ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

猪鼻第1ダム(猪ノ鼻ダム)

2017-11-28 14:35:32 | 兵庫県
2017年11月23日 猪鼻第1ダム
 
猪鼻第1ダムは兵庫県洲本市千草丙の洲本川水系猪鼻川上流部にある、淡路広域水道企業団が管理する上水道用水目的の表面石張曲線重力式粗石コンクリートダムです。
明治以降全国各地で近代水道の整備が進みますが、少雨に加え大河のない淡路島では依然として生活用水の多くを井戸水に依存していました。
昭和に入り淡路島の中心都市である洲本市でようやく近代水道整備計画が持ち上がり、その水源として1930年(昭和5年)に建設着手され1933年(昭和8年)に竣工したのが猪鼻第1ダムです。
翌1934年(昭和9年)4月、ダム湛水と同時に洲本市水道事業が開始されました。
戦後の高度成長や人口増加を受けて洲本市内にはさらに4基の上水道ダムが建設され、2010年(平成22年)には淡路島各自治体の水道事業が統合され淡路広域水道企業団が発足しました。
猪鼻第1ダムは1978年(昭和53年)に上流に建設された猪鼻第2ダムと併せて日量約1万3000立米の上水道用水を供給しています。
また猪鼻第1ダムは戦前の貴重な土木建築物ということでCランクの近代土木遺産に選定されています。
なおダム便覧には『猪ノ鼻ダム』で登録されていますが、管理者の淡路広域水道企業団では『猪鼻第1ダム』の名称を使っておりここでは『猪鼻第1ダム(猪ノ鼻ダム)』と記することにします。 
 
洲本中心部から481号線を南下し、猪鼻川沿いの隘路をひたすら進むとダム右岸に到着します。 
右岸から
切石積の粗石コンクリートダムで緩やかに弧を描いています。
 
上流面
取水設備は昭和初期ではおなじみ半円形。
 
残念ながら天端は立ち入り禁止
程よく色づいたモミジが美しい石積堰堤に彩りを添えます。
 
ダム下から。
 
 
堤体直下に樅の大木が茂っています。
竣工直後に植樹されたものでしょうか?
堤体の穴は排砂ゲート。
 
減勢工に架かる管理橋
高覧が凝った意匠になっています。
対岸にもいろいろ施設があるようですが、管理橋は立ち入り禁止のためここまで。
 
 
上流から遠望。
貯水池は総貯水容量30万6000立米。
 
神戸の石積堰堤に比べれば小ぶりな堰堤ですが、緩やかに円弧を描く堤体は柔和で上品な印象を受けました。
 
1472 猪鼻第1ダム(猪ノ鼻ダム)(1175)
兵庫県洲本市千草丙
洲本川水系猪鼻川
27.9メートル
89.2メートル
306千㎥/304千㎥
淡路広域水道企業団
1933年


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