シニアー個人旅行のかわら版

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湯治旅館の面影を残す鎌先温泉に泊まる

2008-01-20 08:40:03 | Weblog
東北地方には、長年に亘り自炊湯治客を受け入れてきた温泉旅館が数多くありましたが、時代の流れで数が大変少なくなっています。そんな中で、自炊湯治客を大切にする旅館が鎌先温泉にあります。宮城県の南部、福島県にも近い蔵王連峰の一つ不忘山1,705mの裾野にあり、奥羽の薬湯として古くから知られ、切り傷や火傷、神経痛や関節痛などに効果あり、「杖を突いても鎌先の湯で湯治すれば、帰りは杖を置いていく」と言われ、事実、温泉街にある温泉神社には多くの杖が奉納されています。
 鎌先温泉は、4軒ほどの旅館がある、こじんまりとした温泉で、木造旅館が今でも一部残り、明治・大正時代の面影を色濃く残しています。
私がよく泊まる最上屋旅館を紹介しましょう。

レトロな旅館:
 一般宿泊客も自炊湯治客も受け入れています。最上屋旅館のホームページを覗いてください。最低でも一週間、十日間以上も湯治で滞在する湯治客のために、湯治部の料金は驚くほど低額に設定されています。訪れるたびに、湯治客と出会いますが、農閑期を利用されて福島から来られた農家の方や、三陸海岸地方の漁村から来られた方などと話を交わすのも楽しいことです。

湯治部の部屋は旅館部の部屋と渡り廊下で結ばれており、炊事場を中心に和室が並んでいます。
旅館部の部屋は本館2階と3階にあり、長年磨かれてきた黒光りする木の重厚さを見せる玄関、階段、廊下は、大切に使われてきた歴史の重さを感じさせてくれます。

加熱掛け流しの温泉:
湯殿は湯治部の建物の一階にあり、大風呂と中風呂を、時間で交互に男女が利用するようになっています。本館5階には新しく作られた家族風呂もあります。
源泉温度38度の温泉は、加熱掛け流しの湯として湯殿に注がれ、ぬるめの湯で、ゆったり・ゆっくりと浸かることができます。身体の芯まで温まり、湯冷めをしない湯で、スキー帰りの身体には大変優しい湯と言えるでしょう。

良心的な料金設定:
一般宿泊料金は一泊二食で10,500円、12,500円、13,500円の3コース、料理の内容が変わるだけです。私はいつも10,500円で泊まりますが、十分な量の食事で、女将自らの手料理は懐かしい故郷の味です。若い方は、料理の数がもう少し多いコースを選ばれるとよいでしょう。
 休日前・休日でも、宿泊料金に差が無いという料金設定は、宿泊客にはありがたいことです。また、一人だけの宿泊でも、割増・占有料金なしというのは、一人宿泊お断りという昨今、貴重なことです。なお、日本秘湯を守る会会員の宿でもあります。

こけし村があります:
 スキー場方向へ10分ほど歩くと、弥治郎こけし村があります。江戸時代からの木地師の集落で、轆轤を使い、食器類を作っていました。自分の子供におもちゃとして片手間に作ったのがこけし人形の始まりです。

 大正時代から昭和の初めにかけて温泉湯治がブームになり、鎌先温泉が賑わいを見せるようになると、このこけしが手軽な土産として注目され、弥治郎集落の女房たちが風呂敷にこけしを包み、湯治客が泊まる部屋を訪ねてはこけしを売りました。旅館でこけしを販売させてもらう代わりに、女房たちは季節の変わり目になると旅館の漬物作りや大掃除などに精を出したそうです。
弥治郎集落こけし作りの技法は近くの遠刈田温泉、蔵王温泉、更に秋田県と山形県との国境の及位(のぞき)へと広がっていきました。

最上屋旅館は、共同のトイレ・洗面所、暖房は石油ストーブなど、近代的な温泉旅館というわけにはいきませんが、それでもなお心惹かれるのは、明治・大正・昭和と多くの湯治客が訪れ、その先人たちと同じ空間で時を過ごすという贅沢さ・・・第29回日本アカデミー賞受賞映画「ALWAYS三丁目の夕日」に出てきそうなレトロな雰囲気に安らぎを感じるからです。

 若い人たちにもきっと気に入っていただけるでしょう。

関連リンク:
 最上屋旅館 こけし
*鎌先温泉・不忘山で起きた半世紀前の出来事を記した私のブログ時代の目撃者・・・鎌先温泉と不忘山を、鎌先温泉へのアクセスは太平洋に向かって滑る・・・宮城蔵王白石スキー場をお読みください


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