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すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

【れいわ新選組・米村明美さん】日本は「2人に1人」の大学生が奨学金(借金)を背負い社会に出る

2025-05-25 10:48:09 | 政治経済
米州開発銀行では今とは逆に「新自由主義」を進める仕事をしていた
✴︎次の参議院選挙で兵庫から出る予定のれいわ新選組・米村明美さん。長くユネスコに務め、教育の分野を専門に活動してきた。(ちなみに動画は、YouTubeチャンネル「つまりはなにかch れいわ新選組」さんより引用した)

「借金返し」から始まる日本人の社会人生活とは?

 YouTube動画で、次の参院選に兵庫選挙区から出る予定のれいわ新選組・米村明美さんの「おしゃべり会」での話を聞いた。

 過去にこの記事でも書いた通り、米村さんはれいわ新選組が結党したまさに2019年当時、たまたま赴任先のアフリカで山本太郎代表の動画を観て、彼が主張する論理に衝撃を覚えた。

 以降、価値観がすっかり変わり、あわてて2021年に帰国してれいわの活動に身を投じた人だ。

 以下、なるべくオリジナルの「おしゃべり会での彼女の語り」を生かした方がいいと考え、ご本人の一人称で「おしゃべり会」の内容を文字起こしした。(ただし、すべて掲載すると長くなるため、適宜、要約した。その旨、ご了承いただきたい)

 そして文字起こしの最後にちょっとだけ、私なりの「感想めいたもの」をつけ加えさせて頂いた。

 では以下、米村さんの「おしゃべり会」での語りの始まり、始まりだ。

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ユネスコで19年間働きアフリカなど世界各国でアドバイスした

 私は「国際教育」が専門です。米大学院へ留学後、米州開発銀行などを経て2002年から約19年間、ユネスコ職員をしてきました。

 この国際教育というのは、教育に関する政策やいろんな問題をリサーチするなど、世界を見渡して各国の政策をアドバイスする仕事です。

 アフリカには10年住み、インドでも教育の仕事をしました。またユネスコの本部があるフランスでは、7年間、特に高等教育の仕事をやりました。

 そんな目で日本を見ていると、日本の教育は世界水準から行けば「高い」と言われていましたが(私も「世界に誇れる日本だ」と思っていたのですが)、でも2019年にアフリカのセネガルという西海岸にいたときに、たまたまインターネットで山本太郎さんの動画と初めて出会い、衝撃を受けたんです。

 その動画で彼が語っていたのは(日本は世界に誇れる国のはずなのに)なんと「2人に1人」の大学生が奨学金という名の借金を背負って社会に出るんだ、という。

 彼らは借金を返すだけでも精一杯です。私はこれが日本の少子化の「大きな原因のひとつ」だと思っています。そして私は日本に帰国するたび、日本の経済力がどんどん弱くなることを実感しました。その原因を、まさに山本太郎さんは的確に説明し射抜いていたと思います。

 当時、非正規雇用がどんどん増えていた。それは私が最初に日本を出た時から始まっていましたが、でもまだ今のような酷さではありませんでした。ところが今は40%の人が非正規雇用なんです。非正規雇用ということは、当然、将来の計画も立てられません。

 こんなふうに若い人が非正規雇用しかなければ、もう来月の仕事さえあるかわからない。来年、仕事があるのかどうかも、当然、わかりません。(こうして資金がなければ家庭の計画も立たないわけだから)当然、この非正規問題は少子化の大きな原因のひとつですよね。

「戦争ができる国」へと邁進する日本に危機感を抱く

 それだけではなく日本は武器輸出を解禁したり、南スーダンに自衛隊を派遣したり、日本は戦争ができる国へと突き進んでいるのではないか? と、ある時点で非常に杞憂しました。

 そして山本太郎さんがれいわ新選組を立ち上げるきっかけになった、2011年の福島の原発事故ですが……私はそのときエチオピアにいました。津波で流される人たち、そしてアフリカからもボランティアが日本に来て援助していました。

 世界がとても心配して日本を見ていたのですが、「何かおかしいな?」というところもありました。

 それは原発が爆発しているというのに、日本では「あまり事故のことが伝えられてない」ということを聞いたからです。

 私のメディア関係の友人なんて日本に子供がいて、「あなた、ここで何をしているの? 早く逃げなさい!」とまで言っていました。

 そこでやっとわかったのは「日本のメディアもおかしくなっているんだな」ということでした。で、これは海外で国際協力をしてる場合じゃない、といろいろ悩んだんです。

 そしてユネスコの定年まであと3年あったんですが、もう3年早く退職し帰国して、まず私の母校である関西外国語大学で3年間、生徒に教える機会を頂きました。

 関西外大では、グローバル・シチズン・シップ(地球全体を一つのコミュニティと捉え、世界の一員として責任を持って行動する意識のこと)とか、国際関係の授業をやりました。

 そこでグローバルな課題を教えると同時に、若者は選挙へ行ってください、そうすれば今のいろんな問題が解決するんですよ、とグローバルな課題と選挙を繋げて授業をしていました。

無自覚に「新自由主義」や「民営化」の仕事をしている自分に気づいた

 それ以前の前歴を少し自己紹介すると、私はもともと英語の先生をしていてアメリカへ勉強に行ったんです。米州開発銀行というところで働いていたんですが、そこはいま、れいわ新選組が反対している「新自由主義」を進めている機関だったんです。

 つまり当時、私は(無自覚に)今とは真逆のことをやっていたわけですね。

 そして1980年代くらいにジョージ・ブッシュ・シニア(ブッシュのお父さん)が、どんどん民営化を進めて行こうというのを南米で進めていました。

 私はその米州開発銀行で民営化を推進する仕事をしていたんです。でも私はその頃は、「それが一体どういう意味をもつのか?」なんていうことに(いまと違って)気づいてすらいませんでした。

 でもいま考えれば……これだけ世界でいろんな格差が広がっているのは、実は世界中で新自由主義を繰り広げた結果なんだな、ということが理解できました。

「いままさに日本はその格差社会になっている」と気づく

 その後、私は教育を専門として博士号を取り、ユネスコで働くことになったんです。で、私は47ケ国を回りました。ちなみにそのうちグローバル・ノースと呼ばれるのが先進国。一方、グローバル・サウスと呼ばれるのが途上国を指します。

 こういう国々を訪れたり、あるいはそこに住んだり、またブラジルの研究をして博士号を取りました。なぜブラジルかといえば、あそこは格差がすごいんです。

 お金持ちはそれこそプライベート・ジェットで仕事に行くかと思えば、リオデジャネイロにあるスラムでは貧しい子供が銃を振り回したり、売春などいろんな犯罪に巻き込まれてしまう。

 格差社会が広がれば広がるほど、こうした暴力は蔓延します。ですから私は格差をなくしていかなければならないと思い、ブラジルの研究をしたとき「日本のような平等な国になってくれればいいな」などと(今から思えば)ノンキに思っていました。

 ところが(れいわ新選組が結党した)2019年の山本太郎さんの動画を観て、「いままさに日本はその格差社会になっているんだ」ということに気づいたんですーー。

消費税廃止のための国債発行は「短期的な政策」です
 
 で、そんな日本を変えるための私の政策ですが、大きくは4つあります。

 まず税制改革をし、格差をなくして行く。私は「消費税廃止」を唱えていますが、これはいま直近で困っている人を助けるための「短期の政策」です。

 国債を永久に発行して行こう、なんて言うことじゃなく、すぐ刷れる国債を出し、すぐ緊急に困っている人を助けよう、ということです。

 また税金の取り方を変えると同時に、税金の使い方を変えることも考えています。前者は累進課税(所得や財産などに応じて税率が段階的に上がる仕組み)にすることです。

 また税金の使い方については私は教育が専門ですから、予算の配分を考えるとき、もっと社会保障や教育にお金をかけて行きたいと考えています。

予算は防衛費でなく社会保障と教育の充実に

 いま日本の防衛費はどんどん増えています。日本は戦争をする国になろうとしてるんじゃないか? 沖縄を見ればわかる通り、もう本当に戦争の準備をしているとしか思えません。

 私は戦争を止めたい。防衛費ではなく、外交で平和を築いて行きたいんです。

 だから税金の使い方は社会保障、特に教育を充実させたいと思っています。

 そして「脱原発」はエネルギーに関係することですが……2011年に福島の原発事故が起きて3年くらい原発は「ゼロ」でした。

 でも、みなさんそのとき停電を経験しましたか? なかったですよね? つまり原発はなくてもエネルギーはあるんです。

 ではなぜ「エネルギーがなくなる」、「経済成長の妨げになる」といわれるのか? そんなものは完全なプロパガンダなんです。原発を推進したい人がそう言っているだけなんです。

 例えば原発の専門家に聞くと、「エネルギーは十分ある」と言います。そして「原発はとても高いエネルギーだ」ということです。またそもそも原発は危険なものです。

 特に日本のような「地震大国」は原発なんて持ってはいけない。だから私はいますぐ、今日にでも原発を止めたいと思っています。

 特にこの阪神地域では、30年前に大きな地震がありました。次にそんな規模の地震がもし来たら、耐えられる原発なんてありませんよ。

 だから私はまず、すぐやるべきことは原発を止めて廃炉にすることだと思います。そして再エネに移行して行くことが大切だと考えています。

 また平和外交については(先ほど申しましたように)武器で平和を築くのではなく、外交で築くのだ、ということです。

日本の「教育予算」はOECD(経済協力開発機構)で最低レベルだ

 一方、日本の教育予算は、OECD(経済協力開発機構/ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関)の中では最低レベルです。

 そして日本はGDPの4%を教育予算に当てていますが、かたやOECDの平均は4.9%です。だから日本は平均より低い、ということです。

 一方、ユネスコなど国際機関では、GDPの4〜6%を教育費に充てることを勧めています。そう考えれば日本はもうギリギリのラインにすぎず、少なすぎるということです。

 特に日本の場合、高等教育に関しては学費の約半分が(公的に賄われるのではなく)「家計」から捻出されています。

 ですがOECDの平均を見ると、学費は家計のたった19%に過ぎません。日本は家計が高等教育につぎ込まれる割合がとても高い。その意味では、日本人は「それが当たり前だと思い込まされている」わけです。

 だからそこは「変えて行ける」と私は思っています。

高騰化する学費、教育の「無償化」を進めたい

 そして授業料も日本はどんどん高くなっています。国公立もかなり高くなっている。ちなみに私が子供のころなんて、国立大学は年間3万円位でした。

 でもそれが今や何十万円もかかります。例えばOECDの発表では、日本の国公立はだいたい80万円くらいかかる。これもOECDの平均よりかなり上です。

 そして日本では大多数の人が私立大学へ行きますが、私立の授業料は国公立の2倍くらいになっています。これでは大学にかかる費用が多すぎます。

 これを家計や学生さん自身がアルバイトしたり借金したりして払っているのが現状です。

 そこでれいわ新選組は、何をしたいか?

 まず教育の予算を増やし、「教育無償化」を実現したい。そして「奨学金特政令」で、奨学金の返済に苦しむ580万人の借金をチャラにしたいんです。

 一方、すでに払った人は不公平じゃないか? という意見もあるので、そういったことも考慮していかないといけないと思います。

【私(松岡)の補足】もし万一ここまで読んである種の「違和感」を感じた人に問いたい
 
 さて、ここで(ちょっとバランスを取る意味で)筆者の余計な補足を入れよう。

 米村さんの分析は実に客観的で、真っ当だ。日本の現状を鋭く射抜いていると感じる。

 だがひょっとしたらこれを読んだ特に若い人のうち、「ある種の層」にはもしかすると響きにくいかもしれない。

 それはこれまでの米村さんのお話を読み、えっ? 日本は「戦争ができる国になっちゃいけない」のか? とか、「日本を取り巻く危機的な安全保障の現状に何も感じないのか?」「なんだか(微妙に左に寄った)内容だなぁ」なーんて感じている人たちに向け、以下の付記をちょっと書いておきたいなぁ、と思ったのだ。

 そんな人たちには、ぜひ以下に書く私の実体験を(騙された思って)ひとつだけ聞いて欲しい。これは本当にあった話である。

 確か90年代あたりだったかに、私はそれまでさんざん世の中で繰り返し聞かされてきた「人権とか平和とか」の左派的なお話にすっかり飽き飽きし、嫌気がさしてしまったことがある。

 で、当時、ハマっていた討論番組「朝ナマ」なんかの影響もあり、ちょっと刺激的だなと感じた「右側」の世界を試しに覗いてみたことがあるのだ。

 その理由のひとつには「お前は人権真理教だな」なーんてバカにされるのがイヤだった、なんていうのもある。

 で、あっち(ライト・ウイング)側でいろんな人を紹介されたり、その思想に触れたりと、それなりに生産的な交流もできた。

 自分でもいろんな本を読んで知識を蓄え、それなりに「そっち方向」の考え方に納得できた。

 彼らがいったい何を考えているのか? それがよくわかった。あのときの体験は、今から思えばとても勉強になったと思う。

だんだん「右」は過激で危ない状況になって行った

 だがその後、だんだん「あっちの世界」は、もうひたすら過激な方向にエスカレートする一方になったのだ。

 で、ややもすると今にも暴発しかねない危険な状態になってしまったな、と感じるようになってしまった。

 ちょっと飽きたから試しに「逆方向へ」と行ってみたらば、「かなり危ない世界になって行った」というわけだ。

 つまり世の中全体が完全に右の方向へと「逆回転」し切ってしまい、もう「人の命なんてクソ食らえだ」「国家のために死ねよ、お前ら」「あの特攻隊は尊かったんだ!」みたいな、人の命がすっかり軽い、いまの世の中になってみてしみじみ感じることは……。

 ああ、実は(あの自分がさんざん聞かされた挙句に、一度は決定的に嫌気がさした)「人権」という概念って、実は限りなく大事だったんだなぁ、とじわじわと実感してきたのだ。

 もうずいぶん前の話だけどね。

「おっさん政治家」がのさばり自分のことしか考えない世界

 それだけじゃない。

 もう「あっち(右)の世界」では、盛んに「おっさん政治家」たちが相変わらずのさばり続けていた。

 いわゆる「プロ」の人たちだ。

 彼らはやたら権力に媚びへつらってカネに汚く、体制の側、すなわち強い者にひたすら付き従う。

 つまり「社会をこんなふうに住みよく変えよう」なんていう自分独自の理想や理念、使命感なんてどこにもない。

 ただ利権を求めて彷徨う「我欲」だけだ。

 そして常に「数の論理」に支配されて政治の行方が決まり、自分たちもそれに唯諾々と付き従うーー。

 こんなふうに体制について安住する。

 しかも彼らはやたら「戦争をやりたがる」んだ。もちろんそこには当然、兵器産業やらの利権も絡んでいるだろう。

 でもこれじゃあ、もうダメでしょう?

 だから今こそ「おっさん政治家」とは正反対の位置にある、米村さんのような知的な人材が日本に必要なのだ。

(個人的には、もう政治家は全員「女性に変えたほうがいいんじゃないか?」とすら思っている)

 つまりいったん右に振れすぎた世の中の時計の針を、また「ぐるり」と一回転させてちょっとは左の方向に(いくらか「いい湯加減」まで)巻き戻す作業が必要なんじゃないか?

 そう感じている。

 日本はそんなとてもリスキーな時代に突入してしまったからこそ、ちょっとだけ時計の針をもとに巻き戻してみよう。

 そうやってバランスを取りながらこの一連の危機をうまく回避するため、逆に来たりくる危険因子を中和する「レフト風味」がいま、社会に必要とされてるんじゃないか? そう感じるのだ。

 もちろん「レフト」といっても、程度問題だけど。

 その証拠にれいわ新選組の人たちが話す政策や話の中身を聞いていると、なんだかとても安心できる。

 ささくれだったところがない。

 だから、じんわり心がなごむ。

 もっとも政治の世界においては「まったく新しいコンセプト」を持つれいわ新選組は、もはや「右か? 左か」などという旧来の価値観を問う集団じゃない。

 そんなものには、囚われない。

 あえて彼らの政治軸を示すとすれば、むしろ「上(上流階級)の味方か? それとも下(下層階級)の味方か?」で思考する人々が「れいわ新選組」だろう。

 その意味でも、いまこそ米村さんが謳うような政策が必要なんだと感じている。

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