ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

緑ダム

2023-12-03 17:00:05 | 北海道
2023年10月21日 緑ダム
 
緑ダムは北海道斜里郡清里町の斜里川水系アタックチャ川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
北海道北東部のオホーツク総合振興局管内の斜網地域では冷涼な気候と乏しい水利の下、非効率な畑作営農を余儀なくされ生産性向上のため抜本的な農業水利支援が求められていました。
こういった状況を改善するため、昭和40年代より北海道開発局により小清水・斜網西部・斜里3地区で国営畑地帯土地改良パイロット事業が採択され、その共同水源として1974年(昭和49年)に事業化されたのが緑ダムです。
ダム建設工事は1985年(昭和60年)に着手され2003年(平成15年)に竣工、各土地改良事業も2005年(平成17年)から2010年(平成22年)にかけて完了しました。
緑ダムの管理は清里町と網走市が受託していますが、実際の管理は清里町に委任され3地区合計1万8500ヘクタールもの畑地に灌漑用水を供給しています。
事業の完成により斜網地域では営農の効率化・集約化がはかられ北海道有数の小麦・馬鈴薯・てんさい産地となっています。
また2016年(平成28年)には農業用ダムとしては北海道初となる利水放流を利用した小水力発電所(最大出力523キロワット)が稼働しました。
 
清里町清泉の道道1115号から1車線の舗装路を約10キロ、車で30分ほど東進すると緑ダムに到着します。
ダム下への管理道路は進入禁止のため、下流面は右岸からのみ。
堤高73メートル、堤頂長345メートルと横長堤体の多い北海道のフィルダムの中ではかなりの高さを誇ります。
また凍上対策の芝も張られていません。

 
右岸の洪水吐斜水路

 
天端入り口には車止めのバリケードが設置されていますが、徒歩での立ち入り規制はありません。

 
横越流式洪水吐
奥は取水設備や艇庫を兼ねた管理棟
訪問したのが土曜日のため職員の常駐があるのかどうかは不明。

 
上流から見た洪水吐
左手は監査廊入り口。

 
竣工記念碑。

 
水利使用標識
受益農地は1万8514ヘクタールと広大
畑地灌漑のため年間を通して水利権が配分されています。


天端から管理棟を遠望
左手がインクライン、右手が斜樋。


堤体を管理道路が九十九折れに登りますがこれも通行禁止。
ダム下に放流設備や小水力発電所があるはずですがわずかに建屋が見えるのみ。

 
天端から見た右岸の眺め
対岸の高台に展望台があるのでこのあと行ってみよう。

 
左岸の監査廊入り口とリムトンネル。

 
車で展望台に上がってきました。
写真の事業説明板のほか、ダムの平面図と断面図が設置されています。


天端からの眺め
絶景です!
これが首都圏近郊なら一大観光地でしょう?
貯水池は総貯水容量710万立米で畑地灌漑のため冬場も水は抜かれません。

 
堤体をズームアップ
ダムの型式に関わらず、個人的にはこのアングルが一番の好み。

 
0176 緑ダム(2018)
北海道斜里郡清里町
斜里川水系アタックチャ川
73ートル
345メートル
7100千㎥/6400千㎥
清里町
2003年


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