ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

札内川ダム

2021-08-17 11:40:31 | 北海道
2021年7月19日 札内川ダム 
 
札内川ダムは北海道河西郡中札内村南札内の十勝川水系札内川にある多目的重力式コンクリートダムです。
札内川は十勝川の主要支流で十勝平野を南北に縦断し農業王国十勝を支える重要河川ですが、渇水や洪水被害が多く抜本的洪水対策や利水対策が望まれていました。
1981年に当地への多目的ダム建設が決定し、1988年(平成元)より本体工事が着手され1998年(平成10年)に札内川ダムが竣工しました。
ダム建設地点が日高山脈襟裳国定公園内に位置することから、建設工事は自然改変を抑制し自然環境の保全に配慮した形で行われました。
また積雪により当期の工事が抑制されることから、工期の短縮が可能なRCD工法が採用されました。
札内川ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、札内川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、札内川沿岸農地約2万ヘクタールへの灌漑用水の供給、十勝中部広域水道企業団を通じ1市4町2村の人口約33万人への上水道用水の供給、電源開発(株)札内川ダム発電所での最大8000キロワットのダム式水力発電を目的としています。
 
中札内中心部から札内川沿いに道道111号線を西進すると札内川ダムに到着します。
国交省直轄ダムらしく、ダム下は『ダム下流公園』として整備されています。
下流から正対
クレスト自由越流頂6門、自然調節式オリフィスは非洪水期ゲート2門、洪水期ゲート1門
ゲートレスダムですがオリフィス部分が凝ったデザインになっており大量生産ダムとは一線を隔しています。
 
オリフィスをズームアップ
上段2門は非洪水期ゲート、下段1門は洪水期ゲートですが、穴が三つでシュミラクラ現象により顔にも見えちゃいます。
一方操作室は円形の前面に窓が配置されこちらはロボットの頭にも見えます。
 
 
右岸から
堤高114メートル、堤頂長300メートルと横長ダムの多い北海道の中では数少ない高さを感じられるダムです。
 
 
上流面。
 
天端から
ダム下はダム下流公園として開放されていますが、最近はクマの出没が増え常にクマ避けの放送が流されています。
右岸ダム下の建屋は放流設備と電源開発札内川発電所。
 
手前は放流設備、奥が札内川発電所。
 
とかちリュウタン湖と命名されたダム湖は総貯水容量5400万立米。
空撮すると竜のように見えることからこの名がつけられました。
上流には日高の名峰カムイエクウチカウシが控えますがダムから見ることはできません。
 
左岸に管理事務所と資料館があり、管理事務所からインクラインが伸びます。
天端は車両通行可能。
 
ダム湖畔に道路がないため上流面はこれが精いっぱい。
 
 
(追記)
札内川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0173 札内川ダム(1683)
北海道河西郡中札内村南札内
十勝川水系札内川
FNAWP
114メートル
300メートル
54000千㎥/42000千㎥
国土交通省北海道開発局
1998年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿