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車窓から八十年前の蒸気機関車事故を想う

2013-05-07 11:15:41 | Weblog


1930年4月6日、大分と湯平を結ぶ大湯線と呼ばれていた現在の大久本線を、蒸気機関車に引かれて走る列車がありました。ちょうど、冒頭の写真の小野屋駅付近でした。この蒸気機関車は後ろ向きで客車を引っ張っていましたが、興味を持って列車に視線を向ける人はいなかったでしょう。

当時は、終着駅に転車台がない場合が多く、帰りは後ろ向きで客車を引く後進牽引が普通だったのです。次の湯平駅の写真で説明しましょう。




機関車は到着するとホームに客車を残し前進、ポイントで後進して隣の線路をバックし、次のポイントでホーム側に前進し客車と繋ぎます。この時、蒸気機関車の向きは逆になります。蒸気機関車は前進でも後進でもスピードは変わりません。ただ、後進では炭水車を先頭にして走りますので、機関士と機関助士の視界を確保するため、炭水車を台形にするなど工夫がしてありました。

事故は小野屋駅と鬼瀬駅の間を走っているときに起きました。後進牽引中の機関車のボイラーが破裂したのです。客車側にボイラーを向けて走っていましたから、高熱の蒸気やガスは後ろに流れて客車の中に吹き込んだのです。この事故で23名の乗客が亡くなりました。機関士と機関助士は無事でしたが、事故の責任を問われました。

蒸気機関車爆発事故の写真をご覧ください。大湯線の事故もこれに近いものだったでしょう

 「アメリカでの事故映像です」をご覧ください。
 
地元では後進牽引の危険性を知り転車台の設置を強く要望、4年後に久大線全線開通とともに、豊後森駅に扇形機関庫と転車台が完成しました。
現在残る旧豊後森機関区の扇形機関庫と転車台の写真です。



蒸気機関車の運行がブームとなっていますが、機関車の方向転換はどうしているのでしょうか。JRで定期運行されている常磐西線「SLばんえつ物語号」は郡山駅の、山口線「SLやまぐち号」は津和野駅の、肥薩線「SL人吉」は人吉駅の転車台で機関車の向きを変えています。記念運行のSLは後進牽引の場合もあるでしょうが、ボイラー点検は徹底していますので安心してお乗りください。

 You Tubeには蒸気機関車の映像がいろいろと投稿されています。
 後進牽引の映像は飯田線「後進でけん引する機関車」を・・・
 
 転車台の映像は「SLやまぐち号/津和野駅転車台」を・・・
 (後進牽引に配慮されているC56の炭水車の形に注目)
 往時の豊後森駅の姿をほうふつさせる「梅小路蒸気機関車館・転車台で回転するスチーム号」を・・・
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