【掲載日:平成23年10月7日】
初尾花 花に見むとし
天の川 隔りにけらし 年の緒長く
落ち着き心の 家持
久方振り 七夕空を 見上げていた
思えば 勝宝二年(751)以来
(あれは 憶良殿を 偲んでの 先取り歌
我が七夕歌は 勝宝元年(750)以来か)
彦星を思い 織姫を思い
ふたりの思い 歌にする家待
初秋風 涼しき夕 解かむとぞ 紐は結びし 妹に逢はむため
《初秋風の 涼しい夕べ 解こ決めて お前逢う為 結んだ紐や》
―大伴家持―(巻二十・四三〇六)
秋と言へば 心ぞ痛き うたて異に 花に擬へて 見まく欲りかも
《秋聞くと なんや知らんが 切無いわ 咲く花待って 焦がれるみたい》
―大伴家持―(巻二十・四三〇七)
初尾花 花に見むとし 天の川 隔りにけらし 年の緒長く
《昔から 天川隔てられ 逢えるんは 穂時短い 薄やまるで》
―大伴家持―(巻二十・四三〇八)
秋風に 靡く川辺の 和草の にこよかにしも 思ほゆるかも
《秋風に 靡く和草 にこやかや 逢える思うと 心躍るで》
―大伴家持―(巻二十・四三〇九)
秋されば 霧立ちわたる 天の川 石並置かば 継ぎて見むかも
《秋来たら 霧立ち込める 天の川 飛び石したら 常時逢える》
―大伴家持―(巻二十・四三一〇)
秋風に 今か今かと 紐解きて うら待ち居るに 月かたぶきぬ
《秋風に 今に来るかと 紐解いて 待ちに待つのに 月沈むがな》
―大伴家持―(巻二十・四三一一)
秋草に 置く白露の 飽かずのみ 相見るものを 月をし待たむ
《逢えたなら 飽きること無う 見られるに なんでうちらは 月出待たならん》
―大伴家持―(巻二十・四三一二)
青波に 袖さへ濡れて 漕ぐ舟の かし振る程に さ夜更けなむか
《青波に 袖を濡らして 漕ぐ船を 杭舫う間に 夜更けるがな》
―大伴家持―(巻二十・四三一三)
家持 七夕の夕べ
詠える 心平穏が 嬉しい
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