世界の街角

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アカ族の門

2015-09-05 07:38:55 | 東南アジア少数民族
 過日紹介したアカ(中国でハニ)族の門について再掲したい。下の写真はBaan Tong Luangのアカ族集落に建つ門(これを鳥越憲三郎氏はロコーンと記し、北タイ情報誌CHAOはロッコンと記す)である。


 門の外側は悪鬼や霊の住む世界で、その内側は人の住む世界であり、門は結界であることを示している。  
 この門は左右の柱の上に笠木を横たわす。その上に木の鳥形肖形物を載せている。それらは赤や黒で彩色されている。この赤や黒には何か意味がありそうだが、それは分からない。
 笠木には鋸歯文、柱には襷文様を見ることができる。これらの文様は古代からの幾何学文で、土器の装飾等にも用いられている。鳥越憲三郎氏によると、この木製肖形物の鳥は、神が村人の守護のために天から降臨するときの乗り物で、この信仰は倭族に広く見られる・・・としている。
 笠木からは、竹のへぎの輪を数珠つなぎにしたものが垂れ下がっているが、これを氏は注連縄と呼んでいる。また笠木や柱には竹のへぎを、円周上に井桁に編んだものを鬼の目と呼んでいる。注連縄は縛るもの、鬼の目は侵入者に対する脅しの呪具である。
 氏は更に柱の根元に、祖父(ヤダ)・祖母(ミダ)の祖先像とし、性器を露わにして向き合っている・・・とし、それは農作物の豊穣を願うものであるという。
 この門は1年ごとに建て替えられるといわれているが、ここBaan Tong Luangのアカ族集落では一つの門しかなかった。下の写真はグーグルアースから借用したものであるが、そこには幾つもの門が並んでいる。
 これらを多くの学者は鳥居の原形だという。そう云えば、鳥形木製品は多くの弥生遺跡で出土している。20数年前だが、滋賀県野洲市の銅鐸博物館の屋外展示場で、このような門を見た記憶がある。過日吉野ケ里歴史公園のHPをみると、同様な門の写真が掲載されていた。下の写真もグーグルアースから借用したものである。
 朝鮮半島の鳥竿のような形で、笠木にとりつけられている。そのHPによると・・・弥生時代の土器等に描かれた高床建物や重層建物の屋根の棟飾りや軒飾りには、鳥の姿が描かれていることがあります。また弥生時代の遺跡からは木製の鳥形が出土しており、当時の習俗的シンボルであったと考えられます。
 鳥への信仰は現在でも穀霊観念が明確な東南アジアの稲作民族に広くみられることから、弥生時代に穀霊信仰が存在したと推察されます・・・と記載されている。
 鳥越憲三郎氏は、この鳥形肖形物を神が村人を守護するため、天から降臨する時の乗り物と表現した。いずれが正鵠を得ているのか? いずれにしても、北タイの少数民族に興味は尽きない。

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