世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

金の糞をするメンシーフーハーター(แมงสี่หูห้าตา)

2018-12-01 06:49:18 | 北タイの寺院

過日、新明天庵氏のブログをみていると、11月18日から28日までチェンライでタイ王国国民体育大会が開催中とのこと。そのブログに紹介されていたのが四耳五目のメンシーフーハーターなる動物のマスコットである。

タイは日本と異なり、毎年開催ではなく2年に1回の開催である。うろ覚えであるが、タイは確か77-78県であったはずだが、これでは一巡するのに150年かかる・・・そのようなことは置いといて、本題である。

自分の目で大会マスコットを見たわけではないので、大会のOfficial siteに掲載されていた写真とスケッチを掲げておく。御覧のようにインパクトのあるマスコットである。

 

新明天庵氏は、ブログに動画を掲載されていた。見ると日常会話もままならないのに早口でさっぱりである。動画では体はライオンのように描かれ、黒色で目は緑色であった。1990年からチェンマイと関わるようになったが、メンシーフーハーターは初耳で、知らないことが未だ多々あるようだ。そこで種々調べてみたが、分からないことが多く、機会が在れば現地で調べてみたい。わずかながら掴んだことは、以下のようである。

『ある日猟師が山に入ると、メンシーフーハーターと呼ぶ四耳五目の動物が足に縄をかけられ、木に吊り下げられていた。猟師は縄をほどき連れ帰ると、火を食べ金の糞をした。その時の王様は欲張りで、噂を聞きつけメンシーフーハーターを猟師から奪い取った。糞をさせ金を手に入れようとする王様に嫌気がさして、メンシーフーハーターは山奥の洞窟に逃げ込んだ。欲張りは駄目だという伝承である。』・・・とのことらしい。伝承と云うより仏教説話のように思える。この伝承の本貫がチェンライの南の小高い丘に建つ、ワット・プラタート・ドイカオクワーイという寺院と分かったが、この寺院の縁起が良く分からず、いつ建立されてこの伝承が生まれたのか、その時期がハッキリしない。

以上のようなことであったが、チェンライではそれなりに知られた伝承で、それが大会マスコットに採用された理由であると考えている。調べていると、メンシーフーハーターはチェンライのみならず、チェンマイの寺院でも見ることができるという。それは旧市街南側のチェンマイ門近くのワット・チェットリンである。この寺院は知らず未だ参拝していない。他人様のメンシーフーハーター像の写真を掲載する訳にはいかないので、それをスケッチしたものを掲げておく。

このワット・チェットリンの寺伝も知らないが、年代記によると古くはワット・ノーン・チンと呼ばれていたとのこと。仏歴2094年(西暦1551年)から2101年(1558年)にチェンマイを治め、最終的にペグー朝によって退位させられたメーク王の即位式はこの寺院で行われた。したがって16世紀には寺院は存在していたことになるが、メンシーフーハーター像がいつ建立されたのか情報が無い。

それにしてもパンダでもあるまいに、白黒のツートンカラーとは?但し最近では黒と茶のツートンカラーにペインティングされているらしい。像には多くの人々が参拝しているとのこと。宝くじの金運祈願である。メンシーフーハーターは王様の欲から洞窟に逃げ込んだが、ここワット・チェットリンでは金運祈願の対象である。仏教説話は何処へ行ったことやら・・・。そう云えば、故プミポン国王は“足るを知れ”とおっしゃっていたが・・・。

先に記したように、この伝承がいつ頃からのものかハッキリしなかったが、このような動物や神話・伝承は東西にあり、日本では三つ目小僧があり、インドではシバ神の三つ目である。西からの伝承の影響を受けたのであろうか・・・?

 

<了>

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿