ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

浜原ダム

2021-05-31 12:06:58 | 島根県
2021年5月22日 浜原ダム
 
浜原ダムは左岸が島根県邑智郡美郷町信喜、右岸が同町上川戸の一級河川江の川本流中流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中国電力(株)は戦後の復興を受けた電力需要拡大に対処するため各所で電源開発を進め、同年着工し1953年(昭和28年)に竣工したのが浜原ダムです。
ここで取水された水は約1.1キロの導水路で明塚発電所に送られ最大2万5000キロワットのダム水路式発電を行っています。
川幅360メートルの江の川を締め切り洪水吐ゲート12門、土砂吐ゲート2門の計14門のローラーゲートがずらっと並ぶ様は西日本では余り見かけることがありません。
 
美郷町中心部から江の川沿いを南下すると浜原ダムが見えてきます。
右岸から
ずらっと並ぶゲートで川を締め切る発電ダムは木曾川や阿賀野川・只見川などでは当たり前のように見られますが、西日本では当ダムくらいではないでしょうか?(岡山の旭川ダムは多目的ダム)。
 
左岸から
扶壁前面にゲート操作建屋が乗る中国電力ではおなじみのスタイル。
 
訪問直前にまとまった雨で水位が上昇し、洪水吐ゲート3門が開けられていました。
 
右岸から
対岸に明塚発電所への取水ゲートがあります。
取水ゲート右手は河川維持放流に使われる魚道の取水口。
 
右岸に格納された巡視艇
インクラインはなくクレーンで昇降されます。
 
左岸の取水口スクリーンと魚道の取水口。
 
レールのついた除塵機。
 
天端は重量制限はあるものの車両の通行可能。
ただし左岸側は除塵機のレールが横切る「踏切」になっています。
 
左岸の魚道
河川維持放流はこの魚道と排砂ゲート1門で行われます。
 
発電所への取水ゲート。
 
左岸上流から
貯水池は総貯水容量1120万立米ですが、堆砂が進み有効貯水容量は4分の1の260万立米しかありません。
 
なお、貯水池上流側に浮ゲート式の予備ゲート格納庫がありましたが、事前の予習不足から訪問せず、その存在に帰宅後気が付きました。
全国的に見ても非常に珍しい設備なので、文字通り後悔先に立たずです。
 
(追記)
浜原ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1731 浜原ダム(1630)
左岸 島根県邑智郡美郷町信喜
右岸 島根県邑智郡美郷町上川戸
江の川水系江の川
19メートル
361.4メートル
11200千㎥/2600千㎥
中国電力(株)
1953年
◎治水協定が締結されたダム


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