ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

三浦ダム

2016-07-04 00:00:00 | 長野県
2016年7月3日 三浦ダム
 
三浦ダムは長野県木曽郡王滝村の木曽川水系王滝川最上流部にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
木曽川水系では戦前の5大電力の一つで福沢桃介率いる大同電力(株)により大井発電所や落合発電所をはじめとして電源開発が進められましたが、木曽川の河川流量の変動により渇水期にはその発電能力を十分に発揮することができませんでした。
大同電力は木曽川流量の平準化を目的として、1933年(昭和8年)より王滝川最上流部への巨大ダム建設に着手、のちに電力管理法により日本発送電(株)が事業を接収し終戦間際の1945年(昭和20年)1月に三浦ダムは完成しました。
三浦ダムの堤高83.2メートルは終戦以前に完成したダムとしては塚原ダムに次いで第2位、総貯水容量6000万立米も当時としては屈指のスケールを誇りました。
三浦ダムでは木曾川下流の水位変動を緩和し各発電所の発電能力を十分生かすため豊水期にダム湖に貯留し、渇水期に放流を行っています。
放流の際にはダムと同時に完成した三浦発電所(最大出力7700キロワット)でダム式発電を、1951年に完成した滝越発電所(最大出力2万8900キロワット)でダム水路式発電を行います。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により、三浦ダムをはじめとした木曾川流域の発電施設は新たに誕生した関西電力が事業継承し現在に至っています。
三浦ダムは戦前戦中屈指のダムとしてBランクの近代土木遺産に選ばれているほか、日本ダム協会により日本100ダムにも選定されました。
 
ダム周辺は国有林でダムへ通じる滝越林道は一般車両通行禁止となっており、三浦ダムに行くには往復20キロを超える徒歩を余儀なくされます。
今回は地元NPO主催の三浦ダム・王滝川ダム見学会に参加しマイクロバスで三浦ダムを見学することができました。
 
王滝村公民館からマイクロバスに乗って三浦ダムに到着です。
ダム左岸から
堤体中央にエレベーター棟、対岸の直下に三浦発電所があります。
 
堤体の穴は照明用です。
 
天端。
ダム湖側に被覆された通路があります。
 
被覆通路(スノーフィルター)内部。
 
ダム直下。
右岸に発電所と放流水路。
左奥は変圧所、左岸手前の湾曲した道路は森林鉄道の軌道跡です。
 
発電所の放流水路。
ゲート手前右手が滝越発電所への導水路呑口です。
 
クレストのローラーゲート。
関電ブラックです。
 
ダム竣工時はフラップゲートだったそうで今もその痕跡が残っています。
 
洪水吐からの導流部はトンネル式になっています。
 
 
右岸ヘリポートから俯瞰できます。
対岸に管理事務所(見張り所)があり、左にインクライン、さらにプラント跡も見えます。
 
上流から
丸みを帯びた取水棟は戦前らしいデザインです。
 
堤体直下から。
右手の道路は森林鉄道跡です。
 
堤体にタッチできます。
 
発電所の放流路。
ここから滝越発電所へ送られます。
 
秋にでも、林道を20キロ往復してみようと思っていた矢先に今回のイベントを知りすかさず参加しました。
見学会の詳細はこちらのリンクでご覧いただけます。
 
(追記)
三浦ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0994 三浦ダム(0473)
長野県木曽郡王滝村
木曽川水系王滝川
83.2メートル
290メートル
62216千㎥/61600千㎥
関西電力(株)
1945年
◎治水協定が締結されたダム


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