はてブるとき、私は自分にひとつの決まりを課している。それは他人のコメントを決して先に読まないことだ。まず自分のファースト・インプレッションをコメントに書き、ブクマする。それからおもむろに、同じ記事をブクマしている他人のコメントを読むのである。なぜそうするのか? 先に人の意見を聞いてしまうと、影響されて自分の視点がブレるからだ。
仮にこれを、はてブにおける松岡メソッドと名づけておく。さて松岡メソッドにはメリットもあればデメリットもある。まずメリットから分析していこう。
ひとつめは冒頭にあげたように、他人の意見に左右されずに素の自分を引き出せることだ。
たとえば読後の意見が分かれるような記事を読んだとしよう。あなたは直感的に「AはBである」と感じ、ぜひその考えをはてブっておこうと考えた。もしそのとき、同じ記事をすでにブクマしている他人のコメントを先に読んだとしたら?
「ん? AはCであるって書いてるヤツがけっこういるなぁ。俺はA=Bだと思ったんだけど……よく考えたらAはCみたいな気もしてきたなあ。それでいくか。カタカタカタっ。AはCである、っと」
これではあなたにしか書けないコメントは、決して書けない。常に大勢をうかがい、勝ちそうなほうにセコく賭けるという関が原の戦いにおける小早川秀秋のようなはてブりようになってしまう。
あなたはそれでいいのだろうか? 本当に後悔しないといえるか? 男だったら(いや女でも)一世一代の生き様を、はてブの晴れ舞台に叩きつけるべきではないのだろうか?
ああコーフンしてちょっと筆がすべった。またえっけんさんに「松岡さんたら、まーたゴーインなたとえを!!」とコメントされてしまうぞ。頭を切り替えて冷静に次へ行こう。
他人のコメントを読まずにブクマする第二のメリットは、フタをあける瞬間がスリル満点になることである。
まず自分のコメントを書いてブクマする。で、次にほかの人はどんなコメントつけてんだろうなあ? と、『このエントリーをブックマークしているユーザー』一覧を開くときのあの高揚感。ジェットコースターがじりじりと頂点まで登り切り、ガーッと落ち始める瞬間のような快楽がある。
あーっ、みんな私と正反対のこと書いてるじゃないかっ!
もちろんそんなケースはありえる。だがこれを「赤っ恥かいた」と捉えるのか、それとも自分と他人の思考形態のちがいを整理できたと考えるのとではえらい差だ。
人とのちがいを認識することで、いままで気づかなかった自分が見えてくる。ちがいを材料にして自分の生かし方に気づいたり、あるいは逆に反省することだってあるだろう。
そういえば俺って、こういう局面でいつもネガティブ思考にハマってるよなあ──。
うわぁ。こんな自己顕示欲の出し方をすると痛いヤツだって思われるぞ。これからは気をつけよう──。
そうか。人はこのとき「AはCである」と認識するのか。自分はいつもA=Bだと思っていたけど、これからはCの可能性も考えてみるようにしよう──。
……とまあ、ちがいから教えられることは多い。
さて次はデメリットである。その代表格は、他人のコメントを読まずにブクマすると、コメント内容が思い切りかぶることがある点だ。(あとで書き直せばいいのだが、他人の意見に振り回されてるみたいでアレだし、みたいな話)
たとえば自分の考えたポイントが大きく分けて3つあるとしよう。だがブクマコメントには100文字しか使えない。とすればポイントを絞る必要がある。仮にポイントAとポイントBは、すでにほかの人が書いているとしたら? それならポイントCについて書いたほうがいい。
こうすればブクマコメントを他ユーザと共有したとき、総体としてより多くの論点をあぶり出すことができる。つまり公共の利益にかなうわけだ。
もっともそんなことを考えてコメントするのが「正しい」のかどうかは知らない。ユーザたちのコメント内容が自然にポイントAに偏っていることで、世論のベクトルが浮かび上がるじゃないかという考え方もあるだろう。
あるいはたとえ他人がすでに言及していたとしても、「俺がいちばん強く感じたのはポイントAなんだから」と思うならそれを書けばいい。要は人によってちがうってことだ。
同様に他人のコメントを読まずにブクマするか、読んでからブクマするかは、どっちがいい悪いの問題じゃない。極端な話、記事そのものじゃなく人のブクマコメントを分析するためのコメントだってアリなわけだから。これまた人によるのである。
つまりそれだけソーシャル・ブックマークなるものは、まだ使い方のセオリーやルールが固まってない新しい分野だってことなんだろう。
最後に、今回のエントリを書くきっかけになったのは、aozora21さんのブログ「メモ」の次のくだりを読んだからだ。
人間にとって読む、書く、という作業はすべて、一種の心理テストになっているのかもしれない。
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仮にこれを、はてブにおける松岡メソッドと名づけておく。さて松岡メソッドにはメリットもあればデメリットもある。まずメリットから分析していこう。
ひとつめは冒頭にあげたように、他人の意見に左右されずに素の自分を引き出せることだ。
たとえば読後の意見が分かれるような記事を読んだとしよう。あなたは直感的に「AはBである」と感じ、ぜひその考えをはてブっておこうと考えた。もしそのとき、同じ記事をすでにブクマしている他人のコメントを先に読んだとしたら?
「ん? AはCであるって書いてるヤツがけっこういるなぁ。俺はA=Bだと思ったんだけど……よく考えたらAはCみたいな気もしてきたなあ。それでいくか。カタカタカタっ。AはCである、っと」
これではあなたにしか書けないコメントは、決して書けない。常に大勢をうかがい、勝ちそうなほうにセコく賭けるという関が原の戦いにおける小早川秀秋のようなはてブりようになってしまう。
あなたはそれでいいのだろうか? 本当に後悔しないといえるか? 男だったら(いや女でも)一世一代の生き様を、はてブの晴れ舞台に叩きつけるべきではないのだろうか?
ああコーフンしてちょっと筆がすべった。またえっけんさんに「松岡さんたら、まーたゴーインなたとえを!!」とコメントされてしまうぞ。頭を切り替えて冷静に次へ行こう。
他人のコメントを読まずにブクマする第二のメリットは、フタをあける瞬間がスリル満点になることである。
まず自分のコメントを書いてブクマする。で、次にほかの人はどんなコメントつけてんだろうなあ? と、『このエントリーをブックマークしているユーザー』一覧を開くときのあの高揚感。ジェットコースターがじりじりと頂点まで登り切り、ガーッと落ち始める瞬間のような快楽がある。
あーっ、みんな私と正反対のこと書いてるじゃないかっ!
もちろんそんなケースはありえる。だがこれを「赤っ恥かいた」と捉えるのか、それとも自分と他人の思考形態のちがいを整理できたと考えるのとではえらい差だ。
人とのちがいを認識することで、いままで気づかなかった自分が見えてくる。ちがいを材料にして自分の生かし方に気づいたり、あるいは逆に反省することだってあるだろう。
そういえば俺って、こういう局面でいつもネガティブ思考にハマってるよなあ──。
うわぁ。こんな自己顕示欲の出し方をすると痛いヤツだって思われるぞ。これからは気をつけよう──。
そうか。人はこのとき「AはCである」と認識するのか。自分はいつもA=Bだと思っていたけど、これからはCの可能性も考えてみるようにしよう──。
……とまあ、ちがいから教えられることは多い。
さて次はデメリットである。その代表格は、他人のコメントを読まずにブクマすると、コメント内容が思い切りかぶることがある点だ。(あとで書き直せばいいのだが、他人の意見に振り回されてるみたいでアレだし、みたいな話)
たとえば自分の考えたポイントが大きく分けて3つあるとしよう。だがブクマコメントには100文字しか使えない。とすればポイントを絞る必要がある。仮にポイントAとポイントBは、すでにほかの人が書いているとしたら? それならポイントCについて書いたほうがいい。
こうすればブクマコメントを他ユーザと共有したとき、総体としてより多くの論点をあぶり出すことができる。つまり公共の利益にかなうわけだ。
もっともそんなことを考えてコメントするのが「正しい」のかどうかは知らない。ユーザたちのコメント内容が自然にポイントAに偏っていることで、世論のベクトルが浮かび上がるじゃないかという考え方もあるだろう。
あるいはたとえ他人がすでに言及していたとしても、「俺がいちばん強く感じたのはポイントAなんだから」と思うならそれを書けばいい。要は人によってちがうってことだ。
同様に他人のコメントを読まずにブクマするか、読んでからブクマするかは、どっちがいい悪いの問題じゃない。極端な話、記事そのものじゃなく人のブクマコメントを分析するためのコメントだってアリなわけだから。これまた人によるのである。
つまりそれだけソーシャル・ブックマークなるものは、まだ使い方のセオリーやルールが固まってない新しい分野だってことなんだろう。
最後に、今回のエントリを書くきっかけになったのは、aozora21さんのブログ「メモ」の次のくだりを読んだからだ。
自分は誰かのブクマコメントに左右されて考えるのをやめちまうようなことはしたくないなあと軽く決心してみたり。この一節を読んだおかげで、「ああ、そういえば私はブクマする前に他人のコメントを読まないようにしてるなあ」と自分を発見し、それを言語化することができたのである。
『記事を読ませないブクマコメント?』
人間にとって読む、書く、という作業はすべて、一種の心理テストになっているのかもしれない。
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