ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

広川防災ダム

2023-08-10 17:00:00 | 福岡県
2022年5月20日 広川防災ダム
2023年5月24日

広川防災ダムは福岡県八女郡広川町水原の筑後川水系広川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
広川上流では豪雨時の出水が多く流域の農地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで福岡県は1964年(昭和39年)に農水省の補助を受けた防災ダム事業に着手、1972年(昭和47年)に竣工したのが広川防災ダムです。
さらに2003年(平成15年)にかけての県営水環境整備事業が行われダム湖畔の整備が進められました。
管理は広川町が受託し、広川流域280ヘクタールの防災を担っています。
なおダム便覧ではダムの目的はFAとなっていますが、管理事務所で確認したところ灌漑容量は配分されておらずダムの目的はFとなります。

広川防災ダムには2022年(令和4年)5月20日に訪問しましたが、この時は放流設備改修工事のためダム下には入れませんでした。
そこで改修工事の完了を待って、2023年(令和5年)5月24日に改めて訪問しました。
日付表示のない写真はすべて最初の訪問時のものです。

県道84号西猪上陽線にダムを示す立派な案内碑が建っています。
描かれているのは広川町のキャラの『広川まち子ちゃん』。



堤高30.4メートル、堤頂長132メートルのロック堤体。
リップラップには芝が張られぱっと見はアースフィルのようです。
向って右手(左岸)に洪水吐斜水路、左手に刷新された放流設備があります。
(2023年5月24日)。


洪水吐斜水路(2023年5月24日)。


改修工事で刷新された放流バルブ
平時は流入量はそのままここから放流されます。
(2023年5月24日)


右岸から
訪問時は放流設備の改修工事中でした。


天端は車両通行可能。


総貯水容量99万立米の小さなダム湖。
有効貯水容量すべてが農地防災容量ですが、堆砂容量分だけ水が貯留されています。
また湖畔が水辺空間として開放され釣りなどを許可なく楽しめます。


上流面
対岸に洪水吐と管理事務所があります。


手前がダム穴風放流設備
堆砂容量を除き、流入量はそのまま放流されます。


右岸高台に展望台があり、高い位置から俯瞰できます。


左岸から下流面。


洪水吐減勢工。


左岸の横越流式洪水吐。

(追記)
広川防災ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2421 広川防災ダム(1809)
福岡県八女郡広川町水原
筑後川水系広川
30.4メートル
132.1メートル
990千㎥/802千㎥
広川町
1972年
◎治水協定が締結されたダム