令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

金村・千年編(12)手結(たゆひ)が浦に

2009年12月17日 | 金村・千年編
【掲載日:平成22年1月14日】

大夫ますらをの 手結たゆひが浦に 海未通女あまをとめ
           しほ焼くけぶり 草枕 旅にしあれば・・・

【「たゆひが浦」田結崎付近】



石上乙磨いそのかみのおとまろ一行の 後追い旅
笠金村かさのかなむらは 越前へ向かう 近江 伊香山いかごやま
草枕 旅行く人も 行きれば にほひぬべくも 咲ける萩かも
《萩の花  色の着くほど 咲いとおる 旅で行く人 ちょっと触れても》
伊香山いかごやま 野辺のへに咲きたる 萩見れば 君が家なる 尾花をばなし思ほゆ
《咲く萩を 伊香いかごの山で 見かけたら あんたの家の 尾花が浮かぶ》
                       〔乙麿さまの屋敷の尾花・・・〕 
               ―笠金村―〔巻八・一五三二、一五三三〕 

金村の足 越前との国境くにざかい 
塩津深坂越えの道を辿たどっていた
大夫ますらをの 弓上ゆずゑおこし つる矢を のち見む人は 語りぐがね
《このわしが 弓引きしぼり 射た矢見て 言いぎ行けよ 後に見る人》
                       〔高木に矢を射旅の安全祈る〕 
塩津しほつ山 うち越え行けば が乗れる 馬そつまづく いへふらしも
《わしの馬 塩津越えてて つまづいた 家で心配 してるできっと》
               ―笠金村―〔巻三・三六四、三六五〕 

愛発山あらちやまを越え 角鹿つのが そこからは 船が待つ 向かうは 手結たゆいの浜
こしうみの 角鹿つのがの浜ゆ 大船おほふねに 真梶貫まかじぬきおろし いさなとり 海路うなぢに出でて 
あへきつつ わが漕ぎ行けば 
 
こしくにの 角鹿つのが浜から 大船に 梶をいっぱい 取りつけて 苦労しながら いでくと》
大夫ますらをの 手結たゆひが浦に 海未通女あまをとめ しほ焼くけぶり 草枕 旅にしあれば ひとりして 見るしるしみ 
海神わたつみの 手に巻かしたる 玉襷だすき けてしのひつ 日本島根やまとしまね

手結たゆいの浦で 海人あまの児が 塩を焼いてる 煙立つ 面白いなと 思うけど ひとりで見ても 甲斐がない
 心に懸けて 思うのは 大和の家の ことばかり》 
こしうみの 手結たゆひが浦を 旅にして 見ればともしみ 日本やまとしのひつ
《越の海 手結たゆいの浦を 旅したら 珍しけども 大和が恋し》
               ―笠金村―〔巻三・三六六、三六七〕 

都での騒動 長屋王謀反との顛末てんまつで幕
なにやら いわくありげな 結末であった
諸国巡察じゅんさつの船上 静かに語らう 主従
「変の帰趨きすうは われらの感知せざるところ 与えられしお役目 とどこおりなしの遂行が 第一じゃ」
大船おほふねに 真梶繁貫まかじしじぬきき 大君おほきみの みことかしこみ 磯廻いそみするかも
《大船に 梶をいっぱい 取りつけて 任務大事と 磯巡視めぐりする》
                         ―石上大夫いそのかみのまへつきみ―〔巻三・三六八〕
「まさに  おっしゃる通り 乙磨殿の 行かれる道 私めも ついて参ります」
もののふの おみ壮士をとこは 大君の まけのまにまに 聞くといふもの
《朝廷に 仕える男子おのこ 言いつかる 任務一途に つかえるべきや》
                         ―笠金村歌中―〔巻三・三六九〕 




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