ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

根の上湖

2023-04-25 18:12:57 | 岐阜県
2016年10月22日 根の上湖
2023年 4月20日

根の上(ねのうえ)湖は岐阜県中津川市手賀野の木曽川水系小野川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
岐阜県中津川市と恵那市境界上にある保古山山頂平坦部には上流側に根の上湖、下流側に
保古の湖と2基の灌漑用貯水池が並びます。
一帯は根の上高原と呼ばれ風光明媚な景観が広がり、高度成長期よりゴルフ場や別荘地、キャンプ場などリゾート開発が進み「東海の軽井沢」と呼ばれる保養地となりました。
根の上湖は岐阜県営事業により1964年(昭和39年)に建設され、茄子川用水路管理組合が管理を受託し保古山北麓の中津川市茄子川地区に灌漑用水を供給しています。
ダム便覧では堤高15メートルとなっていますが、ため池データベースでは14.7メートルとなっており、ダムの要件を満たしていません。
また便覧では河川が百々川になっていますがこれも誤りで正確には小野川です。

一方下流側の保古の湖は保古の湖用水管理組合が管理し小野川下流の飯沼川から阿木川流域の農地に灌漑用水を供給しており、上下に連続する溜池で管理者や用水の供給先が異なっているのが興味深いところです。
ちなみに保古の湖はため池データベースでは堤高19.3メートルとダムの要件を満たしていますがダム便覧には未掲載です。

根の上湖には2016年(平成28年)10月に訪問しましたが、当時は改修工事中で立ち入りできず2023年(令和5年)4月に再訪しました。
写真はすべて再訪時のものです。

根の上高原はツツジの群生が多く湖畔はこれからが見ごろ、丘の上には『幸せの鐘』が建っています。

湖畔の芝生広場にある野外ステージ。
湖畔にはほかにも森林キャンプ場やコテージなどレクリエーション施設が整備されています。


右岸のボート乗り場。


左岸洪水吐にかかる管理橋。


洪水吐導流部
このまま下流の保古の湖に流れ込みます。


すぐ下流に保古の湖があるためか?根の上湖の洪水吐に越流堤などは見られません。


上流面はコンクリートブロックで護岸
前回訪問時の改修工事で刷新されたものです。


貯水池は総貯水容量33万2000立米。
満水です。


天端
花崗岩地帯らしく真砂土が敷かれています。
奥には日本百名山の恵那山。


右岸から上流面。
手入れの余裕がないのか?敢えて放置しているのか?定かではありませんが、改修から間がないにもかかわらずかなりの小松が茂っています。


右岸の斜樋
取水された水は山の反対側の中津川市茄子川地区に送られます。


堤体直下は樹林帯で、下流面にも草木が茂っています。
下流面全体を見る場所はなくこれが精いっぱい。
堤体直下には盛り土が施されているようで、見た目の高さは6~7メートルほど。

貯水池を周回する遊歩道が整備され、湖畔には林間キャンプ場もあり豊かな自然を満喫できます。
保古の湖と上下2連の溜池を形成していますが、管理者が異なり灌漑用水の供給先も別々なのは興味深い点です。
池建設に当たってはそれぞれの水利権の調整が大変だったのではないでしょうか?

3436 根の上湖(0662)
ため池データベース 212060250 
岐阜県中津川市手賀野
木曽川水系小野川


15メートル(ため池データベース 
14.7メートル
166メートル(ため池データベース 163メートル)
332千㎥/332千㎥
茄子川用水路管理組合
1964年


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