まさおっちの眼

生きている「今」をどう見るか。まさおっちの発言集です。

生老病死の人生の悲哀

2009-10-20 | 随筆
一昨日、相模原市で起こった夫婦・家族の事件がやりきれない。ALS(筋萎縮性側策硬化症)という原因不明の難病の長男(当時40歳)を五年前にお母さんが人工呼吸器の電源を切って死なせた。長男がこれ以上苦しくて生きられないといい、嘱託殺人だった。執行猶予がついたが、母は泣き崩れる日が続いた。そして、その母(65歳)つまり妻を「一緒に死のう」と夫(66歳)が刺殺し、自分は死に切れず警察に出頭した。妻は娘に「やっと楽になれます。長男のところに行って一緒に幸せに暮らします」と遺書を残している。たぶんこれも嘱託殺人という判決で執行猶予がつくだろうが、それぞれのどうしようもない苦しみが伝わってくる。ぼくの知っている人にALSの患者がいる。可良時寿子というペンネームでブログにALSの闘病日記を後世のために学術的に記述しておられる。それによると、この難病は全身の筋肉が硬直してくるので、まず食道の筋肉硬化によって食事が取れなくなって、可良時さんは胃に穴を開け、流動物の栄養剤を直接入れておられる。そして今度は呼吸もしにくくなって苦労に耐えておられる。最近では苦しくなれば「モルヒネがありますから」と医者に言われているそうだ。日々更新されるそのブログを読んでいると胸がつまってくる。ぼくでさえそうなのだから、傍におられる奥さんの気苦労も大変なものだろうと思う。どんな元気な人も、ひとは必ず死ぬ。ぼくだって、ボチボチかも知れない。その死に方というものは誰も選べない、神様だけが知っている。人生は楽しくいい思い出もあるが、晩年は辛く哀しいものだ。