令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(28)鵜を潜(かづ)けつつ

2011年05月17日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年7月29日】

・・・平瀬ひらせには 小網さでさし渡し 早き瀬に 鵜をかづけつつ
               月に日に しかし遊ばね しき我が背子せこ



この 夏 もしやの最後やも知れぬ
思う  家待胸に
去来きょらいする 赴任当初からの
大伴池主いけぬしとの友好
無性 の 逢いたさ募りに
一月ひとつき前の さき川での鵜飼を思い
そちら の川でもと
鵜を持たせ ふみを託して 池主の元へ

天離あまざかる ひなとしあれば 彼所此間そこここも おやじ心ぞ 家さかり 年のぬれば うつせみは 物思ものもひしげし 
《都から とおに離れた この田舎いなか ここもそっちも 同心おんなじや 家を離れて 月日ち うれふこうに 沈む日々》
そこ故に こころなぐさに 霍公鳥ほととぎす 鳴く初声はつこゑを たちばなの たまき かづらきて 遊ばむはし
《気のまぎらしに ならんかと 鳴くほととぎす 初声はつごえを 聞いてたちばな たまき かずらを付けて 遊んだな》
大夫ますらをを ともなへ立てて 叔羅くしら川 なづさひのぼり 平瀬ひらせには 小網さでさし渡し 早き瀬に 鵜をかづけつつ 月に日に しかし遊ばね しき我が背子せこ
《この次どやろ 友連れて 叔羅くしらの川を のぼり 浅瀬に小網こあみ 張り渡し 早瀬でどり もぐらせて 月日重ねて お遊びよ 気心知れた 我が友よ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一八九)

叔羅くしら川 瀬を尋ねつつ 我が背子せこは 鵜川うかは立たさね こころなぐさ
叔羅くしら川 早瀬辿たどって 鵜飼うかいして 楽しみなはれ 気晴きばらしがてら》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一九〇)

鵜川うかは立ち 取らさむ鮎の はたは 我れにかき向け おもひしおもはば
鵜飼うかいして 捕った鮎魚あゆうお そのひれを わしに送って 礼するなら》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一九一)
                                    【四月九日】





最新の画像もっと見る

コメントを投稿