ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

久原ダム

2017-10-04 15:51:20 | 福岡県
2017年9月20日 久原ダム
 
久原(くばら)ダムは福岡県粕屋郡久山町久原の多々良川水系久原川左支流穴口川源流部にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。 
戦後の復興から高度成長期にかけ福岡市の人口は大きく増加、これに合わせて都市用水需要も急拡大してきました。
これに対し大河川がない上に中小河川の集水域が小さいという地理的条件もあり、福岡市では慢性的な水不足が続き、水源確保を求めるための拡張事業は19回にも及びました。
久原ダムは1968年(昭和43年)に事業着手された第11回拡張事業(久原取水)の中核施設として1970年(昭和45年)に竣工しました。
福岡市が水利権を持つ多々良川の山田取水場で取水した水を久原ダムに揚水していったん貯留、その後多々良浄水場を経由して福岡市内に給水しています。
一方で自己流域である穴口川の水は河川維持放流として流下させるため既得取水権への干渉はなく事実上の河道外貯留ダムとなっています。
 
久原ダムには重力式コンクリートの本堤のほかに、左岸にアースフィルの副ダムがあり、ともに堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
久原ダム本堤と副ダムの位置関係
赤線が本堤、緑線が副ダム 。 
 
通常久原ダムへは、県道547号線から妙法寺を経由して左岸ダムサイトに向かいますが、今回は工事により通行止めだったためダム北側から隘路の林道経由でダム右岸に到着しました。
ダムの銘板。
 
天端は車両進入禁止。
 
上流面。
 
取水設備機械室
堤体に比べて建屋が新しい。
 
導流面と減勢工。
 
ダム湖は総貯水容量146万立米。
多々良川で取水した水を揚水してここに貯留します。
 
左岸から上流面。
 
水利使用標識。
ダムがあるのは穴口川ですが、貯水池の水は多々良川から揚水して貯留されるのでダムとしての水系は多々良川水系多々良川となります。
一方穴口川の流入分は河川維持放流としてそのまま下流に流下させ、流域の既得取水権への干渉はありません。
 
ダムの諸元塔が書かれた竣工記念碑
読めない!!
 
高台から上流面を俯瞰
上水道目的のダムということでゲートはクレストの2門の自由越流式洪水吐だけ。
 
 
ダム下へ向かう道もあるようですが、入口が分からず断念しました。
貯水池水源を市外に求め、揚水によって河道外貯留する上水道ダムとしては珍しいスタイルのダムとなっています。
 
2419 久原ダム(1130)
福岡県粕屋郡久山町久原
多々良川水系多々良川
42.3メートル
117メートル
1600千㎥/1460千㎥
福岡市水道局
1970年


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