スペインで残念だったのは、素晴らしい観光地のうち多くのところが、「内部撮影禁止!」ということ。
厳し過ぎる・・・
写真撮るぐらい、何がいかんのだ。
「フラッシュを使うな!」とかならまだ分かるが・・・。
「ガイドブックが売れなくなる!」というのが理由なら、ガイドブック位いくらでも買うのに。
今回、もし内部の写真が撮れていたとしてもやっぱりこれらのガイドは全部買って帰って来てただろうと思うし・・・。
一個一個の見どころをこんなに立派なガイドにしてくれたって、それにいくらたくさんの写真を使ってくれてるったって、自分が「ここが好きだ!」と思ったところは載っていないものなのよ。
「このディテールがいい!」とか、「あー、これすごい珍しい」って感動したところを、自分の視点で写真で残しておきたかったよう・・・。
「混雑の中撮っていると他の人の迷惑になる」というなら、せめて季節外れのガラーンとした他に誰もいないような場所なら、良いではないか、良いではないか、とつい悪代官様のような口調になってしまう。
エル・エスコリアルなんて、こーーーーんなだだっ広い修道院内で、他の見学者一人も見かけなかったぞ。
すっごーーーーーーーーい怖かったんだから・・・
静まり返った巨大なお城みたいな建物の奥の奥までたった一人で、たまーに立ってる警備の人にビビりながら、自分の足音の響くコツーン、コツーンという音にさえビクビクしながら延々地下への階段を降りて行った先にあったのは、歴代のスペイン国王の遺体が収められた棺がいくつも壁にビッチリ納められている霊廟だったり・・・。
シーンと静まり返った冷たーい空気のその石造りの寂しい独特の部屋に、ぽつりと一人、何人もの王の屍に囲まれて立っているあの感覚・・・。
ゾッとするというのは、ああいうことを言うのだ。
その霊廟を抜けても、次の部屋も、その次の部屋も、またその次の部屋も、棺桶のオンパレード。
王妃たちの棺の部屋、王子たちの棺の部屋、幼くして亡くなってしまった王室の子供たちの部屋・・・、と延々続いていた。
それぞれ作りが違って、部屋によっては等身大の騎士などの彫刻が飾られていたりして、それに気づかず急に振り向きざまに発見して「ドキーーーッ!」として心臓飛び出しそうになったり・・・。
お墓大好きで、海外では必ずその国の墓地やカタコンベを見に行くワタクシではあるが、さすがにここの雰囲気には一切慣れなかった。
ここには、素晴らしい絵画や古地図など、貴重な歴史的芸術品がたくさん展示されているんだけど、その中にすごーく面白い題材のタペストリーを見つけた
西暦1500年代に織られたタペストリーなんだけど、いろんな想像上の怪物が織り込まれていて、当時の人々がどんなものを恐れていたのか、どんな怪物を思い描いていたのか、そういったことが分かる貴重な歴史的資料だと思った。
なんかね、そこらの怪物図鑑やSFもののハリウッド映画みたいに奇妙でへんてこなものがたくさんいるのよ~。
足や胴体が鳥みたいで、クビがにょろ~っとキリンみたいに長いのに、その先に鬼みたいな人間の顔が3つ付いてるとかね、ほんと「誰が考えたんだ?」っつー面白い想像上の生き物がいっぱい。
興味深すぎて隅から隅まで延々眺めてた。
でも、ガイドブックも買ったけど、大きくて有名な展示物や、象徴的な広間の全体像とかは載ってるけど、こういう小さな展示物の、ましてやその一部分なんてこれっぽっちも載っちゃいないのよね・・・・。
また見たかったら、こんな地球の裏側の、スペインの、マドリッドの、さらに郊外の、見渡す限り遥か彼方まで何もない荒れた大地にぽつりと浮かぶ島のようなこの小さな小さな町の、この修道院まで行かないと見れないんだよね・・・
悲しい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
遠過ぎる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
せめてポストカードでも用意しておいてくれればいいのに・・・。
いくらでも買うわ。