ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

九尾ダム

2016-08-04 11:17:50 | 奈良県
2016年8月1日 九尾ダム
 
九尾(つづらお)ダムは奈良県吉野郡天川村九尾の新宮川水系十津川左支流天の川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
全国屈指の多雨地帯である紀伊半島では、その豊富な水量を生かして戦前から各河川で電源開発が進められてきました。
九尾ダムもそんな発電施設の一つで、1937年(昭和12年)に戦前の五大電力の一つ宇治川電気によって建設され、ここで取水された水は和田発電所(最大出力2100キロワット)と長殿発電所(完成当時最大出力1万5300キロワット)に送られ計1万5400キロワットのダム水路式発電が開始されました。
天の川流域の発電施設は日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業を継承しています。
しかし2011年(平成23年)の紀伊半島大水害により長殿発電所は全壊、2018年(平成30年)に出力を1万6200キロワットに増強して復旧工事が竣工しました。
 
天川村中心部から天の川沿いに県道53号を進むと左手に九尾ダムが見えてきます。
 
関電ブラックのラジアルゲートが5門。
訪問時は長殿発電所停止中のためゲートはすべて開放。
 
和田発電所への取水口。
取水も中断中。
 
天端。
 
5門のゲートは開放されたまま
奥に排砂ゲートがあります。
 
 
高速でシャッターを切ると鱗が現れました。
 
2018年(平成30年)の長殿発電所再建までゲートの開放は続きました。
 
追記
九尾ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1553 九尾ダム(0496)
奈良県吉野郡天川村九尾
新宮川水系天の川
26.5メートル
98.2メートル
1137千㎥/648千㎥
関西電力(株)
1937年
◎治水協定が締結されたダム


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