ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

境川ダム

2016-10-05 17:05:35 | 富山県
2016年9月24日 境川ダム
 
境川ダムは左岸が富山県南砺市桂、右岸岐阜県大野郡白川村加須良の一級河川庄川水系境川にある富山県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な庄川水系で戦前から電源開発が進み多くの発電用ダムが建設されましたが、治水については部分的な河川改修に留まり抜本的な治水対策が求められていました。
一方、射水平野の新規農地開発による用水不足、湾岸地域への工場進出や人口増加による都市用水需要の増加を受けた新規の水源確保が不可欠となります。
こうした状況から富山県は庄川水系へ出の多目的ダム建設による河川総合開発を企図しますが、庄川本流には新たなダム建設適地がなく主要支流での多目的ダム建設を進めます。
そして1967年(昭和42年)の和田川ダム 1974年(昭和49年)の利賀川ダムに次ぐ流域三番目の補助ダムとして1993年(平成5年)に竣工したのが境川ダムです。
ダム建設に当たっては、豪雪により冬季の事業が困難なことから省力化・工期短縮を目的として堤高100メートル超のダムとしては初めてRCD工法が採用されました。

境川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、境川および庄川の洪水調節(最大430立米/秒の洪水カット)、射水平野約2400ヘクタールへの特定灌漑用水の供給、高岡市・射水市・氷見市への上水道及び工業用水の供給、関西電力境川発電所(最大出力2万4200キロワット)でのダム水路式発電、南砺市への消流雪用水の供給を目的としています。 
 
下流から。
管理は富山県土木部ですが、名前の通り県境を跨ぐダムです。
直線の導流壁が印象的。
 
放流設備としてはクレスト自由越流頂2門、利水放流ゲート1門、低水放流ゲート各1門を装備
直線的な導流壁と相まって非常にすっきりとしたデザイン。
 
減勢工。
 
ダム湖は桂湖で総貯水容量は5990万立米
湖面を開津橋が跨いでいます。
訪問時は極端に水位が下がっていました。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
ダム周辺はキャンプ場などレクリエーション施設が整備され、漕艇の練習場にもなっています。
 
天端は岐阜・富山県境。
 
天端は歩行者のみ開放。
 
上流面
左岸側に脆弱地盤があり、フィレットが設けられています。
同様の構造は長崎県の鳴見ダムでも見られます。
 
上流から
洪水吐はクレスト自由越流頂2門だけ、ゲートの隣は選択取水設備。

0870 境川ダム(0620)
左岸 富山県南砺市桂
右岸 岐阜県白山市加須良
庄川水系境川
FNWIPS
115メートル
297.5メートル
59900千㎥/56100千㎥
富山県土木部
1993年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿