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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

蟲麻呂編(2)真間の手児奈が

2009年10月13日 | 蟲麻呂編
【掲載日:平成21年10月9日】

勝鹿の 真間の手児奈てこな
  麻衣あさぎぬに 青衿あをくび
    ひたを には

【市川市真間町 亀井院横「真間の井」】


これほどの つたえ話があろうか
宇合うまかい殿も さぞ満足されることであろう
下総しもうさ真間ままではあるが 常陸の隣国りんごく 
番外編に収録することで 世に伝えられる 

とりが鳴く あづまの国に いにしへに ありける事と
今までに 絶えず言ひ
  
あずまの国に 伝わる話 昔を今に 伝える話》
勝鹿の 真間の手児奈てこなが 
麻衣あさぎぬに 青衿あをくびけ ひたを にはて 
髪だにも きはけづらず くつをだに 穿かず行けども 
にしきあやの 中につつめる 斎児いはひごも いもかめや
 
《真間の手児奈てこなと 言う名のむすめ
 粗末な服着て 髪けずらんと くつ穿かんと 暮らしてるに
 にしきの服着て 育った児にも 負けん位に 器量きりょうえ児》
望月もちづきの れるおもわに 花のごと みて立てれば 
夏虫の 火にるが如 水門みなとりに 船漕ぐ如く 行きかぐれ 人のいふ時
 
綺麗きれえ面差おもざし 笑顔で立つと
 火に入る虫か 集まる船か 男が押しかけ  嫁にと騒ぐ》
いくばくも けらじものを 何すとか 身をたな知りて 
波のの さわみなとの 奥津城おくつきに 妹がこやせる
 
《気楽に生きても 人生なのに 私ごときに このよな騒ぎ
 そんな値打ちは うちには無いと 水底みなそこ深く 沈みてすよ》
とほき代に ありける事を 昨日きのふしも 見けむがごとも 思ほゆるかも
《昔のことと 伝えは言うが 昨日きのうのことに 思われる》
                      ―高橋虫麻呂歌集―〔巻九・一八〇七〕 

葛飾かつしかの 真間ままを見れば 立ちならし 水ましけむ 手児奈てこなし思ほゆ
真間ままの井を 見てると見える あの手児奈てこな ここで水汲む 可愛かいらし姿》
                      ―高橋虫麻呂歌集―〔巻九・一八〇八〕 

それにしても 可哀相かわいそうなことをしたものだ
昔のおみなは こうも純情じゅんじょう可憐かれんであったのか
今の女ときたら・・・ 
言うまい 言うまい 

虫麻呂の固い心に ひと時 みがこぼれる




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