【掲載日:平成23年10月11日】
八千種に 草木を植ゑて
時ごとに 咲かむ花をし 見つつ賞はな
家持に 歌詠み充実の日々が続く
時に 七月二十八日
初秋 爽やか季節
書持偲びの 花木庭
秋花の盛り
八千種に 草木を植ゑて 時ごとに 咲かむ花をし 見つつ賞はな
《色々な 草木を植えて 季節ごと 咲く花見てて 楽しもやんか》
―大伴家持―(巻二十・四三一四)
興を覚えた 家持
昨年の 池主 中臣清麻呂 思い
独り 高円の野を偲ぶ
やがて 思いは
聖武帝との 高円離宮遊行
宮人の 袖付け衣 秋萩に にほひよろしき 高円の宮
《宮人が 長袖衣 秋萩に 照映えさし通る 高円宮で》
―大伴家持―(巻二十・四三一五)
高円の 宮の裾廻の 野づかさに 今咲けるらむ 女郎花はも
《高円の 宮の山裾 小丘上 今女郎花 咲いてるやろな》
―大伴家持―(巻二十・四三一六)
秋野には 今こそ行かめ 物部の 男女の 花にほひ見に
《秋の野に さあ皆行こや 仕えする 男女も 映える花見に》
―大伴家持―(巻二十・四三一七)
秋の野に 露負へる萩を 手折らずて あたら盛りを 過してむとか
《秋の野で 露濡れ萩を 採らんまま 盛り過ぎさす 勿体ないで》
―大伴家持―(巻二十・四三一八)
高円の 秋野の上の 朝霧に 妻呼ぶ雄鹿 出で立つらむか
《高円の 秋野に懸かる 朝霞の中 連れ呼ぶ鹿が 立ってるやろか》
―大伴家持―(巻二十・四三一九)
大夫の 呼び立てしかば さ男鹿の 胸別け行かむ 秋野萩原
《男らが 追い立てたなら 雄鹿が 散らし通るで この秋の萩野を》
―大伴家持―(巻二十・四三二〇)
最早 再現適わぬ 遊宴
覚えし 世間不安が
過去思いへと 誘う