ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

桑野内ダム(仲山ダム)

2023-01-26 17:48:31 | 熊本県
2022年11月21日 桑野内ダム(仲山ダム)
 
桑野内ダムは左岸が熊本県上益城郡山都町花上、右岸が宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町桑野内の一級河川五ヶ瀬川本流にある九州電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1955年(昭和30年)に九州電力によって建設され、ここで取水された水は約4.5キロの導水路で桑野内発電所に送られ最大6400キロワットのダム水路式発電を行っています。
五ヶ瀬川では大正末期より日本窒素肥料(日窒)のほか複数の発電事業者による電源開発が進められ、桑野内発電所の水利権も1925年(大正14年)に付与されました。
しかし何らかの事情(たぶん技術的問題)で開発は見送られ、戦後、電気事業再編政令で誕生した九州電力が水利権を継承し改めて事業を再開したとみるのが妥当でしょう。

五ヶ瀬町桑野内の県道8号に桑野内ダムを示す案内板があり、これに従い隘路の道路を進みます。
途中に阿蘇五岳が一望できる場所があります。


最後は標高差200メートルの九十九折れを下りますが、ここは急坂が続くうえに道が狭く、離合は100%無理。とにかく前から車が来ないことを祈りながらの運転となります。

一帯は阿蘇火砕流による凝灰岩で形成され『蘇陽峡』と呼ばれる深さ200メートルを超えるU字渓谷が続きます。
ダムサイトは文字通りの谷底で、この地形を見ると戦前桑野内ダム建設が見送られた理由が何となくわかります。
川が県境で、向かいは熊本県。
ダムは左岸で所在地を決めるのでアプローチは宮崎ですが、熊本県のダムとなります。


残念ながら厳重な門扉が閉まりダムへは立ち入りできません。
右岸に桑野内発電所への取水口があり、最大15立米/秒の取水を行います。


超広角で
民家のような管理棟があり、かつては職員が常駐していました。


それにしてもすさまじい断崖。


ゲートピアをズームアップ。


ダム湖は総貯水容量96万1000立米、有効貯水容量26万2000立米。
蘇陽峡は美しい紅葉で知られ、湖面を使ったカヌーなども楽しめます。


実はグーグルにはダム下から撮った写真が掲載されています。
ダムの対岸すぐ下流に小さな畑があり、崖の上から畑に下りる山道があるようです。
標高差200メートルなので往復40分ほど、時間があればチャレンジしてみたいものですが九州は遠い。
 
(追記)
桑野内ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2816 桑野内ダム(仲山ダム)(1953)
左岸 熊本県上益城郡山都町花上
右岸 宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町桑野内
五ヶ瀬川水系五ヶ瀬川

26.5メートル
96.4メートル
961千㎥/262千㎥
九州電力(株)
1955年
◎治水協定が締結されたダム


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