ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

新滝の池

2020-10-04 23:06:36 | 大阪府
2020年9月26日 新滝の池
 
新滝の池は大阪府泉佐野市上之郷の樫井川水系樫井川左支流(河川名不明)にある灌漑目的の曲線重力式コンクリートダムです。 
大阪府泉南地域は瀬戸内海式気候に属し年間降水量が少ないうえに大河がなく、古くから灌漑用水源を溜池や中小河川に依存してきました。
高度経済成長期に入り、泉南地区では従来の稲作に加えていわゆる『近郊農業』としてタマネギや水ナスの栽培が盛んとなり、新たな灌漑用水源の確保が大きな課題となってきました。
こうした中、農林省の補助を受けた大阪府の事業で既存の上之郷新池を再開発してコンクリートダム化し、1995年(平成7年)に竣工したのが新滝の池です。
運用開始後は上之郷土地改良区が受託管理を行い管内の農地に灌漑用水の供給を行っています。
 
新滝の池一番の特徴は京都南禅寺の琵琶湖疏水水路閣をモチーフにした煉瓦積み風の化粧型枠が施された赤い堤体です。
実は2006年(平成18年)に建設される泉南農業公園調整池もよく似たモチーフなのですが、どちらも(株)共生という会社による設計となっています。
さらに堤体はアーチ状に湾曲した曲線重力式、そして堤体下流面に盛土が施されコンクリートダムにも関わらず下流面が森という非常に珍しいダムとなっています。
 
ダムの手前に車20台程度が止められる駐車場があります。
ダム入り口にゲートがありここからは徒歩でダムに向かいます。
泉南という地域柄、不法投棄や破壊行為を防ぐためのゲートかと思います。
 
と言っても20~30メートルも歩けばダム右岸に到着。
天端脇に横山ノック元知事の筆による竣工記念碑がたっています。
 
こちらは泉佐野市による竣工記念碑
『新滝之池』となっています。
 
右岸上流から
堤体がアーチ状に湾曲、煉瓦積み風の化粧型枠を施した赤い堤体は文字通り異色のダム。
さらに堤体は満水位を境に濃淡が施されたツートン。
 
洪水吐は重力式コンクリートダムでは珍しい横越流式。
洪水吐脇に取水設備があります。
 
アングルを変えて。
 
車が余裕で通れる広い天端。
大阪らしく不法投棄や破壊行為、落書きなどが絶えなかったためダム手前にゲートを設置したようです。
 
総貯水容量50万立米はコンクリートダムとしては小さめ。
需要期が終わりつつあるせいかずいぶん水位が低くなっています。
 
湾曲した赤い堤体下流面を撮りたいのですが、盛土に植えられた木が伸びてご覧の状態。
桜が多いので落葉した冬場ならもう少し良く見れるかもしれません。
 
上流面
水位が下がったこの時期だからこその眺め。
 
さらに上流から。
 
ダム湖畔は一周2キロ弱のトリムコースとなっており、休日ということもあり多くの方がランニングやウォーキングを楽しんでいました。
なおこの上流2キロには新滝の池の兄貴分である滝ノ池があり、こちらもダムの要件を満たしダム便覧にも掲載されています。
今回は時間の関係でスルーしましたが、機会があれば再訪し滝ノ池まで足を伸ばしてみるつもりです。
 
3127 新滝の池(1562)
大阪府泉佐野市上之郷
樫井川水系樫井川左支流
26メートル
105メートル
500千㎥/480千㎥
上之郷土地改良区
1995年


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