ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

菖蒲川ダム

2016-07-12 16:27:09 | 山形県
2016年7月10日 菖蒲川ダム
 
菖蒲川ダムは山形県上山市菖蒲の最上川水系須川右支流菖蒲川にある灌漑目的の重力式コンクリート・フィル複合ダムです。
山形盆地を南北に縦断する須川は最上川最大支流ですが、蔵王の火山活動に加え明治以降の硫黄採掘により昭和10年代より酸性化が顕著となり須川を主水源とする流域農地約500ヘクタールに多大な悪影響を与えていました。
そこで新たな灌漑用水の確保を目的に農林省(現農水省)の補助を受けた県営事業で1973年(昭和48年)に竣工したのが菖蒲川ダムです。
しかし当ダムだけでは流域全体の真水化には遠く及ばず至らず、1994年(平成6年)の鉱毒対策事業『上山東部地区』の竣工によりようやく須川流域の灌漑用水真水化が実現しました。
ダムの管理は上山市土地改良区が受託しています。
 
上山市街から県道263号を東に向かい、菖蒲川に沿って市道を左に取ると菖蒲川ダムに到着します。
まずは右岸高台から俯瞰、ダム便覧に掲載された写真と同じアングルです。
左右両岸がロックフィル、中央が重力式コンクリートの複合ダムです。
 
右岸から。
両岸がロックフィルになっており、中央が低い左右対称の逆三角形の堤体はまるで翼を広げた猛禽の様な美しさです。
さらに赤と青の鮮やかなコントラストが彩りを添えます。
重力式コンクリート堤体が低くなっているのは、万一の堤体越流の際に両岸のフィル堤体が洗堀されることを防ぐためです。
 
ここ数日の雨で水位が上がり放流のおまけつき。 
 
天端は車道。
ゲート部分だけ下流側に張り出しています。
 
赤いローラーゲートと青い手すりの対比が鮮やか。
 
減勢工。
 
左岸から。
 
右岸にあるインクライン。
 
総貯水容量54万5000立米。
 
(追記)
菖蒲川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0436 菖蒲川ダム(0485)
山形県上山市菖蒲
最上川水系菖蒲川
GF
31.1メートル
210メートル
545千㎥/413千㎥
上山市土地改良区
1973年
◎治水協定が締結されたダム


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