新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月11日 その2 「内側から見たアメリカ」を知る者としてトランプ大統領を語れば」の訂正版

2020-11-11 14:58:06 | コラム
トランプ大統領の敗戦を認めない姿勢に思う:

今回は長い年月彼らアメリカの一員として勤務し「内側から見たアメリカ」を知る者として見たトランプ大統領(の敗戦)を語って見ようと思う。

100人に1人:
これは何度か採り上げたことで、シアトルからの帰りの機内で某財閥系の大手企業のアメリカ支店長氏と交わした議論の結論である。即ち、白熱した議論の後で「アメリカ人が100人いれば、その中でまともな能力を見せる者は1人しかいない」ということで決着したのだった。これだけでは誤解を招く危険があると思うので、より噛み砕いて言えば「選ばれざりし者たちを集めれば、これはと思う者は1%くらいる程度だ」とでもなるだろうか。更に言い換えれば「アメリカという国は極々限られた図抜けて優れた少数が引っ張っている国だ」ともなるだろう。

もう一つ例を挙げておくと、私が頻繁に照会している元の上司のMBAである奥方は「人事・社員教育」等のコンサルタント事務所を運営しておられた。ある時にその社員教育用のテキストを見せて貰ったことがあった。その一項目(カタカナ語の「アイテム」は本来はこの意味だ)に「Quick responseをせよ」とあった。そこで「何でこんな当然の事まで教えるのか」問うと「アメリカの事務員たちは日本の者たちとは違う。言われないことはしないのだから、こういう基本的で常識的なことまで教えておく必要があるのだ」と答えられた。経験上その必要性は十分に理解できた。

これを言い出した理由は、昨日も指摘した「アメリカの選挙開票に携わっていた人たちを見れば、その仕事ぶりを懸念する材料は幾らでもあるのではないか」と思わせられた。現に、各テレビ局で引用されている例に「2000年のフロリダ州での数え直しをしたら得票差が狭まった」というのがある。我が国の何処でも良いが選挙管理委員会にかかる例があったかということだ。私が敢えて指摘したいことは「あの仕事場に集まっていたのは、上記の議論に言う99%の人たちではなかったか。QRの基礎から教えておく必要があるような者たちではなかったのか」なのだ。

アメリカという国を内側で経験されたことがない方には、我が国の実情から考えて「そんなことがあり得るか」と、私の言い分などを信じて頂けないだろう。だが、およそあらゆる種類の人たちが集まって形成されているのがアメリカなのだ。私はこれまでに再三再四引用してきた例に、1994年7月にUSTRのヒルズ大使が「アメリカが対日輸出を拡大しようと思えば、労働者階層の識字率の向上と、初等教育の充実の必要がある」と認められた。あの開票作業に、もしもそういう人たちが入っていたとしたどうなるか。トランプ大統領のクレームを故無しとは出来ないではないか。

7,100万票:
民主主義の難しいところであろうかと思う。確かにトランプ大統領の得票数は従来の実績よりも増えた。多くの専門家の先生方はこの数字は重いと言われる。だが、私には不思議に思えたならないことは今回の選挙では投票率が上がっていたのではなかったのか。それだけではなく、アメリかでは人口が2016年よりも増えていたのではなかったのか。1%が勝敗を左右したことを認めないと民主主義は成り立たないのだ。何千万票採ったかではなく49%だったことが勝敗を決めるのだ。

これまでに何度も指摘したことで、私が在職中に統計を採る場合に用いたアメリカの人口は2億6,000万人だった。それが今や3億2,000万を超えている。この増加は考慮されないのだろうか。オバマ大統領は不法移民でも英語の試験に合格すれば市民権を与えたのではなかったか。白人は増えていなくとも、minoritiesが増えていたのではないのか。トランプ氏はその増加分からの票を取り切れていなかったのかも知れない。

この数を以てアメリカの分断が一層深まるとの懸念を示す専門家がおられるが、アメリカの大統領選挙では何時でも共和と民主の両党の争いで2派に別れて争っていたのではなかったか。破れた方が4年乃至は8年間雌伏して政権を取り返してきた歴史があったのではないのか。今回はトランプ大統領があらゆる手段を用いてバイデン陣営に不正があったと訴え続ける姿勢を崩さないだけで、分断と見える傾向が一層著しくなってはいないのではないか。我が国にとって重大な影響がある選挙だが、太平洋のこちら側であれやこれやと騒ぎ立てても、状況は変わらないと思うべきではないか。

トランプ大統領の実績:
私はトランプ大統領は「アメリカを再び偉大にした」こと「減税策で景気か回復させた」こと「Job(「雇用」と訳しているマスコミは間違っている)を著しく増加させた」事等を絶対の自信を以て自分の実績だと思って選挙に臨まれたのだと見ている。大方の公約を実行されたのは、我が国の国会議員たちには到底為し得ないだろう立派な実績を残されたのだと思う。

私は前回の選挙運動中に掲げられた無理筋とも思える数多くの公約を、彼独得の時には合理的に時には強引に達成された実績は正当に評価されるべきだと思っている。特に、オバマ政権下では野放しに近かった対中国政策を、あそこまで強硬な物に変えられた政策は十分に認めるべきだと評価している。その公約中でも「メキシコとの国境の壁の建設」と「対日貿易赤字の削減」は積み残しになった。これは率直に言って「アメリカの国際的な貿易交渉の歴史を知らず、貿易の実務も経験もなかった」事の結果であって、止むを得ない事だとみている。

今回の選挙戦の問題点は「トランプ氏が余りにもアメリカの知識階級と教育程度が高い一握りの層を無視したことが禍根を残したのであり、社会的に下層であるプーアホワイトや労働者階級を岩盤に支持層にしただけでは、49%獲れたのが限界だった点」にあったこと見ている。私には「彼はその支持層に働きかけることを過剰に意識したせいか、アメリカ大統領ともあろうお方が下品な言葉遣いだけに終わらず、ビジネスの世界では絶対に使ってはならないとされているswearwordまで使っておられた語り口は、中間層にも忌避されたのではないか」とすら考えている。

意識したのか否かは不詳だが、ラストベルトを含めて下層の階層だけからの支持を確保するように出られたかのように私には見えた作戦には、誤りがあったのだと思う。即ち、中間層を惹き付けられていなかったことが、40+9%に終わったのだと思う。それにしても、知識階層にはあの相手方を罵りまくる戦術は受けなかっただろうと見ている。如何に何でも相手にする自国の大統領候補を“Sleepy Joe”と呼んだ辺りは如何にもトランプ流だが、度が過ぎたと見た。何れにせよ、機会があれば私の知人や友人たちに「トランプ大統領が残された実績の評価」を尋ねてみたいと思っている。

「内側から見たアメリカ」を知る者としてトランプ大統領を語れば

2020-11-11 14:32:31 | コラム
トランプ大統領の敗戦を認めない姿勢に思う:

100人に1人:

これは何度か採り上げたことで、シアトルからの帰りの機内で某財閥系の大手企業のアメリカ支店長氏と交わした議論の結論である。即ち、白熱した議論の後で「アメリカ人が100人いれば、その中でまともな能力を見せる者は1人しかいない」ということで決着したのだった。これだけでは誤解を招く危険があると思うので、より噛み砕いて言えば「選ばれざりし者たちを集めれば、これはと思う者は1%くらいる程度だ」とでもなるだろうか。更に言い換えれば「アメリカという国は極々限られた図抜けて優れた少数が引っ張っている国だ」ともなるだろう。

もう一つ例を挙げておくと、私が頻繁に照会している元の上司のMBAである奥方は「人事・社員教育」等のコンサルタント事務所を運営しておられた。ある時にその社員教育用のテキストを見せて貰ったことがあった。その一項目(カタカナ語の「アイテム」は本来はこの意味だ)に「Quick responseをせよ」とあった。そこで「何でこんな当然の事まで教えるのか」問うと「アメリカの事務員たちは日本の者たちとは違う。言われないことはしないのだから、こういう基本的で常識的なことまで教えておく必要があるのだ」と答えられた。経験上その必要性は十分に理解できた。

これを言い出した理由は、昨日も指摘した「アメリカの選挙開票に携わっていた人たちを見れば、その仕事ぶりを懸念する材料は幾らでもあるのではないか」と思わせられた。現に、各テレビ局で引用されている例に「2000年のフロリダ州での数え直しをしたら得票差が狭まった」というのがある。我が国の何処でも良いが選挙管理委員会にかかる例があったかということだ。私が敢えて指摘したいことは「あの仕事場に集まっていたのは、上記の議論に言う99%の人たちではなかったか。QRの基礎から教えておく必要があるような者たちではなかったのか」なのだ。

アメリカという国を内側で経験されたことがない方には、我が国の実情から考えて「そんなことがあり得るか」と、私の言い分などを信じて頂けないだろう。だが、およそあらゆる種類の人たちが集まって形成されているのがアメリカなのだ。私はこれまでに再三再四引用してきた例に、1994年7月にUSTRのヒルズ大使が「アメリカが対日輸出を拡大しようと思えば、労働者階層の識字率の向上と、初等教育の充実の必要がある」と認められた。あの開票作業に、もしもそういう人たちが入っていたとしたどうなるか。トランプ大統領のクレームを故無しとは出来ないではないか。

7,100万票:
民主主義の難しいところであろうかと思う。確かにトランプ大統領の得票数は従来の実績よりも増えた。多くの専門家の先生方はこの数字は重いと言われる。だが、私には不思議に思えたならないことは今回の選挙では投票率が上がっていたのではなかったのか。それだけではなく、アメリかでは人口が2016年よりも増えていたのではなかったのか。1%が勝敗を左右したことを認めないと民主主義は成り立たないのだ。何千万票採ったかではなく49%だったことが勝敗を決めるのだ。

これまでに何度も指摘したことで、私が在職中に統計を採る場合に用いたアメリカの人口は2億6,000万人だった。それが今や3億2,000万を超えている。この増加は考慮されないのだろうか。オバマ大統領は不法移民でも英語の試験に合格すれば市民権を与えたのではなかったか。白人は増えていなくとも、minoritiesが増えていたのではないのか。トランプ氏はその増加分からの票を取り切れていなかったのかも知れない。

この数を以てアメリカの分断が一層深まるとの懸念を示す専門家がおられるが、アメリカの大統領選挙では何時でも共和と民主の両党の争いで2派に別れて争っていたのではなかったか。破れた方が4年乃至は8年間雌伏して政権を取り返してきた歴史があったのではないのか。今回はトランプ大統領があらゆる手段を用いてバイデン陣営に不正があったと訴え続ける姿勢を崩さないだけで、分断と見える傾向が一層著しくなってはいないのではないか。我が国にとって重大な影響がある選挙だが、太平洋のこちら側であれやこれやと騒ぎ立てても、状況は変わらないと思うべきではないか。

トランプ大統領の実績:
私はトランプ大統領は「アメリカを再び偉大にした」こと「減税策で景気か回復させた」こと「Job(「雇用」と訳しているマスコミは間違っている)を著しく増加させた」事等を絶対の自信を以て自分の実績だと思って選挙に臨まれたのだと見ている。大方の公約を実行されたのは、我が国の国会議員たちには到底為し得ないだろう立派な実績を残されたのだと思う。

私は前回の選挙運動中に掲げられた無理筋とも思える数多くの公約を、彼独得の時には合理的に時には強引に達成された実績は正当に評価されるべきだと思っている。特に、オバマ政権下では野放しに近かった対中国政策を、あそこまで強硬な物に変えられた政策は十分に認めるべきだと評価している。その公約中でも「メキシコとの国境の壁の建設」と「対日貿易赤字の削減」は積み残しになった。これは率直に言って「アメリカの国際的な貿易交渉の歴史を知らず、貿易の実務も経験もなかった」事の結果であって、止むを得ない事だとみている。

今回の選挙戦の問題点は「トランプ氏が余りにもアメリカの知識階級と教育程度が高い一握りの層を無視したことが禍根を残したのであり、社会的に下層であるプーアホワイトや労働者階級を岩盤に支持層にしただけでは、49%獲れたのが限界だった点」にあったこと見ている。私には「彼はその支持層に働きかけることを過剰に意識したせいか、アメリカ大統領ともあろうお方が下品な言葉遣いだけに終わらず、ビジネスの世界では絶対に使ってはならないとされているswearwordまで使っておられた語り口は、中間層にも忌避されたのではないか」とすら考えている。

意識したのか否かは不詳だが、ラストベルトを含めて下層の階層だけからの支持を確保するように出られたかのように私には見えた作戦には、誤りがあったのだと思う。即ち、中間層を惹き付けられていなかったことが、40+9%に終わったのだと思う。それにしても、知識階層にはあの相手方を罵りまくる戦術は受けなかっただろうと見ている。如何に何でも相手にする自国の大統領候補を“Sleepy Joe”と呼んだ辺りは如何にもトランプ流だが、度が過ぎたと見た。何れにせよ、機会があれば私の知人や友人たちに「トランプ大統領が残された実績の評価」を尋ねてみたいと思っている。