ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

福谷溜池

2020-11-27 01:49:50 | 山口県
2020年11月20日 福谷溜池
 
福谷溜池は山口市阿東徳佐中の阿武川水系福谷川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1926年(大正15年/昭和元年)竣工となっている一方、現地記念碑には『工事着手大正十四年 工事完了昭和八年』と記されています。
溜池の建設工事に8年の年月を要するのはちょっと時間がかかり過ぎているようにも思えますが、ここでは記念碑の昭和8年(1933年)を竣工年度とすることにします。
その後1997年(平成9年)6月に当時の阿東町を震源とする山口県北部地震が発生し、堤体に約50メートルの亀裂が発生するとともに底樋が破損しました。折から襲来した台風により堤体決壊が危惧されたため、余水吐を破壊し貯水池の水抜きが行われ下流への災禍が防がれました。
同年10月より県の災害復旧事業が着手され2000年(平成12年)に竣工し現在に至っています。
池の管理は受益者で組織される福谷溜池維持組合が行っています。
 
山口市阿東徳佐中の国道315号から、福谷川沿いのダートの隘路をひたすら北に進むと福谷溜池に到着します。
 
ダム下から
堤体の枯れ草が陽を浴びて黄金色に輝いてなかなかの眺めでした。
写真では分かりづらいですが左岸(向かって右手)に余水吐導流部があり、ダム下をL字に折れて手前の水路に至ります。
一方堤体中央右岸側に底樋樋門があります。
 
堤体直下には2基の石碑があります。
左は大正から昭和にかけての溜池建造に至る由来碑、右は山口県北部地震による復旧工事の竣工記念碑。
 
 
天端。
 
コンクリートで護岸された上流面
対岸に横越流式余水吐があります。
 
下流の眺め
余水吐からの導水路は堤体直下で底樋と合流しこの流れが福谷川となります。
 
総貯水容量26万立米の貯水池。
二つの沢の合流地点に池は作られたようで、池の中央に尾根が突き出しています。
 
右岸から上流面
対岸に斜樋があります。
 
斜樋をズームアップ。
シャフトが2本。
 
左岸の横越流式余水吐
コンクリートが白いので、近年さらに改修があったのかもしれません。
 
上流側から見た余水吐
中央のコンクリートが越流部となります。
 
3572 福谷溜池(1569) 
ため池コード 355040063
山口県山口市阿東徳佐中
阿武川水系福谷川
16.8メートル
75メートル
260千㎥/260千㎥
福谷溜池維持組合
1933年 


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