新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月1日 その3 「予約の確認を願います」と区役所からメールが

2021-06-01 17:10:08 | コラム
明日は家内の1回目のワクチン接種の予約の日だった:

本1日は午前中は国立国際医療研究センター(NCGM)の循環器内科の定期診断の日だった。帰宅してやおらPCを起動すると、新宿区役所からメールが来ていて「予約の確認」を求められていた。生憎と滅多にないことで予定が立て込んでいたので、一時作業を中止してから区役所のワクチン専用のナビダイヤルに電話してみた。

案ずるよりは何とやらで、電話は直ぐに繋がり、アッという間に確認して貰えた。色々と焦っていたので「何故、こういうメールが来たのか」などと考える余裕もなく、昼食を済ましてから一休みして、調剤薬局に薬を引き取りに行った後で、15時15分の予約がある歯科医院に向かった。治療ではなく抜糸した跡の型取りが終わってから、先生に予約確認の件を語ってみた。

先生は「それは自治体での予約がありながら、大規模接種会場にも予約をする数が増えすぎたので、区役所が無断キャンセル等の防止対策を講じているからだろう」と言われた。そう伺ってみれば、東京では二重に予約した者が数百名に達していたとの報道があった。単純に考えれば、キチンとキャンセルする者がいないとなれば、区役所ではかなりの数のワクチンが無駄になる危険性があろうということだ。これはあってはならないことではないか。

そのような二重予約をする気持ちは解らないでもない。だが、菅首相が言われるほどワクチンが潤沢にあるのかと疑う不心得者が、大規模会場にも予約を入れたとしても不思議はない気もする。このところ変異株の種類の増えたし、方々で新株による集団感染が発生しているなどとマスコミが報道するから、受益者側に危機感というか焦りが生じても当たり前かも知れない。でも、私は二重予約は怪しからんと断じるし、どちらかをキチンとキャンセルしないのは、甚だ宜しくないと思うのだ。

話は本筋から離れるが、本日NCGMで主治医である循環器内科の医長先生に伺ったところでは、「副反応は1回目の後の方がきつい」のだそうだった。先生は既に2回の接種を終えておられた。


6月1日 その2 昔は良かったね

2021-06-01 14:16:07 | コラム
Things ain’t what they used to be.:

昨日、YouTubeでBGM代わりに流してハンク・ジョーンズのピアノトリオの1曲目が、この見出しのDuke Ellingtonの息子のMercer Ellington作曲の懐かしき大ヒット曲だった。見出しの「昔は良かったね」は我が国で発売されたアルバムに使われていた邦訳である。私ならば「世の中すっかり変わっちゃったね」とでもしたかも知れない。この“ain’t”にはワードの仕業で早速赤線が引かれてしまったが、この文法無視の表現は後ほど解説することでご理解を。

思い起こせば1994年1月末でW社からリタイアし、2013年8月に80歳で仕事を辞めてから2021年で88歳に達して、現実の世界から遠ざかってしまったところに、昨年からのCOVID-19の襲来で、実社会から日を追って遠ざけられてしまったのは仕方がないし、残念なことだが諦める他ないと受け止めている。

先頃も述べたことだが、家内にその悪ふざけで毛嫌いされている高田純次の「じゅん散歩」で、都内や近県を回って歩く番組は実は「すっかり変わってしまった」としか言いようがない東京都内の都心の風景や、高層マンションが林立する郊外の様子を見せてくれるので、この世の移り変わりを知ることが出来る誠に貴重な有り難い番組だと思って愛視している。

つい先日だったか日本橋界隈の変貌の様子を見せて貰えたが、今あの中央通り沿いの町並みに中に放り出されたら、陳腐な言い方をお許し願えば「ここは何処?私は誰」状態になってしまうことは疑いの余地はないだろう。実際に昨年だったか地下鉄銀座線の京橋の駅から地上に出て、通りすがりの人に「明治屋はどの方角で?」と訊いてしまったほど京橋界隈は変化していた。東京駅の丸の内北口から大手町にかけても、知らない都市に来た感覚だった。

こんな事は未だ生易しい方だと思う。テレビや新聞や経済雑誌などに飛び交っているSDGだのDXだの何のというアルファベットの略号や、オンラインだのテレワークだのワーケーションだのというカタカナ語などは、多少は意味が解るとは申せ「こんな時代になってしまったのでは、この俺が今頃新社会人にならなくて良かった」と痛感している。尤も、そう言ったら「君が老化したからそう感じただけで、現代に生を受けていれば何ということなく付いていけるさ」と慰められた。

ここで国外に目を向けてみよう。長い年月お世話になったアメリカ合衆国は、5年前だったかにドナルド・トランプ氏が大統領に就任されてからの4年間に、私が慣れ親しんだと思っていたアメリカは何処かに消し飛んで行ってしまったのではないかと思ったほど変貌したように感じている。しかも、怖い物見たさで3度もパック旅行で見物してきた中国は、経済的に大発展を遂げつつあるとは認識できたが、その度合いも未だ跛行的だと見ていたにも拘わらず、習近平の登場以降は我が国も含めて自由主義世界にとっては経済的にも軍事的にも最悪の脅威に成り遂げて見せてくれた。

1997年1月に華僑資本のシンガポールに本拠を置くシナルマス財閥が運営する、インドネシアの言わば世界最新鋭の製紙工場の超近代的な設備を見た時には、驚きよりも恐怖を感じたのだった。これなどは現代では寧ろ新興勢力の方が世界最新鋭で最高の能力を発揮する設備を導入できるのだという事を、思いきり学ばせられたのだった。しかも、最大の皮肉だと痛感したことは、そのインドネシアの世界最新鋭の設備は、三菱重工の製品だったという事。我が国やアメリカの旧式の設備と比較すれば、その能力は陳腐な表現だが「天と地」の差があった。

要するに「昔は永年鍛え上げた経験や勘と努力」で物造りをしてきたアナログの時代しか知らない我々には出来なかっただろう「デイジタル化」を一気に果たした最新鋭のマシンで、低コストで最高品質の製品を容易く作り出す時代に入ったという事。換言すれば、高品質少量生産の時代が終焉を迎えてしまったと痛感させられた。今や「昔は良かった」と懐かしんではいられないのだ。「世の中はすっかり変わってしまった」と諦めて、素直に時代の変化を認めねばならないということらしいのだ。

お仕舞いに英語の講釈を。“ain’t”は決して上品な言葉遣いではなく、ある階層以下では頻繁に使われるものだ。それは“is not”、“am not”、“are not”、“have not”、“has not”等の何れの代わりに使われている。であるから、見出しの“Things ain’t”は“Things are not”が文法的に正しいのだ。余談になるがエリントンのバンドのヒット曲には“It don’t mean a thing if it ain’t got that swing.”というのもある。これの邦題は「スイングしなけりゃ意味ないね」だったと記憶する。

申し上げておくべき事は「アメリカに行かれて間違ってもエリントンは使っていたじゃないかと思って“I ain’t know nothing.”などと口を滑らせないように」注意されること。


我が国のCOVID-19に対する水際作戦に思う

2021-06-01 07:50:25 | コラム
申し訳ないが笑ってしまった:

昨5月31日にTBSだったかで「我が国に昨年4月から今年4月までの間に、海外から入国した再入国の外国人と帰国した邦人の数が約55,000人/月だったと報じられているのを見て、唯々呆れるしかなかった。しかも、インドやパキスタン等の6ヶ国からの入国を禁止したのは、確か去る4月からだったというのだ。これで、インドの変異株が入ってきたのなんのとマスコミが騒ぎ立てているのもふざけた話だと言いたい。彼らは我が国の水際作戦が如何なるものかを承知していたはずだ。それでも「大変だ、大変だ」と罪なき一般人の恐怖感を煽っているのだから怪しからんのだ。

その55,000人報道を聞いた後で、Prime Newsで自民党の参議院議員で佐藤正久外交部会長と立憲民主党の長妻昭副代表だったかが、その水際作戦を論じているのを聞いた。「政府は何をやっているのだ」とその至らざる所を指摘して嘆いていたという点では、見事に与野党間で意見が一致していた。政府側にも中途半端であることについての弁明も理屈もあるようだが、何れにせよ政府が取ってきた措置では、方々で発生した変異株の上陸は防ぎようがなかったのは明らかだった。そこには出入国管理法の問題もあるかも知れないが、作戦が甘いことは紛れもない事実だ。

私がここに今更言う必要もないだろうが、入国を許した後では誓約書まで取って、入国者の位置情報と健康状態を報告させる措置も、実行していない者たちが入国者全体の3割近くを占めていると佐藤正久が認めていたのも「何をやっていることか」と言葉も出なかった。その後で彼が語ったことを聞いては、失礼を顧みずに大笑いしてしまった。いや、もう笑うしかなかったのだ。

それは、位置情報と健康状態を入国者を追跡して調査する仕事は法務省でも入管でもなく、厚生労働省の職務だった事。しかも、現在は多事多難で忙殺されている厚生労働省ではその追跡調査に手が回らず外郭だったか外部団体に下請けさせていたというのだ。そこまではまだしも、その追跡調査の手法は入国者にメールを送って回答を求めていたというのだ。それが、入国者のサーバー次第では「迷惑メール」と看做して削除されていたというのだ。何故かと言えば「厚労省ではなく、余り知られていない団体からのメールだからスパム扱いされて弾かれた」という、笑う以外ない話。

藤正久が漏らした感想は「武漢からチャーター機で帰国させた場合には、ホテル三日月などでキチンと2週間隔離するようにしていたが、月日が経つにつれて緊張感も薄れて、隔離期間をチャンと守っていない場合が多くなったし、入国者の追跡調査までには手が回り切れていないのが実態だろう」というものだった。「なるほど、そうだったか」とは思うが、与党の議員に言って貰いたくない感想だった。これには笑うどころか腹立ちを禁じ得なかった。

と、ここまで言えば、例によって例の如き批判ばかりだなと思われるだろうと思う。だが、遺憾ながらそういう意図はない。私は「何かにつけて未だ嘗て経験していなかった事態に対応してきたのだから、対策も不十分だったし、後手後手というかモグラ叩きのようにならざるを得なかったのではないか。嫌味でも何でもなく言えば『次回にはきっと上手く対応するだろう』と思って見ている。現状は未だ先手を取る余裕がなかったと言うだけだ」と、菅首相と何をなさっているのかサッパリ解らない分科会の先生方に、同情申し上げているのだ。