ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

生見川ダム

2017-05-15 10:53:17 | 山口県
2017年5月6日 生見川ダム 
 
生見川ダムは山口県岩国市の錦川左支流生見川にある山口県営の多目的重力式コンクリートダムです。
周南市に源を発し大きく蛇行を繰り返したのち支流の宇佐川、生見川をあわせて岩国市中心部を貫流して瀬戸内海にそそぐ錦川は延長110キロの山口県最大の河川です。
錦川水系では1945年(昭和20年)の枕崎台風、1950年(昭和25年)のキジア台風、1951年(昭和26年)のルース台風と立て続けに台風の襲来を受け流域で甚大な被害が発生しました。
そこで山口県は錦川総合開発計画を策定、1965年(昭和40年)に錦川上流に菅野ダムを建設します。しかしその後も錦川流域での洪水被害が続く一方瀬戸内海沿岸部の工業化に伴う水需要も増加の一途をたどりました。
これを受けて錦川左支流生見川に1984年(昭和59年)に建設されたのが生見川ダムです。
 
生見川ダムは菅野ダムと連携しての錦川の洪水調節、安定した流量の維持と既得取水権への補強、岩国地区への工業用水の供給を目的とするほか、河川維持放流を利用して直下の山口県企業局生見川ダム発電所で最大1800キロワットの発電を行っています。
 
岩国から西木川に沿って県道187号線を西進、天尾地区で生見川ダムの標識に従って県道2号を右折すると生見川ダムに到着します。
右岸管理所前に設置された団塊
ダム建設の際に出土したものです。
 
右岸上流から
クレストは自由越流式、取水設備の隣エレベーター棟にオリフィスの予備ゲートがあります。
 
山口県の記念碑は『竣工』ではなく『完工』。
 
天端は車両通行可能
天端の建屋は黒杭川ダムと同じくトタン張り。
 
減勢工
右手は発電所になります。
 
ダム湖(山代湖)
奥行きが長く総貯水容量3080立米あります。
 
左岸から下流面
前面に張り出したオリフィスゲート操作室が特徴。
 
左岸上流から俯瞰。
 
右岸のインクライン。
 
下流からも見ることができます。
クレストは6門の自由越流式とオリフィスゲート
下流から見ると堤高90メートルもあるように見えず意外に小さく見えます。
 
現在錦川中流部に平瀬ダムが建設中でこれが完成すれば錦川の治水は盤石のものとなります。
 
追記
生見川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2091 生見川ダム(0981)
山口県岩国市天尾
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
錦川水系生見川
FNIP
 
90メートル
215メートル
 
山口県土木建築部
1984年
◎治水協定が締結されたダム


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