令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

金村・千年編(2)うべし神代ゆ

2010年01月14日 | 金村・千年編
【掲載日:平成21年12月17日】

・・・神柄かむからか たふとくあらむ 国柄くにからか 見がしからむ
     山川を きよさやけみ うべし神代かみよゆ 定めけらしも

【宮滝の激湍】



「赤人殿は いずれを 目指めざされる」
当代を担う 宮廷歌人 三人が つどうていた
笠金村かさのかなむら 車持千年くるまもちのちとせ 山部赤人やまべのあかひと
「人麻呂殿が  居られぬ今 宮廷歌人としての役目 われら三人に 託されておる 
人麻呂殿の  得意とされた長歌 そのうち わしは 枕詞まくらことばに 重きを置きたいと思う」 
わたくしも 尊敬する人麻呂様の 後を辿たどり 対句ついくの妙を 極めたいと 思っております」 
 
養老七年 〔723〕夏五月 
元正げんしょう天皇の吉野離宮への行幸みゆき
笠朝臣金村かさのあそみかなむらは詠う
たぎの 御舟みふねの山に 瑞枝みづえざし しじひたる とがの 
いやつぎつぎに 万代よろづよに かくし知らさむ み吉野の 蜻蛉あきづの宮は
 
《急流の ほとりそびえる 三船山 え枝いっぱい 付けたとが 葉ぁ次々に 付ける
 何時いつの世までも 続いてく 吉野の里の 蜻蛉宮あきづみや
神柄かむからか たふとくあらむ 国柄くにからか 見がしからむ 山川を きよさやけみ 
うべし神代かみよゆ 定めけらしも

《神さんやから とうといで 国土くにえから かれるで 山川ともに 清らかや
 昔にここを 大宮所みやどこと 決めなさったも もっともや》
                         ―笠金村―〔巻六・九〇七〕 
毎年としのはに かくも見てしか み吉野の 清き河内かふちの たぎつ白波
《来る年も  また来る年も 見たいんや 吉野の川の 激しい波を》
                         ―笠金村―〔巻六・九〇八〕 
山高み 白木綿花しらゆふはなに 落ちたぎつ たぎ河内かふちは 見れど飽かぬかも
けへんな 白木綿花ゆうはなみたい ほとばしり 流れて下る 川の激流ながれは》
                         ―笠金村―〔巻六・九〇九〕 
【ある本の反歌】 
神柄かむからか 見が欲しからむ み吉野の たぎ河内かふちは 見れど飽かぬかも
《神さんが 宿ってはるから 見たいんや 吉野の滝は けへんこっちゃ》
                         ―笠金村―〔巻六・九一〇〕 
み吉野の 秋津あきづの川の 万代よろづよに 絶ゆることなく またかへり見む
《いつまでも  水の絶えへん 秋津川 また見に来るで またまた見ィに》
                         ―笠金村―〔巻六・九一一〕 
泊瀬女はつせめの 造る木綿花ゆふはな み吉野の たぎ水沫みなわに 咲きにけらずや
《咲いてるで 吉野の滝の 波の上 はつむすめ 造る言う木綿花はな
                         ―笠金村―〔巻六・九一二〕 
うたい終え 笠金村は 「ふうっ」と息を




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