベーシックな4-4-2だ。攻撃時には両SBを高く上げて基点を作る。そのためボールが中盤にあるときは2-2-4-2、ボールが前線に渡ると2-2-2-4のような形になってフィニッシュへ行く。一方のマリノスは4-2-3-1だが、相手ボールになるとリトリートして4-4-2のブロックを組んで守る。攻めはマルティノスと斎藤学が軸になり、主にドリブルからラストパスを出す形だ。

 マリノスはドリブルを交えポゼッションして攻めるが、決定機はあるものの鹿島の堅い守備に弾き返され決めることができない。鹿島はまるで剣の達人のように相手の攻めをサラリといなす。そしてボールを奪うと得意の速攻だ。前半41分にはカウンターから鹿島がチャンスを作り、最後はMF柴崎岳の右からのクロスをFW土居聖真がヘッドで決めて1点目をあげる。

 続く後半28分には、マリノスの致命的なタテへのミスパスをカットした鹿島がまたもカウンターを発動。MF永木亮太のスルーパスが入り、最後は柴崎の右からの折り返しを途中出場のFW鈴木優磨が決めた。

 鹿島はこのようにカウンターのチームだが、ひとくちに「堅守速攻」といっても自陣にべったり引いているわけではない。最終ラインを高く保ち、コンパクトな陣形から全体のゾーンを圧縮してボールを奪う。またワンプレー、ワンプレーの精度が明らかにマリノスより上で、ミスが非常に少ない。

 鹿島の選手はフォームも美しく、プレー時にしっかり腰が入っている。足先だけの軽いプレーが目立つマリノスとは対照的だった。マリノスにもチャンスはあったが、結局は鹿島のゲームプラン通りに進んだ横綱相撲といっていいだろう。

 最後に、個人的に注目しているマリノスの斎藤学について。彼のキレのあるドリブルはJリーグでは通用しているが、問題は世界に出たとき武器になるかどうかだ。彼はこの日、4〜5本のシュートを打ったが決められなかった。鋭いドリブルからラストパスやシュートに行く彼のスタイルは非常に魅力的であり、決定力さえ磨けば日本代表におもしろい選択肢をもたらす選手になりそうだ。
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