ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

立野ダム

2022-06-11 12:00:00 | 熊本県
2022年5月24日 立野ダム
 
立野ダムは左岸が熊本県菊池郡大津町外牧、右岸が同町立野の一級河川白川本流に国交省九州地方整備局が建設中の治水目的の曲線重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)は1979年(昭和54年)より白川へのダム建設実施計画調査に着手し、立野ダム建設事業が採択されました。
しかし公共工事見直し機運が強まる中、2010年(平成22年)に国交省による検討対象ダムとなります。
2013年(平成25年)に改めて事業継続が決定し、2014年(平成26年)より仮排水路工事が着工、そして2018年(令和元年)から本体工事が着手され現在はコンクリート打設が行われています。
立野ダムは普段は貯水池に水を溜めない
流水型治水ダムで、ダム完成の暁には国交省直轄ダムとしては初の流水型治水ダムとして運用が開始される予定です。

建設現場はダム西方に設けられた立野ダム展望台から遠望できます。
建設現場手前に南阿蘇鉄道の橋梁が架かり、インスタ映えするスポットとして知られていますが、ダム愛好家としては橋が邪魔で打設の様子がはっきり見えないのが難。


おまけに朝もやが掛かり逆光という悪条件。


ダムカードフレームには熊本らしく『くまモン』


こちらには阿蘇のカルデラの説明。
世界屈指のカルデラですが、南北の谷の出口は立野ダムが建設されているこの狭い渓谷ただ一つ。
しかも地質は脆く流出しやすい火山堆積物。
大雨が降れば洪水が起きるのは自明の理。



九州という遠い地ですが、完成後に再訪できることを願っています。

2683 立野ダム(1846)
左岸 熊本県菊池郡大津町外牧
右岸        同町立野 
白川水系白川 
 
 
87メートル 
197メートル 
10100千㎥/9500千㎥ 
国交省九州地方整備局 
2024年

大切畑ダム(再)

2022-06-11 08:00:00 | 熊本県
2022年5月24日 大切畑ダム(再)
 
大切畑(おおぎりばた)ダムは熊本県阿蘇郡西原村小森の白川水系鳥子川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
起源は江戸末期まで遡り1855年(嘉永7年)に熊本藩主細川斉護の命を受けた布田手永の惣庄屋矢野勘兵衛の手によって築造されました。
その後1975年(昭和50年)に大規模な改修が行われ、ダム便覧はこの改修の竣工を改修年度としています。
下流の水田・畑地約200ヘクタールに灌漑用水を供給する一方桜の名所として知られ、農水省によるため池百選にも選ばれています。

2016年(平成28年)4月の熊本地震により堤体及び洪水吐に亀裂が入り、さらにその後の調査で貯水池を横断する活断層の存在が確認されました。
2017年(平成29年)に農林水産省の補助を受けた県の大切畑ダム復興事業が着手され、既設ダムの上流237メートル地点への新ダム建設が決まりました。
工事は翌2019年(令和元年)に着工され、2024年(令和6年)の完成をめどに建設が進められています。
2024年(令和6年)のダム年鑑及びダム便覧のダム追加・削除に伴い新たに『大切畑ダム(再)』」が登録される一方、元の『大切畑ダム』は削除されました。
 
大切畑ダム復興事務所からはWEB上の情報発信は行われていません。
一方現地の掲示板には災害復旧工事の概要や工事の進捗状況が張り出してあります。
できればこういう情報もHPで発信していただきたいものです。


旧ダム堤体を走っていた県道28号
地震によって洪水吐に架かる橋が落橋するなど長く通行止めでした。
 


旧洪水吐に架かる大切畑ダム橋
地震で落橋しました。


標識の先に復興事務所があります。
訪問時が午前7時過ぎのため事務所はまだ開いてませんでした。
でも工事は始まっていましたが…。


こちらは旧洪水吐
提体と洪水吐に亀裂が入りました。

県道から工事現場を望む
提体は上流に237メートル移設。この間は盛土される予定。

右岸のダム軸。


対岸の法面が左岸のダム軸
仮排水トンネルはすでに完成し2020年(平成2年)12月から転流が行われています。
訪問時は池敷掘削や洪水吐法面施工が行われていました。
また今月(2022年5月)より仮締切の盛り立てが始っています。 


上流側の工事の様子
地質は透水性の高い阿蘇の火山堆積物で形成されるため、上流部全般でブランケット処理が施工される予定。 

3718 大切畑ダム(再)(1845)
熊本県阿蘇郡西原村小森 
白川水系鳥子川 
 
 
29メートル 
237メートル 
600千㎥/549千㎥ 
熊本県(事業者)
事業着手 2017年~
-------------------
2669 大切畑ダム(1845)
熊本県阿蘇郡西原村小森 
白川水系鳥子川 
 
 
23メートル 
125メートル 
851千㎥/720千㎥ 
西原村 
1975年
2024年 ダム便覧より削除

姫の河内ダム

2022-06-03 08:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 姫の河内ダム

姫の河内(ひめのかわうち)ダムは熊本県天草市二浦町の桜川水系姫の河内川にある天草市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
旧牛深市では昭和30年代半ばより水道整備が進められ、1965年(昭和40年)に桜川に第1ヤイラギダムが、1971年(昭和46年)に第2ヤイラギダムが建設されました。
姫の河内ダムは牛深市3番目の上水ダム(堤高15メートル以上のダム)として1988年(昭和63年)に竣工し、日量最大366立米の水がダム直下の姫の河内浄水場を通じ給水されています。

ダム直下は浄水場のため立ち入り禁止、見学は右岸からに留まります。
自治体管理の上水ダムらしく洪水吐はクレスト自由越流頂1門だけ。


右岸から下流面。
洪水吐のすぐ下に浄水場があります。


天端も立ち入り禁止。
貯水池は総貯水容量10万9000立米。
曝気装置が稼働しています。


上流面
取水設備は半円形。


竣工記念碑は同時期の第2ヤイラギダムの再開発記念碑とよく似た仕様。




こののち、2013年(平成25年)の県営路木ダムの完成により、天草市牛深地区の水道事情は大きく改善しました。

2983 姫の河内ダム(1826)
熊本県天草市二浦町
桜川水系姫の河内川
21メートル
81メートル
109千㎥/81千㎥
天草市水道局
1988年

第1ヤイラギダム

2022-06-02 23:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 第1ヤイラギダム

第1ヤイラギダムは熊本県天草市魚貫町の桜川水系桜川にある天草市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
旧牛深市では昭和30年代半ばより水道整備が進められ、同市初の上水道水源として1965年(昭和40年)に完成したのがヤイラギダム(現第1ヤイラギダム)です。
1971年(昭和46年)には当ダム直上に第2ヤイラギダムが完成、さらに1985年(昭和60年)の第2ヤイラギダム嵩上げにより両ダム合わせた有効貯水容量は75万5000立米となりました。
両ダム計日量最大4960立米の取水が可能で、現在も牛深地区最大の上水道水源となっています。

徒歩でダム下に行けますが、樹木が密生しご覧のような状態。
まともにダムの全景を撮ることはできません。


ダム下にはハンドルと小さな機械室。
ダムから浦越浄水場へ水を送るための操作機器となります。


何とか堤体を撮ろうと試みますが…。


これが精いっぱい
クレストにローラーゲート1門を備えています。


天端は立ち入り禁止。


昭和40年前後のダムらしく管理橋はゲート上を跨ぎます。




ダムの右岸を通る市道わきの竣工記念碑。


上流から遠望するも全景は望めず。


2686 第1ヤイラギダム(1825)
熊本県天草市魚貫町
桜川水系桜川
19.5メートル
47メートル
168千㎥/130千㎥
天草市水道局
1965年

第2ヤイラギダム

2022-06-02 19:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 第2ヤイラギダム

第2ヤイラギダムは熊本県天草市魚貫町の桜川水系桜川にある天草市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
旧牛深市では昭和30年代半ばより水道整備が進められ、1965年(昭和40年)に桜川にヤイラギダム(現第1ヤイラギダム)が竣工、次いで1971年(昭和46年)に同ダム直上に建設されたのが第2ヤイラギダムです。
その後1985年(昭和60年)に嵩上げ再開発が行われ堤高は旧来の28.8メートルから36メートルに、堤頂長は67メートルから90メートルに、有効貯水容量は30万立米から62万5000立米へと増大しました。
ヤイラギ第1第2ダム合わせて日量最大4960立米の取水が可能で、現在でも牛深地区最大の上水道水源となっています。

ダム下から
自治体管理の上水ダムらしく洪水吐はクレスト自由越流頂1門だけ。
嵩上げの痕跡は見えません。
下流の第1ヤイラギダムと一体運用され取水された水は第1ダム湖に送られます。




エンドシルに乗っかる小さな流木。


右岸側ダムサイト中段に駐車場スペースがあり記念碑が2基並んでいます。
こちらは1971年(昭和46年)当初の記念碑。

こちらは1985年(昭和60年)の嵩上げ再開発竣工記念碑。


ダムの両側はカドになっています。


高い位置から。


天端は立ち入りできません。
総貯水容量は63万8000立米。


下流の第1ヤイラギダムから遠望。


こちらは上流から遠望。

ダム便覧では再開発竣工を竣工年度としています。
ならば正式には第2ヤイラギダム(再)とするのが妥当ですね。

2687 第2ヤイラギダム(1824)
熊本県天草市魚貫町
桜川水系桜川
36.1メートル
90メートル
638千㎥/625千㎥
天草市水道局
1971年竣工
1985年嵩上げ再開発竣工

路木ダム

2022-06-01 21:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 路木ダム

路木ダムは熊本県天草市河浦町路木の路木川水系路木川本流上流部にある熊本県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
国交省の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、路木川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、天草市河浦町への上水道用水の供給を目的として2013年(平成25年)に竣工しました。
天草では最も新しいダムです。

クレスト自由越流頂4門、自然調節式オリフィス1門のゲートレスダムです。


襟が高いのが目に付きますが、あとはこれと言って特徴はありません。
いわゆる大量生産型の補助ダムと言った風。


敷地にはチェーンが掛けられ、天端はもちろんのこと駐車場にも車を入れることができません。
また、竣工記念碑やダムの説明板、銘板なども一切見当たりません。


上流面
水位が低いようにも見えますが、オリフィス直下まで水がたまりこれでほぼ常時満水位。


減勢工と放流設備
こちらも余計なものは何もない。


堤体導流壁は中段から波返しの付いた堤趾導流壁となります。


ダム湖は総貯水容量229万立米と天草2番目の大きさ。


左岸の管理事務所裏手に巡視艇が繋留されています。


上流面。


取水設備は縦樋。

着工から竣工まで民主党政権時代と重なり、とにかく公共工事が目の敵にされた時代。
こうした風潮を受けてか、竣工記念碑や銘板はおろか装飾的なものが一切見当たらない簡略かつ簡素な造りとなっています。

3183 路木ダム(1823)
熊本県天草市河浦町路木
路木川水系路木川
FNW
53メートル
169メートル
2290千㎥/2080千㎥
熊本県土木部
2013年

亀川ダム

2022-06-01 16:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 亀川ダム

亀川ダムは熊本県天草市枦宇土町の亀川水系亀川にある熊本県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、亀川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、本渡市(現天草市)への上水道用水の供給を目的として1982年(昭和57年)に竣工しました。
天草諸島では最初に建設された補助ダムです。

堤高37メートル、堤頂長110メートルの小ぶりなコンクリートダムです。
洪水吐はクレスト自由越流頂3門と自然調節式オリフィス1門を装備。
このほか利水放流管を2門備えています。



ダムの左岸を国道266号が通り、アプローチは上流からとなります。
まず目に入るのが流木除けの赤いゲージ。
手前には巡視艇が繋留されています。


洪水吐をズームアップ
赤いゲージがオリフィスの取水口
クレストの右手の建屋の下に取水設備があり、ゲートが見えます。


手前は管理用階段棟、対岸に管理事務所があります。
オリフィスの取水口が高い位置にあり、ダム穴風に流下する仕組みです。
そのため流木やゴミを避けるためのゲージが設置されています。


親柱に嵌め込まれた石板
これが竣工記念碑になるようで、もちろん文字は金箔仕様。

左岸ダムサイト下流側が展望台になっています。
広角じゃないと撮影は難しい。


利水放流設備
田植えシーズン直前ということで手前のホロージェットバブルと奥のジェットフローゲート両方から放流しています。


天端から減勢工を見下ろします。


総貯水容量265万立米は天草のダムでは最大。


天端は車両通行可能。

2676 亀川ダム(1822)
熊本県天草市枦宇土町
亀川水系亀川
FNW
37メートル
110メートル
2650千㎥/2400千㎥
熊本県土木部
1982年

都呂々ダム

2022-06-01 13:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 都呂々ダム

都呂々(とろろ)ダムは熊本県天草郡苓北町都呂々の都呂々川本流上流部にある熊本県企業局が管理する利水多目的重力式コンクリートダムです。
苓北町への九州電力苓北火力発電所建設に合わせて、熊本県企業局は1984年(昭和59年)に苓北工業用水道事業に着手、これに町内の上水道および灌漑用水の整備を企図していた苓北町が事業参加し、両者の共同事業として1989年(平成元年)に竣工したのが都呂々ダムです。
運用開始後は熊本県企業局が管理を行い、苓北町内約5000人への上水道用水の供給、都呂々川流域約20ヘクタールへの特定灌漑用水の供給、九州電力苓北火力発電所及び内田工業団地への工業用水の供給を目的として運用されています。

ダム下から
利水ダムのため洪水吐はクレスト自由越流頂3門と緊急放流管1条のみ。




そばを通る県道からダムサイトへは上流からのアプローチとなります。
ゲート左手に選択取水設備があります。


非常にわかりやすいダムの説明版。
ほかの事業者も見習ってほしいものです。


水利使用標識。


天端から見た減勢工
エンドシルは2基
左手の建屋はポンプ室で農水と上水はここから専用水路で送水されます。
一方工水はいったん都呂々川に放流されたのち下流で取水されます。
右手の建屋は放流設備。


総貯水容量は136万立米。


右岸上流に巡視艇の繋留設備があります。


天端は車両の通行ができ、脇にはユニークなモニュメント。


当時の県知事は細川さん、彼の嗜好なんでしょうか?


下流面
対岸に管理事務所があり職員が常駐しています。


左岸ダムサイトの竣工記念碑。
おなじみの金箔文字。


2984 都呂々ダム(1821)
熊本県天草郡苓北町都呂々
都呂々川水系都呂々川
AWI
41.8メートル
145メートル
1360千㎥/1160千㎥
熊本県企業局
1989年

志岐ダム

2022-06-01 08:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 志岐ダム

志岐ダムは熊本県天草郡苓北町志岐の志岐川本流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大河がない天草諸島では古くから水源を小中小河川やため池に依存してきましたが、各河川は流域面積が小さく慢性的な用水不足に悩まされてきました。
こうした状況を打開するため、島内各所で県営かんがい排水事業が着手されました。
天草下島北西部の苓北町では1968年(昭和43年)より県営かんがい排水事業志岐地区が着手され、その灌漑用水源として1973年(昭和48年)に竣工したのが志岐ダムです。
運用開始後は志岐土地改良区(現在は土地改良区の統合により苓北町土地改良区)が管理を受託し約350ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。

ダム右岸を走る県道44号本渡苓北線から
提体は毎年手入れされているようで、5月としてはきれいに整った下流面。


ダム下から
堤高36メートルと島のアースフィルダムとしてはなかなかの高さ。
縦に伸びる三本の筋にはドレーン管が埋設されています。


ダム下の底樋樋門。
今はパイプラインが通されています。


天端は車両の通行可能。


右岸の横越流式洪水吐。


アングルを変えて
上流面はロック材で護岸。


右岸ダムサイトに建つ記念碑
志岐ダムと刻されていますが、砂岩でも使ったのか?摩耗が激しく字が読めない。


上流面のロック材に鎮座する定礎石。


天端からダム下を見下ろすと
九十九折れの管理道路が続きます。


取水設備が見当たりません。
このシャフトが取水設備になるんですかねえ?


総貯水容量は80万3000立米。


2667 志岐ダム(1820)
熊本県天草郡苓北町志岐
志岐川水系志岐川
36メートル
145メートル
803千㎥/707千㎥
苓北町土地改良区
1973年

五和ダム

2022-05-31 23:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 五和ダム

五和ダムは熊本県天草市五和町城河原の内野川水系古道川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
大河がない天草諸島では古くから水源を小中小河川やため池に依存してきましたが、各河川は流域面積が小さく慢性的な用水不足に悩まされてきました。
天草下島北東部の旧五和町では、1979年(昭和54年)に県営かんがい排水事業五和地区が着手され、その灌漑用水源として1985年(昭和60年)に竣工したのが五和ダムです。
運用開始後は五和町土地改良区が管理を受託し約240ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
さらに2002年(平成14年)には当ダム東方約2キロに五和東部ダムが完成し、2ダム合わせてた受益農地は500ヘクタールに拡大しました。

ダム下流から遠望
ダム下のコンクリート建屋は調圧水槽。
堤体向って右手(左岸)に洪水吐が見えます。


リップラップには草木が繁茂し、もはやロックだかアースだかわからない状態。
グーグルの空撮写真ではきれいに草が刈られているんですが、直に見るとここ何年かは手が入ってない様子。


草まみれの堤体とは裏腹に洒落たデザインの管理事務所。


左岸の横越流式洪水吐。


洪水吐導流部
こちらも草木が覆いかぶさっています。


竣工記念碑はもちろん金箔仕様。


天端から洪水吐を望む。
叩きは石張り。


総貯水容量は57万立米。


どこを探しても取水設備が見当たりません。
上流面のこれが取水設備?


右岸から
天端は車両通行可能
下流面には木が伸び始めています。5月だからではなくもう何年も手入れしてない様子。


上流面の草も負けてはいません。

天端中ほどのパイプが取水設備なのか?そこだけが謎のままの五和ダムです。

2684 五和ダム(1819)
熊本県天草市五和町城河原
内野川水系古道川
37.1メートル
173.3メートル
570千㎥/561千㎥
五和町土地改良区
1985年

五和東部ダム

2022-05-31 16:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 五和東部ダム

五和東部ダムは熊本県天草市五和町城河原の内野川水系横尾川にある灌漑及び上水道用水目的のロックフィルダムです。
大河がない天草諸島では古くから水源を小中小河川やため池に依存してきましたが、各河川は流域面積が小さく慢性的な用水不足に悩まされてきました。
天草下島北東部の旧五和町では、1982年(昭和57年)に県営かんがい排水事業五和地区によりで238ヘクタールの農地を受益地として
五和ダムが建設されました。
五和東部ダムはその2期事業ともいえる県営かんがい排水事業五和東部地区の灌漑用水源として2002年(平成14年)に竣工しました。
事業には水道事業者として当時の五和町(現天草市)が事業参加し、運用開始後は五和町土地改良区が管理を受託し約260ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するほか、天草市五和町に上水道用水を供給しています。

まずはダム下へ
右手が洪水吐斜水路からの水路、左手が放流設備からの水路になります。


洪水吐斜水路と減勢工
下流からフィル堤体を一望できる場所はありません。


右岸ダムサイトを市道が通っています。
堤高33メートルですが、ダム下が土捨て場として盛土されたため見た目は15メートルほど。
リップラップは一部草が生えていますが、土地改良区管理の農業用ダムとしてはきれいな方です。


天端は車両通行可。


上流面。
対岸の建屋が管理事務所


天端からは正面に雲仙が望めます。
天気が良ければいい眺めなんでしょう。


総貯水容量は73万9000立米。


斜樋をズームアップ。


左岸の横越流式洪水吐。


アングルを変えて
ここから2枚目写真に流下します。


九州ではおなじみ、金箔仕様の記念碑。

竣工当時の受益農地は256ヘクタールで現在は262ヘクタール。
過疎化や高齢化による離農で受益農地が減少する農業用ダムが多い中、わずかながらも増加している点は注目に値します。

3185 五和東部ダム(1818)
熊本県天草市五和町城河原
内野川水系横尾川
AW
33.3メートル
170メートル
739千㎥/720千㎥
五和町土地改良区
2002年

楠浦ダム

2022-05-31 08:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 楠浦ダム

楠浦ダムは熊本県天草市楠浦町の方原川上流部にある漑及び上水道用水目的のアースフィルダムです。
1963年(昭和38年)に農林省の補助を受けて着手された県営土地改良事業楠浦地区の灌漑用水源として1966年(昭和41年)に竣工しました。
なお現地記念碑では1967年(昭和42年)竣工となっています。
同事業には水道事業者として当時の本渡市(現天草市)が事業参加し、運用開始後は楠浦町土地改良区(現在は本渡改良区)が管理を行い、管内農地への灌漑用水及び天草市楠浦町への上水道用水の供給を行っています。
上水道向け取水量は日量5000立米と旧本渡市向け水道の主要貯水池となっており、農業ダムと言うよりは上水ダムと言う側面の方が強いようです。

天草市楠浦町から県道278号線を約3キロ西進すると楠浦ダムに到着します。
楠浦町はミカン栽培が盛んで県道わきのみかんを模した『映柑湖』の石碑が目印です。


天端へは車両の乗り入れはできませんが、徒歩での立ち入りは特に規制されていません。


県道沿いに建つ管理事務所。


左岸の横越流式洪水吐
緩やかにカーブを描いています。


洪水吐越流部の脇にシャフトがついています。
これが取水設備?
ちなみに斜樋などは他には見当たりません。


洪水吐斜水路。

提体に階段がついています。
こちらも規制がなかったので下りてみました。
堤高32メートルとアースフィルとしては結構な高さ。
池と呼ぶよりダムの方が妥当ですね。


洪水吐斜水路を見上げます。


こちらは調圧水槽。


調圧水槽から伸びる水路管が洪水吐を跨ぎます。


映柑湖と名付けられたダム湖は総貯水容量106万8000立米。


2663 楠浦ダム(1817)
熊本県天草市楠浦町
方原川水系方原川
AW
32メートル
139.1メートル
1068千㎥/969千㎥
本渡土地改良区
1966年

上津浦ダム

2022-05-30 23:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 上津浦ダム

上津浦(こうつうら)ダムは熊本県天草市有明町上津浦の上津浦川本流上流部にある熊本県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の小規模ダム事業である
生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、上津浦川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、天草市有明町への上水道用水の供給を目的として2004年(平成16年)に竣工しました。
天草上島では唯一の補助多目的ダムです。

クレスト自由越流頂1門、自然調節式オリフィス1門の特に特徴のないゲートレスダムです。
ダム建設に合わせてダム下は『ホタル広場』として整備されましたが、今は草が繁茂しかなり荒れ気味。利用者もほとんどないという県ダムではよく見かける情景。


左岸から下流面。


選択取水設備が堤体内に設置されており、突起物がないすっきりした上流面。


天端からは海が見えます。
対岸は天草下島、その背後には島原まで遠望できます。
手前側の建屋は当ダムから水を供給する浄水場。


ダム湖は総貯水容量は46万7000立米と生活貯水池ダムならではのサイズ
集水面積1.2平方キロのうち直接流域は半分の0.6平方キロ
残り半分は山の北側の支流からの導水に依ります。
左手に見えるのが導水路吐口と導流路。


湖面に浮かぶのは曝気装置。


天端には堤体内に設置された取水設備や曝気装置の操作機器が並びます。


洪水吐導流部と減勢工
右手は放流設備
エンドシルの下流左岸側が『ホタル広場』ですが、上から見ると緑一色。
自然に回帰しつつあります。


右岸から下流面。
対岸に管理事務所がありますが平時は職員の常駐はないようです。


上流から。


3054 上津浦ダム(1816)
熊本県天草市有明町上津浦
上津浦川水系上津浦川
FNW
54メートル
205メートル
467千㎥/440千㎥
熊本県土木部
2004年

教良木ダム

2022-05-30 19:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 教良木ダム

教良木(きょうらぎ)ダムは左岸が熊本県上天草市松島町教良木、右岸が同市松島町内野河内の教良木川水系祝口川にある灌漑及び上水道用水目的のロックフィルダムです。
大河がない天草諸島では古くから水源を小中小河川やため池に依存してきましたが、各河川は流域面積が小さく慢性的な用水不足に悩まされてきました。
1972年(昭和47年)に農水省の補助を受けた県のかんがい排水事業教良木地区が着手され、その灌漑用水源として1976年(昭和51年)に竣工したのが教良木ダムです。
事業には水道事業者として当時の松島町(現上天草市)と倉岳町(現天草市)が事業参加し、運用開始後は教良木土地改良区が管理を受託し約500ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するほか、上天草市松島町および天草市倉岳町に上水道用水を供給しています。

ダム下流にある巨大なコンクリート構造物。
実はこれが調圧水槽。


調圧水槽の裏には、ダムの取水設備から続く水路鉄管。


ダムの左岸を県道54号有明倉岳線が通りアプローチは簡単です。
リップラップには草が伸び、見た目はアースダムのよう。


天端は車両の通行ができます。
左手の建屋は管理事務所。


右岸の横越流式洪水吐
洪水吐上流側に取水設備があるんですが、水位が高く水没しており視認できません。


管理事務所そばの事業説明板
これがあるとダム建設の経緯がわかりやすいんですよねー。


洪水吐脇上流面にある竣工記念碑。
九州ではおなじみ、金箔仕様の記念碑ですが半ば草に埋もれています。


横越流式洪水吐。


洪水吐と上流面
上流面は草もなくロックフィルダムだとわかります。


左右両湖畔に親水公園があります。
こちらは右岸から遠望した堤体。
ダム湖は総貯水容量139万1000立米と離島としてはなかなかの規模。


こちらは左岸県道わきの公衆トイレ。
鳥をモチーフにしたユニークなデザイン。


2673 教良木ダム(1815)
左岸 熊本県上天草市松島町教良木
右岸      同市松島町内野河内
教良木川水系祝口川
AW
29.3メートル
108メートル
1391千㎥/1371千㎥
教良木土地改良区
1976年

西河内ダム

2022-05-30 15:00:00 | 熊本県
2022年5月21日 西河内ダム
 
西河内(にしごうち)ダムは熊本県上天草市姫戸町二間戸の神代川水系西河内川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
ダム便覧には1970年(昭和45年)に当時の姫戸町の事業で竣工と記されており、現地記念碑にも『西河内かんがい排水事業 発注者姫戸町長・・・・』と刻されています。
町単独事業とは考えづらく、農水省や県の補助を受けた事業で建設されたものと思われます。
管理は姫戸町が行っていましたが、現在は町村合併で誕生した上天草市が引き継いでいます。

上天草市二間戸から神代川沿いを約1.7キロ西進すると西河内ダムに到着します。
クレスト自由越流頂2門の農業用コンクリートダムらしい簡易な作り。
ダム右岸下流側に放流設備がありますが、草が深く接近はおろか撮影もままなりません。


少しアングルを変えて。


左岸ダムサイトの記念碑。


上流面は木が茂り、これが精いっぱい。


天端の立ち入り制限はありません。
完成当初はダム湖を周回する道路も作られたようですが、今は右岸側が廃道状態で行き止まり。


親柱上流側のダム銘板。

下流側には『昭和55年3月完成』の銅板。


総貯水容量はわずか2万2000立米。


提体やや右岸側に取水設備があり、これはそのハンドル。


自由越流頂。

3299 西河内ダム(1814)
熊本県上天草市姫戸町二間戸
神代川水系西河内川
17.5メートル
68.8メートル
22千㎥/16千㎥
上天草市
1970年