ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

沼原ダム

2021-05-07 00:54:31 | 栃木県
2021年5月4日 沼原ダム
 
沼原(ぬまっぱら)ダムは栃木県那須塩原市板室にある電源開発(株)が管理する発電目的のアスファルトフェイシングフィルダムで、揚水式発電の沼原発電所の上部調整池として1973年(昭和48年)に竣工しました。 
1960年代半ばから発電の主力は火力へと移り、さらに原子力発電の台頭もあり水力発電のシェアは低下する一方でした。しかしオイルショックによる原油高騰をうけて電力各社は水力発電に再着目、特に火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効に利用できる上に電力消費のピークに合わせて大出力の発電が可能な揚水発電に注目が集まりました。
電源開発(株)は農林省(現農水省)による深山ダム建設事業に発電事業者として事業参加、同ダムを下部調整池、沼原ダムを上部調整池とした沼原発電所を建設しました。
同発電所では上部ダムの沼原ダムと下部ダムの深山ダムの有効落差478メートルを利用して最大67万5000万キロワットの揚水式発電を行っています。
沼原ダムは那須山系南西端の標高1230メートルにある沼原と呼ばれる湿地帯に日本初のプール状貯水池として建設されました。
 
那須ハイランドGCから「沼原」の標識に従って北上すると正面に沼原ダムの下流面が見えてきます。
 
見えているのは自然の斜面を生かした下流面の一部で、実際の堤頂長はダム全周にわたり1597メートルに及びます。
 
ダム北側には湿原が残り、一帯は沼ッ原園地として遊歩道が整備されています。
また那須登山の起点にもなっており100台前後が駐車できる駐車場も設けられています。
 
案内板に書かれた沼原発電所概要図。
 
沼原池の石碑。
 
 
沼原ダム敷地はフェンスに囲まれ立ち入ることはできません。
ダム東側の展望台から
貯水池はいわば巨大な皿池で、上流面はすべてアスファルトにより遮水処理されています。
 
ダムの背後には男鹿山塊が続きます。
堤体の白線は水位目盛りで、この下に発電所への送受水設備があります。
 
こちらはダム堰堤北側。
 
ズームアップします
右手の草地が沼原湿原となります。
 
下部ダムである深山ダム湖範囲ある沼原電力所。
実際の発電所は地下にあるため目にすることはできません。
 
下部ダムの深山ダム
こちらもアスファルトフェイシングフィルダムです。
上下ともにアスファルトフェイシングフィルダムによる揚水発電は全国で2例しかありません。
 
下部池の深山湖。
 
0567 沼原ダム(1618)
栃木県那須塩原市板室
那珂川水系那珂川
FA
38メートル
1597メートル
4336千㎥/4220千㎥
電源開発(株)
1973年