ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

石木ダム

2023-08-02 17:07:18 | 長崎県
2023年5月22日 石木ダム
 
石木ダムは長崎県東彼杵郡川棚町岩屋郷の二級河川川棚川水系石木川に長崎県土木部が建設予定の多目的重力式コンクリートダムです。
洪水や渇水が多発する川棚川の治水対策や、慢性的な水不足に悩む佐世保市の上水用水源確保を目的として1973年(昭和48年)に事業着手されました。
しかし公共工事見直し機運が強まる中2010年(平成22年)には国交省による検討対象ダムとなりますが、2012年(平成24年)に事業の継続が決定します。
しかし近年のダム事業としては珍しく激しい反対運動が展開され土地収用は難航、2022年(令和4年)に強制収容によりようやく土地の買収が完了しました。
今後付け替え道路の建設とともに本体工事も着手される見通しですが竣工予定年度は明示されていません。

計画ではダムのスケールは堤高55.4メートル、堤頂長230メートル、総貯水容量548万立米となっており、完成の暁には石木川および川棚川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定利水への補給、佐世保市への上水道用水の供給を目的として運用される予定です。
 
ダム完成予想図(石木ダム建設事務所HPより)。


ダム建設予定地まで足を延ばしました。
奥に付け替え道路の橋脚が見えます。


こちらは地質調査。


今も激しい反対運動の跡が残ります。




こちらは石木川。


立ち退く住民の『なんで離れた佐世保のために自分たちが犠牲にならなければいけないのか?』という心情はよく理解できます。
一方で、反対運動に左翼系活動家いわゆるプロ市民が介入してきた段階で世論は離れます。
長崎県石木ダム建設事務所のホームページでは『魅力あるダム環境』が謳われています。
ダムが本来の目的を果たすだけでなく、ダムの完成が川棚町の活性化に大きくつながることを期待します。

2639 石木ダム
長崎県東彼杵郡川棚町岩屋郷
川棚川水系石木川 
FNW
 
55.4メートル 
234メートル 
5480千㎥/5180千㎥ 
長崎県土木部 
1973年事業着手