ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

丹生堰

2024-02-13 08:00:00 | 千葉県
2016年2月21日 丹生堰
2024年1月27日
 
丹生堰は千葉県南房総市富浦町丹生の岡本川水系丹生川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には富浦町八束西土地改良区の事業で1940年に竣工と記されています。
一方現地記念碑には事業者として『安房郡八束村西耕地整理組合』の名があり
『起工 昭和十三年六月二十九日』『竣工 昭和十五年八月三十一日』と刻されています。
耕地整理組合は土地改良区の前身ですので、丹生堰は千葉県の補助を受けた耕地整理組合の事業で1940年(昭和15年)に竣工したということになります。
現在は南房総市富浦町八束西土地改良区が管理を行い丹生川流域および下流の岡本川右岸の水田に灌漑用水を供給しています。
丹生堰には2016年(平成28年)2月21日に初訪、2024年(令和6年)1月27日に再訪しました。
5枚目の記念碑の写真以外はすべて再訪時のものです。

館山道冨浦インター出口から丹生川沿いの指導を約3.5キロ、車で10分ほど北上すると丹生堰に到着します。
池入り口に車止めがありますが、事前に土地改良区に立入りの是非を確認しています。
堤高16.4メートル、堤頂長40メートルで堤体を道路が斜行、きれいに草が刈られており今も貴重な水源であることが伺えます。

 
高速の高架下
丹生川に面して洪水吐の隧道導流部吐口があります。

 
堤体を斜行する道路を進みます。

 
天端はコンクリート舗装ですがすぐ対岸で行き止まり
洪水吐のコンクリートが新しいので、改修工事の際に舗装されたと思われます。

 
天端に立つ記念碑
碑には『丹生川上之池』と刻されており、これが竣工当時の名だったのでしょう。
現在はため池データベースでも『丹生堰』と記されており、当ブログでも丹生堰を採用します。
裏面には池の諸元や関係者の名が刻されていますが、摩耗が激しく一部不明瞭となっています。
灌漑地区として『八束村 丹生 深名 青木』の名があり、灌漑面積は『五十九町八段八畝歩』=約58.6ヘクタールとなっています。
(2016年2月21日)


総貯水容量14万6000立米の貯水池。
ずいぶん水位が下がっていますが、初回訪問時も貯水池は空だったので非灌漑期に水が抜かれ田起こしに向けて湛水されるんだと思います。
房総の灌漑期は4月上旬から、それまでに満水になるか?


右岸の斜樋。
細くて見ずらいですがシャフトが3本。

 
池の直下を館山道が通ります。

 
右岸から
右手は館山道冨浦トンネル。

 
右岸の洪水吐
導流部は隧道で越流した水は2枚目写真の吐口へと流下します。

 
よく見ると隧道天井は凝灰岩の素掘り
改修で下流側はコンクリートで成形されていますが、竣工当初から隧道洪水吐だったようです。


右岸の崖にもトンネルが
入口には水神が祀られています。
もともとの斜樋への道が崩落したためこのトンネルが作られたようです。
ただ反対側出口の落ち葉がすごく進入は自重しました。
今にして思えば、突入すればよかった。

 
0654 丹生堰(0233)
ため池データベース 122340001
千葉県南房総市富浦町丹生
岡本川水系丹生川
16.4メートル
40メートル
146千㎥/146千㎥
富浦町八束西土地改良区
1940年


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