2018年10月9日 百谷ダム
百谷ダムは鳥取県鳥取市百谷の一級河川千代川水系天神川源流部にある鳥取県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで天神川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1973年(昭和48年)に竣工しました。
百谷ダムは日本で最初にクレスト自由越流式洪水吐が採用されたダムです。
今でこそ当たり前のように建設されているゲートレスダムですが、その第一歩となったのが百谷ダムで、日本のダム史において大きな転換点となったダムと言っても過言ではないでしょう。
ダム下は私有の農地でダム直下には行けません。
ゲートレス黎明期のダムということで、越流した水を中央に集水させるために導流部は独特の曲線形状となっています。
クレストには扶壁を挟んで2門の自由越流式非常用洪水吐、オリフィスに自然調節式常用洪水吐があります。
左岸ダムサイトに上がります。
下流から見た洪水吐はダムの一部で、堤体の右岸寄りに洪水吐が位置しています。
導流面はアーチダムのように湾曲
クレスト越流部がセットバックされており、コンジットゲート上の扶壁は逆ハングになっています。
天端
ここだけ見ると普通のダム。
諸元プレート
目的にかんがいが入っていますが、これは既得取水権への灌漑用水補給、つまり『N』の意味かと思います。
減勢工もきれいな扇形、そして導流面はアーチ状
ここだけ見たら紛うことなきアーチダムです。
ダム下には農地。
総貯水容量は28万立米とため池サイズ。
インレットは湿地になっていてスイセンの群落があるよです。
越流堤は円形を描き上流側に大きくセットバックされています。
越流部をアーチ状にすることでより大きな放流量を確保するとともに、放流された水を減勢工に収束される意図のようです。
写真では見難いですが、ゲート中央にオリフィスの補助ゲートとしてコースターゲートがあります。
余所ではちょっと見られない、異形のゲートレス。
日本初のゲートレスとして紆余曲折、さまざま模索しながらたどり着いたのがこの形だったんでしょうね。
(追記)
百谷ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
1683 百谷ダム(1399)
千代川水系天神川
FN
G
18メートル
79メートル
280千㎥/242千㎥
鳥取県県土整備部
1973年
◎治水協定が締結されたダム
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