ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

若宮谷ダム

2022-04-06 08:00:00 | 徳島県
2022年3月28日 若宮谷ダム
 
若宮谷ダムは徳島県三好市西祖谷山村一宇の吉野川水系祖谷川右支流若宮谷川にある四国電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵電力豊富な吉野川水系では戦前より複数の事業者により電源開発が進められ、これらの発電施設は日本発送電を経て四国電力に引き継がれました。
若宮谷ダムもそんな発電施設の一つで1935年(昭和10年)に四国で3番目のコンクリートダムとして四国水力(株)により建設されました。
若宮谷ダムは発電用調整池で祖谷川で取水された水をいったん貯留し、若宮谷川の水と併せて約300メートルの導水路で一宇発電所(最大出力8700キロワット)に送りダム水路式発電を行います。
 
西祖谷中心部から若宮谷川沿いの市道を300メートルほど東進すると若宮谷ダム右岸ダムサイトに到着します。
戦前のダムらしい年季の入った堤体が川を閉め切ります。
非越流型堤体なので『閉め切る』という言葉がぴったり。


道路わきの水利使用標識。


上流面
こちらも赤錆と苔が80年以上の時代感を醸し出しています。
堤体中央は排砂ゲートのバルブとシャフト、手前の円形は取水口。


こちらは祖谷川からの導水路吐口。
ゲートが2門あり、当ダムの水位に合わせて使い分けるようです。
エメラルドグリーンの水が美しい。
不純物が少なく光路長が長いのでこういう色になるようです。


天端も開放されています。
親柱は四角を基調にした意匠。


ここは非越流型堤体、では洪水吐はどこにあるのか?
きょろきょろ探したら右岸堤体直上にありました。
若宮谷川の流域面積が大きくないので、こんな簡易な洪水吐で十分なんでしょう。
越流した水は隧道で流下させます。


円形の取水口
手前の設備がよくわかりません。


天端から
直下に排砂ゲートがありますが、非越流型のため減勢工もありません。


ダム湖は総貯水容量9万4000立米
右手が上記祖谷川からの導水路流入口
奥に見える堰堤は砂防ダム。


天端高欄は親柱同様四角基調のデザイン。


左岸から下流面。

発電ダムとしては珍しく天端が開放されており、戦前のビンテージダムをじっくり堪能することができます。
水の美しさも印象的。
 
(追記)
若宮谷ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2120 若宮谷ダム(1785)
徳島県三好市西祖谷山村一宇
吉野川水系若宮谷川 
 
 
32.2メートル 
93メートル 
94千㎥/58千㎥ 
四国電力(株) 
1935年 
◎治水協定が締結されたダム 


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