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タイ北部諸窯の魚文考#1

2015-10-05 09:13:34 | 北タイ陶磁
過日チェンマイのスリウォン・ブックセンターにて「プラー・ナームチッ(ト):淡水魚」なる書籍と図鑑を購入した。更に「ランナー・タイの魚」なる優れたHPも存在する。ここでは、これら資料を援用して考察した結果を紹介したい。尚、同様な魚文考は当該ブロガーのHPにも掲載しているので、それらも参照願いたい。
先ずスコータイ、シーサッチャナラーイ両窯の魚文を見てみたい。次の魚文は、カレイやヒラメのように魚高は高いが薄い魚体である。当然ながらタイ湾から500km程の内陸であるので、淡水魚である。


写真は上からシーサッチャナラー、下2つはスコータイの単魚及び双魚文である。このように両窯共に、魚高の高い魚文が多い。これらの魚文は想像上の魚を写したのであろうか?・・・そうは思えない、身近な魚を写したものであろう。そうするとそのような魚が存在するのであろうか。
下に「プラー・ナームチッ(ト):淡水魚」の表紙を掲げておく、その表紙で該当するような魚体の魚を赤枠で囲み表示した。
一番下の赤枠は、今上天皇が皇太子時代にタイに贈られたティラピアで、タイではこれをプラー・二ンと呼んでおり、14-16世紀の中世には棲息しておらず、対象から外れる。残るのは右上の赤丸で囲った魚であるが、これをプラー・チョーンプロムチャムナーイという。これを上から一つ目、二つ目の写真と比較すると、なるほど背鰭、腹側の鰭が一つである点は共通しているが、尾鰭が二股になっておらず、何か異なるようである。
そこで、先述の「ランナー・タイの魚」なるHPを覗くと、下の写真が掲載されていた(無断使用許可とのことで借用掲示している)。魚名はパ・サラークと表示されているが、プラー・サラークである。
見ると、背および腹側の鰭が一つで、尾鰭が二股に分かれている。このプラー・サラークないしは近似種を魚文に写したと考えても良いと思われる。しかし、上から3番目の魚文は、似たような魚と思われるが、腹側に3つの鰭が並んでいる。このような鰭をもつ魚は、北タイでは観たことがなく(経験が多くないので断言はできないが)、図鑑にも掲載されていないことから、想像上の鰭かと考える。
いずれにしても、カレイやヒラメのように薄く、魚高の高い魚が淡水魚の中に実在しており、それらを写したことになり、決して全てが想像上の魚文では無かったことになる。




                                      <続く>


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