ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

神浦ダム

2019-08-01 15:53:02 | 長崎県
2019年7月14日 神浦ダム
 
長崎市から西海市へと続く西彼杵半島には南北に約8キロ間隔で伊佐ノ浦雪浦、神浦と3基のダムが並びいずれも名前に『浦』が付いています。
一番南の神浦(こうのうら)ダムは長崎市神浦下大中尾町の神浦川上流部にある長崎県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、神浦川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、長崎市への上水道用水の供給を目的として1969年(昭和44年)に竣工しました。
多目的ダムではありますが、主目的は長崎市への上水道用水の供給で、ダム建設と同時に神浦ダムから長崎市手熊浄水場まで延長21キロにも及ぶ導水管が整備されました。
 
長崎市の水道施設網(長崎市上下水道局HPより)
 
神浦ダムは県道57号線沿いにあります。
クレストにはラジアルゲートを装備し、堤高51メートル堤頂長210メートルの堤体は、小規模なダムが多い長崎県営ダムの中では大きく見えます。
前日の雨で水位が上昇し、片門だけクレスト放流を行っています。
 
ピア上には操作建屋が乗り、エメラルドグリーンのゲートと赤い手すりがくすみがちなダムの色彩に鮮やかな彩りを与えています。
 
ダムにビルトインされた放流及び分水設備
河川維持放流を行うほか、ここから21キロ先の手熊浄水場へ導水管で送水されます。
 
上流面
対岸に管理事務所があります。
 
ゲートをズームアップ
ゲート操作室はピアの上にプレハブを載せたような構造。
 
天端は車両通行可能
ゲート部分だけクランクになっています。
 
天端高欄には旧外海町の自然や名物が描かれた陶板が貼り付けられています。
 
ゲートを真上から。
 
僅かに海が見えます。
 
総貯水容量684万立米は長崎県内のダムでは断トツの一番。
右奥の白い建屋は艇庫で湖面にインクラインが伸びています。
 
小規模なダムが多い長崎県では珍しい本格的重力式コンクリートダムです。
近くには棚田百選にも選ばれている大中尾棚田があるのですが、ダム見学を終えたら夕方6時になっていたのでそちらは断念しました。
 
(追記)
神浦ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2615 神浦ダム(1499) 
長崎県長崎市神浦下大中尾町
神浦川水系神浦川
FNW
51メートル
210メートル
6840千㎥/6280千㎥
長崎県土木部
1969年
◎治水協定が締結されたダム 

雪浦ダム

2019-08-01 13:32:08 | 長崎県
2019年7月14日 雪浦ダム
 
長崎市から西海市へと続く西彼杵半島には南北に約8キロ間隔で伊佐ノ浦、雪浦、神浦と3基のダムが並びいずれも名前に『浦』が付いています。
雪浦ダムは西海市大瀬戸町雪浦幸物郷の雪浦川本流上流部にある長崎県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで雪浦川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権としての灌漑用水および西海市大瀬戸町への上水道用水の補給、長崎市への上水道用水の供給を目的として1976年(昭和51年)に竣工しました。
多目的ダムではありますが主目的は長崎市への上水道用水の供給で、ダム建設と同時に雪浦ダムから神浦ダムを経て長崎市の手熊浄水場まで延長28キロにも及ぶ導水管が整備されました。
 
長崎市の水道施設網(長崎市上下水道局HPより)
 
県道12号の下山バス停で右手の分岐に入り雪浦川沿いを遡上すると雪浦ダムに到着します。
クレストにはラジアルゲートを装備していますが、下流からの展望ポイントは全くなくこれが精いっぱい。
せめてゲートだけでも見えるように木を切ってくれ!とも言えないのがつらい所。
 
昭和40年代のダムらしく、打継目のはっきりした下流面。
 
上流からの展望ポイントもほとんどありません
左岸が緩やかに屈曲しています。
 
諸元プレート。
 
減勢工はかなり長くずいぶん下流に副ダムがあります。
 
ダム下の放流設備
ここから神浦ダム経由で手熊浄水場に水が送られます。
 
河川維持放流。
 
ゲートを真上から
前日の雨で水位が上がり放流が行われています。
 
総貯水容量は390万立米。
 
右岸から
よく見ると堤体右岸も屈曲しています。
天端は車両通行可能ですが、右岸から上流に向かう道路が崩落で通行止めのためここで行き止まり。
 
長崎県では3基しかないラジアルゲート装備ダムですが、下流側からの展望ポイントは全くありません。
 
(追記)
雪浦ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2618 雪浦ダム(1498) 
長崎県西海市大瀬戸町雪浦幸物郷
雪浦川水系雪浦川
FNW
44メートル
146メートル
3900千㎥/3220千㎥
長崎県土木部
1976年
◎治水協定が締結されたダム

伊佐ノ浦ダム

2019-08-01 02:05:20 | 長崎県
2019年7月14日 伊佐ノ浦ダム
 
長崎市から西海市へと続く西彼杵半島には南北に約8キロ間隔で伊佐ノ浦、雪浦神浦と3基のダムが並びいずれも名前に『浦』が付いています。
一番北の伊佐の浦ダムは西海市西海町中浦南郷の伊佐ノ浦川本流上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農水省の補助を受けた長崎県の畑地かんがい事業により1980年(昭和55年)に事業着手され1988年(昭和63年)に竣工しました。
運用開始後は西海土地改良区が受託管理を行い、旧西海町域の畑地約500ヘクタールに灌漑用水を供給しています。
また1998年(平成19年)にはダム湖周辺が伊佐ノ浦公園として整備され、コテージ・バンガローの宿泊施設やキャンプ場、さらにはサイクリングや貸しボート、バス釣り、ハイキング等が楽しめる長崎県を代表するアウトドアスポットになっています。
 
『道の駅さいかい』から広域農道の西海オレンジロードを南に進むと『伊佐ノ浦公園』を示す案内板が現れます。
これに従って西に折れると伊佐ノ浦ダムに到着です。
ダム下から
農業用コンクリートダムらしく洪水吐は自由越流式クレストゲート3門のみ。
前日の雨で水位が上がり美しい越流が見られます。
 
右岸ダムサイトにはドッグランやミニサッカー場などがあり家族づれにぎわっていますが、その脇にひっそりと佇む竣工記念碑。
佐賀・長崎ではおなじみの金箔文字仕様です。
 
下流面。
 
天端は車両通行可能。
天端親柱に伊佐ノ浦ダムの銘板。
 
半円形の取水設備。
 
減勢工と副ダム
越流してるため副ダムも水はたっぷり。
右手前が放流設備、奥は揚水機場。
 
越流をズームアップ。
 
ダム湖は総貯水容量187万立米と灌漑用ダムとしてはかなり大規模
湖畔にはコテージが並びます。
 
諸元プレート。
 
上流面。
 
訪問したのが海の日の3連休中日ということで、ダム周辺は家族連れやカップルで大賑わい。
ただダムそのものに興味を持つ人はほとんどいませんが。
国交省直轄ダムなどではダム周辺が総合的に公園化整備されるケースがよくありますが、農業用ダムでこのような事例はあまり見かけません。
湖畔のコテージにはぜひとも泊まってみたいのですが、長崎は遠すぎる・・・・。
 
(追記)
伊佐ノ浦ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
2644 伊佐ノ浦ダム(1497) 
長崎県西海市西海町中浦南郷
伊佐ノ浦川水系伊佐ノ浦川
29.7メートル
140.7メートル
1870千㎥/1640千㎥
西海海土地改良区
1988年
◎治水協定が締結されたダム