ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

黒又ダム

2016-08-08 18:00:00 | 新潟県
2016年5月21日 黒又ダム
     8月 6日 

黒又ダムは左岸が新潟県魚沼市大栃山、右岸が同市穴沢の一級河川信濃川水系破間川左支流黒又川にある東北電力(株)が管理する発電目的の表面石貼り玉石コンクリート造重力式ダムです。
破間川水系では融雪による豊富な水量に着目して戦前より電源開発が進められますが、黒又ダムもそんな発電施設の一つで1926年(大正15年)に北越水力(株)によって建設されました。
ダムおよび発電所は日本発送電による接収ののち1951年(昭和26年)の電気事業再編成により東北電力が事業を継承しました。
破間川から導水された水が黒又川に貯留されたのち、約3.1キロの導水路で上条発電所に送られ最大8000キロワットの水路式発電を行っています。
黒又ダムは黒又川にありますが、発電用水は破間川から導水されているため発電用取水ダムではなく発電調整池と言う括りになり上条発電所も水路式発電所になります。
なお黒又ダムは戦前の貴重な石積み堰堤としてBランクの近代土木遺産に選定されています。
 
入広瀬で国道252号から県道500号に右折し黒又川沿いに進むと左手に黒又ダムが見えてきます。
これまで大湊堰堤や青下ダムなど石貼りのダムをいくつか見てきましたが、黒又ダムもそれらと並ぶビンテージの石貼りダムです。
残念ながら越流はしていませんが、草が生え赤茶けた堤体はこれはこれでなかなかいいものです。
 
2度目の訪問、水量が多いせいか右岸から越流しています。(2016年8月6日)
 
ズームアップ(2016年8月6日)
 
左岸にクレストゲートがありますが、クレスト放流が行われることはめったにないようです。
1門だけのゲートビアですが、被覆されているのは雪国ならではですね。
 
丸みを帯びた越流面と前面に突き出た導流壁のアンバランスが目を惹きます。 
 
右岸の洪水吐
直角に折れ曲がった越流面も堤体です。
 
同じアングルで越流バージョン(2016年08月6日)
 
上流から
右岸側の洪水吐への越流面も玉石貼りとなっています。
 
ダム湖は堆砂が進み中州が出来上がっています。
発電ダムなので問題ないのですが、このまま堆砂が進めば湿原になりそう。
 
左岸の取水口
 
沈砂池への流入口
 
沈砂池
右手は余水吐のようです。
左手のスクリーンが上条発電所への導水路の呑口です。
 
一度見てみたかったビンテージダムです。
石貼りもさることながら、堤体が右岸の洪水吐に沿って長く折れ曲がり珍しいスタイルなのも目を引きました。
堤体から沁み出た錆色の骨材成分など見どころたっぷりでしたが、次回はぜひ豪快な放流を見てみたいですね。
 
この後は黒又川第一ダムへ向かおうとしましたが、ダムへの道の冬期通行止めが解消されていませんでした。
 
(追記)
黒又ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0722 黒又ダム(0397)
左岸 新潟県魚沼市大栃山
右岸     同市穴沢
信濃川水系黒又川
24.5メートル
228.4メートル
1454千㎥/469千㎥
東北電力(株)
1926年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿