【掲載日:平成21年6月19日】
大和には 群山あれど
とりよろふ 天の香具山
登り立ち 国見をすれば・・・
春立つその日
舒明天皇は 香具山に立っていた
生きとし 生けるものの 命の息吹き
冬が 籠って 春の野に 芽吹くとき
生り物の豊穣と 生き物の長寿を 祈って行われる 国誉めの行事
【香久山ならぬ甘橿岡から西方、畝傍・二上・葛城連山を望む】

多武の峰
なだらかな稜線を描いて
鳥見山
三輪山
北に 秀麗な姿を見せる
耳成の山
はるかに
信貴・生駒の峰々
西 瑞山と美称される
畝傍の姿
背後に
二上山の雄岳・雌岳
葛城連山
南に広がるは
都を抱く飛鳥の大地
雲の彼方に
吉野の山々
「大王 お歌を」
大王舒明は 改めて四方を拝し 厳かに詠う
大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば
《大和には ぎょうさん山ある その中で とりわけ綺麗な 香具山に 登ってあちこち 見てみたら》
国原は 煙立ち立つ 海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は
《陸では炊煙 昇ってる 水辺に水鳥 飛んどおる なんと好え国 大和の国は》
―舒明天皇―(巻一・二)
世の豊穣繁栄を 約束するように おだやかな春の日が 四方の群山に 降り注いでいる

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