ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小見野々ダム(元)

2021-11-30 00:00:00 | 徳島県
2021年11月20日 小見野々ダム(元)
 
小見野々(こみのの)ダム(元)は徳島県那賀郡那賀町木頭助の一級河川那珂川本流にある四国電力(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編により誕生した四国電力(株)は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めます。
徳島県を貫流する那賀川では中下流域は県企業局が那賀川総合開発事業に参画して日野谷発電所や川口発電所を建設する一方、上流域では四国電力による電源開発が進められ1968年(昭和43年)に竣工したのが小見野々ダムです。
当ダムを上部池、県営(現在は国交省に移管)の長安口ダムを下部池として蔭平発電所で最大出力4万6650キロワットの混合揚水式発電を行います。 
 
一方那賀川では上流部での森林荒廃を主因として河床やダムで計画以上の堆砂が進行し、洪水調節や利水機能の齟齬が顕在化します。
そこで1998年(平成10年)より長安口ダム改造事業が着手される一方、2019年(令和元年)の那賀川水系河川整備計画変更により新たに『小見野々ダム再生事業』が採択されました。
具体的には貯水池内の堆砂の除去と1100万立米の洪水調節容量の確保を目的に2038年(令和20年)竣工をめどに下流への新ダム建設が進められる予定です。

長安口ダムから国道195号線を西へ約15キロ走ると小見野々ダムに到着します。
ダム下へ通じる道路もありますが、上記ダム再生事業のための地質調査が始まっており通行できませんでした。
こちらはダム管理道路わきの慰霊碑。
 
大美谷ダムと同じ仕様の蔭平発電所の説明版。
こちらもボタンを押せば音声解説が聞けます。
 
水利使用標識。
 
管理事務所の前に門扉がありダム敷地への立ち入りはできません。
通常ならば職員さんの都合がつけば中を案内していただけるようですが、訪問時はコロナ対応のため叶いませんでした。
クレストにはラジアルゲート9門を装備
そのほか放流管としてホロージェットバブル1条を備えています。
 
右岸3番目ゲートはフラッシュボードつき。
 
蔭平発電所の取水口。
 
左岸の巡視艇
クレーンで昇降させます。
 
総貯水容量1675万立米に対し有効貯水容量は1142万立米で堆砂率32%。
網場には大量の流木が掛かっています。
那賀川の堆砂問題は上流域の森林荒廃が主因とされており、流木の多さは森林荒廃の証左ともいえます。
 
上流から遠望
左手が管理事務所。
 
 
ダム下へのアプローチは国交省の地質調査で叶わず、ダム敷地内への立ち入りもコロナ対応で叶わず。 
ちょっと相性が良くなかった小見野々ダムです。 
小見野々ダム再生事業の竣工めどは2038年(令和20年)とまだまだ先の話ですが、四国最大のアーチダムがいずれ消えてしまうことには一抹の寂しさを感じてしまいます。 
 
(追記)
小見野々ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
2129 小見野々ダム(1747) 
徳島県那賀郡那賀町木頭助 
那賀川水系那賀川 
 
 
62.5メートル 
151.8メートル 
16750千㎥/6500千㎥ 
四国電力(株) 
1968年 
◎治水協定が締結されたダム 
-------------- 
3712 小見野々ダム(再) 
徳島県那賀郡那賀町木頭助 
那賀川水系那賀川 
FP 
 
メートル 
メートル 
20150千㎥/11000千㎥ 
国交省四国地方整備局 
2020年~ 



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